平成13年6月29日・初版

まぼろしパンティ外伝・罠に落ちたセクシー探偵・第3章/寿々美・著

 シャー…………… シャワーヘッドから勢いよく流れ出る温水は、赤いブーツを伝いバスタブに横たわ るまぼろしパンティーの上に注がれる。暖かい温水は、辱めを受けた彼女の心に再 び正義の心を灯していくのである。 私はこんな所で負ける訳にはゆかない!まぼろしパンティは、こんな薬になんか 負けないわ!寿々美!頑張るのよ! ピートに飲まされた薬により体自由を奪われた、まぼろしパンティ!このピンチを 脱すべく彼女は祈るように右腕に自らの意志を注いだ! お願い、動いて! 「ピクッ!」 ロンググローブに包まれた右腕がかすかに動いた。 「いけるわ!寿々美、頑張るのよ!」 マスクパンティの下の美しい顔をしかめながら薬と戦う寿々美。何とか腕を口元まで 引上げ、ねじ込まれた自らのパンティを口から取り出した。 「ハァ、ハァ」 先程までの息苦しさこそなくなったが、深く息をすると薬がまわり、途端に力が抜 けるようである。まぼろしパンティは、静かに、ゆっくりと、右手に掴んだパンティ をバスタブの排水口に運び、押し込み、流れ出る温水を受ける栓とした。 バスタブによこたわるまぼろしパンティの体が、温水に包みこまれてゆく。体温が 上がる事で、薬はまわるが、その後は徐々にではあるが、彼女の肢体に力が戻って くる。 静かに目をつぶり体力の回復につとめる彼女。 しかし、徐々に増える水かさが、ピートにもてあそばされ女としての潤いを感じて いた花弁に触れた瞬間、彼女の体に電流が走ったかのような快感が走った。 「あっ」と小さな溜息をもらし、まぼろしパンティは、体を反り返した。 そして脳裏には、まぼろしパンティとして活躍する自分が、男の前でだらしなく股を 開きブーツを奪われた素足に彼の愛撫を受け、花弁を潤わす痴態がよみがえってきた。 乳首に男の舌の感触を得た時、私は、まぼろしパンティとして抵抗をしたの?寿々美 として女の体として反応していなかったの?そんな疑問すら浮かんでくる。 マスクパンティで正体を隠し、裸で戦うヒロイン、まぼろしパンティ。彼女の清楚な ヒロインの心に、時折、この悪魔のような妄想がおとづれるのである。彼女を悩ます 妄想は、ある事件により寿々美の心にとりついたのである。 いやそれよりも、バスタブの中で悶えるまぼろしパンティに話しを戻そう。 寿々美の頭の中には「まぼろしパンティとして颯爽として戦う姿」と「捕らわれ辱め を受ける姿」が代わる代わる浮かんでくる。 ダメ、寿々美!今はここから脱出する事だけを考えるのよ! しかし、何かにとりつかれたように、頭の中に次々に今までの窮地に陥ったシーンが 浮かんできた。 そして、ついに、寿々美にこの妄想を植付けた事件!高校生の寿々美が戦っていた クライム学園での最大の危機が、彼女の脳裏に浮かんできた! 強制収容所に拉致された生徒達を救うべく、単身、乗り込んだまぼろしパンティ! 首尾よく門番を倒し、侵入に成功したまぼろしパンティが見たものは床に累々と 転がる拷問を受けた生徒達の姿であった。 「ひどい事を!大丈夫!」 生徒に駆寄るまぼろしパンティ!その姿を一斉に灯されたサーチライトが包む! 「キャー」 眩しさに悲鳴を上げるまぼろしパンティの前にあらわれたのは部下を数人引き連れた だけの学園長の姿であった。 「学園長!」眼光鋭く見据える まぼろしパンティ! 「ハハハ!きたなまぼろしパンティ、今日こそ貴様の命日にしてやる」 学園長のそんなセリフに臆することなく、自慢の美乳を突き出すように背筋を伸ばし スカーフをたなびかせ颯爽としたポーズをとった彼女は 「それはこちらのセリフよ!その程度の人数で私が倒せると思っているの!」 