平成13年7月13日・初版 平成16年4月1日・改訂(扉絵を追加) MonkeyBanana2.Com Free Counter

金髪のアマゾネス・ソフィア戦記・第7章/AtoZ・著

パイロン戦闘部隊シリーズ 2後編 イラスト:悪の司令官
----------------------------- 懸賞金 ----------------------------- 厚いペルシャ絨毯で覆われた部屋で 虎が檻を徘徊するように 忙しく動き回りながら 長い顎鬚を生やし黒いカーフィアを被った アラブ特有の衣装を着た男が怒鳴っていた。 【奴等の居場所は解ったのか!】 【フランスからブラジルに行ったのは確認できましたが】 【早く捕まえろ! そして 私の元に連れてこい!】 【二人には 1人50万$の懸賞金を付けています。必ず捕らえてご覧に入れます】 【パイロンやファウドが 奴等を消す心配はないのか?】 【パイロンにとって アモンもソフィアも子飼いの部下です。その心配はないかと】 【どちらか1人でいい 捕まえろ。兄の仇を討って ファウドを国王の座から引き下ろしてやる】 絨毯の上に胡座を組んで座っている部下は フセインの怒りを持て余しながら アモン・ソフィア捕獲作戦を 汗をかきながら説明していた。 外遊中に兄の前国王を暗殺され 国王の座をファウドに奪われたフセインは 外人部隊を編成し CIAの援助の元 クーデターを企てたが フランスで 玄武の率いるパイロンの装甲部隊に急襲され その計画は頓挫してしまった。 だが 海外に移してあった秘密資金を元に フセインは 再度の反攻計画を練っていた。 それは 国王暗殺の実行犯である アモンとソフィアを捕らえ その証言から ファウドのクーデターを暴く計画だった。 第一王子とは言え 父を弑したとなれば 国王の資格はなくなる、 それを 明らかにするには 暗殺実行犯の逮捕と証言が必要だった。 フセインは 鋭い目を部下に向け 腹心の1人に 声高に言った。 【アリ お前に任せる! 殺さなければ何をしても構わん。 絶対に捕らえ自白させろ! 出来なければお前が死ぬぞ。】 ----------------------------- ブラジル ----------------------------- ブラジル・リオデジャネイロ到着後 アモンはソフィアを コパカバーナ・パレス・ホテルに送った後、 1人で パイロンのブラジル支部を訪ねて行った。 ホテルに1人残された ソフィアは リオの治安が良くない事はアモンから聞いてはいたが、 ファベイラ(スラム)に入らなければ 安全だろうと ピュアホワイトと赤の水玉のブラウスとスカートに着替え 初めての街に戸惑いながら 市内のコパカバーナを観光していた。 ウインドショッピングをしていたとき 突然子供がぶつかり 一瞬の隙を突いて ソフィアのバックを奪った。 その後を追って 裏の路地に駆け込み ビル街の行き止まりまで 少年を追い詰めたとき 背後に5人の男達が 現われ ソフィアの退路を遮断した。 【仕組まれていたようね。貴方達の目的は何? お金ならあげるわよ】 男達は 明らかにブラジル人ではないと解る肌の色をし 身なりの良い服装をしていた 【目的はあんただ ソフィア】 【大人しくしろ 抵抗すれば射殺してもいいと 許可が出ている】 男達は ソフィアから距離を取って サブマシンガンを構えていた。 男達までの 距離は5m 途中に身を隠す遮蔽物はない。 サブマシンガンの