堂々と言い放つ口元には笑みさえ残る余裕がある。 「ワハハハ!甘い!甘いぞ、まぼろし!後ろを見てみろ!!」 「えっ」 振り返ったまぼろしパンティが見たものは、背後から自分に襲いかかる5人の シオキ教師達の姿!身構える隙もなく、太股に、腕に、シオキ教師達が群がり 羽交い締めにされ、一瞬にして体の自由を奪われるまぼろしパンティ! 「あ、あなた達!」叫ぶまぼろしパンティに、学園長が高らかに宣言する! 「かかったな!まぼろし!!ここにいるのは全てシオキ教師!」 首を締上げられたまぼろしパンティは「し、しまった!」と答えるしかない! 首に廻されたシオキ教師の二の腕、左右の脚に取り付く男達の握力はブーツ越し に、まぼろしパンティに彼女の無力さを伝えてくる。股間にそそがれる無遠慮な 視線を防ごうとするも、男達は許さず彼女の足を広げようとしてくる。 左右の腕も男達により自由がうばわれ、乳房が無防備に学園長の前にさらされ ていた。 もはや、彼女の自由になるのはマスクパンティにつつまれた頭部だけである。 この状態では、さしものまぼろしパンティも、力なくうな垂れているのみである。 そんな彼女の目に写るのは、大きく開かれた脚により、引上げられたハイレグパン ティが秘部に食込んでいる自らの痴態であった。おもわず目をつぶるまぼろしパンティ! 「いいざまだなまぼろしパンティ!お前の力では身動きすら出来ないだろう!」 「どうした震えているのか?可愛いの!」 学園長がうな垂れる彼女の顎をつかみ、覗き込む。恐怖に震える彼女の口からは 「あぁ」としか言葉がでない。 学園長の手が、素早く乳房を鷲掴みにした。「あっ」と悲鳴をあげるまぼろしパンティ! 学園長の爪は、まぼろしの美乳に容赦なく食込む!体を仰け反り耐えるまぼろしの眼前 に、学園長の顔がせまる。 「よくも今迄ワシの邪魔をしてくれたな!それも今日までじゃ!先ずはその素顔 おがませてもらうぞ」 「イャ、キャー!」 伸びる学園長の手から逃れようとするも、マスクパンティは無残にも剥ぎ取られて しまう。 「おお!藤寿々美!やはりお前がまぼろしパンティじゃったのか!!」 「ああっ!」 そこに表れたのは、恥かしさに真赤に頬をそめた藤寿々美の苦悶の表情であった。 あの時、私は感じていたのかも? 絶体絶命の危機に、寿々美は恐怖と共に言葉に出来ない感触を得ていた。 正義のヒロイン、まぼろしパンティとして体験したあの感触は、寿々美に、もう一人 の自分を感じさせた、そして正義のヒロインとして決して持ってはいけない欲望を植付 けられた瞬間であった。 寿々美はそんな自分を常に否定し続けている。私はパパを助ける為に立ち上がったヒロ イン、まぼろしパンティ!あんな事に感じるそんなイヤらしい娘じゃない! あの経験以来、度々訪れる悪魔の妄想、その妄想が、極限状態のまぼろしパンティを襲う! その妄想に誘導される様に、動きを取り戻した左手は、まぼろしパンティの花弁に そっと触れる。 「クチュ」と水の中で卑猥な音をたて、彼女の本能にノックするように指が動いて ゆく。 「ダメ、ダメよ寿々美!こんな事してはいけない!」 再び、頭の中では、マスクパンティに伸びる学園長の手、つい先程、ピートにより マスクパンティをうばわれそうになった光景、そんな邪悪な思いが彼女の頭の中で 広がって行く。 「バシャ」バスタブにかけていた左脚が滑り落ちまぼろしパンティの顔面に大きく 湯がはねあがった瞬間、まぼろしパンティは我に返った! 「ハッ、そうよ私はまぼろしパンティよ!」 彼女は、ふらつく足取りで立ち上がり、浴室から洗面所に移動した。 そこで彼女が見たものは、洗面台に写る自分の惨めな姿! 左足のみに残された濡れたレザーブーツは妖しく濡れ光り、両腕に残されたロング グローブも、水を滴らせながら同様に妖艶な赤色を放っている。 パンティを奪われた下腹部は、アンダーヘヤーをさらし、普段は軽やかに舞う スカーフは、今はベッタリと肌に張り付き、惨めな姿のまぼろしパンティを象徴す るかの様である。 自慢のロングの黒髪も、濡れ肩に張り付いている。しかし、何より彼女の素顔を 隠すマスクパンティが水を含み、うっすらと寿々美の素顔を見せていた事が、彼 女の動揺を誘う! 「えっ!これが今の私の姿!」 「このマスクパンティでは私の正体がばれてしまう!」 彼女の言う通り、濡れたマスクパンティは、寿々美を知るものであれば、ほぼ 彼女と言当てられる位に透け、顔に張り付いていた。 玄関先で声が聞こえる。 「夜分にスイマセンでした。どうしてもデカ長が今晩聞いて来いと言うもので それではゆっくりお休み下さい」 「いいえ、ご苦労様です」 いけない!刑事が帰ろうとしている!今の私ではアイツに勝てない、何とかあの 刑事さんに助けを求めないと! もう迷っている時間はなかった。 まぼろしパンティは扉を開け、玄関先の刑事に倒れこむように身をまかせた。 「どうしたんですか!まぼろしパンティ!」 胸元に力なく飛び込んできたまぼろしパンティを抱きしめ、驚く刑事! 「ち ちょっと しっ失敗し しちゃった。か彼にくすりを の のまされて  このあ ありさまよ」 「貴様、まぼろしパンティに助けてもらったんだろう!その彼女をこんな目にあ わすなんて!どういうつもりだ!」 刑事に凄まれ、すっかり小心者の本性をあらわしたピート。 うろたえながら、必死に謝る彼の姿を、刑事の腕に支えられながらみていたまぼ ろしパンティは、いくら薬を飲まされていたと言えこんな情けない男に自由にさ れていた自分の未熟さを恥じていた。 「もう大丈夫ですよ!まぼろしパンティ!おい彼女に盛った薬はなんだ!」 「即効性の弱い弛緩剤です。興奮した人を弱らせる程度の薬なので、もう1時間も すると効き目が消えます。」 「本当だな!よし、それではまぼろしパンティそれまで私がついていますので この部屋でやすんで下さい」 「えぇ、そうして い 頂くと た すかるわ!」 彼は、ベッドにまぼろしパンティを休ませた。思わず彼女の素晴らしいボディに 目が行くが、刑事は、自分のジャケットを脱ぎ、彼女の下腹部にそっとかける。 「ありがとうございます。刑事さん。すいませんが、タオルを頂けませんか?」 「オイ、ピート!タオルを準備しろ、ちゃんと綺麗なやつだぞ!」 「ハハイ!」ピートが引き出しからタオルを取り出す。 「オッ、シュウウエムラか、ずいぶん上等のタオル持ってるじゃないか!」 「さぁ、まぼろしパンティ!どうぞ!」 「ありがとう」 まぼろしパンティは、透けたマスクパンティに変わり素顔を隠す為にタオルを 御願いしたのだが、刑事の紳士的な態度に安心し、先ず濡れた体を拭こうと立ち 上がった。しかし、まだ足下がおぼつかない。 「あっ、あぶない!」素早く抱きかかえた刑事の目の前にまぼろしパンティの顔が (なんて綺麗な人なんだろう!でもどこかでみた事が?) 刑事に見つめられ頬をそめる、まぼろしパンティ。 「ゴ、ゴメンナサイ」急に彼の目の前で全裸をさらす自分が恥かしくなったまぼろし パンティだったが、お手伝いしますよとの彼の言葉をどうしても断れず、恥らいな がら受取った。 「そのブーツ、濡れたままでは気持ち悪いでしょ」 そう言うなり彼は、まぼろしのブーツに手を延ばし、ファスナーを下げてゆく 善意からとは言え、男性にブーツを脱がされるのはなんとも恥かしい。 丁寧に脚を拭いてくれる彼の横顔を見ながら、寿々美は以前、どこかで彼と知り 合ったような気がしていた。 ***つづく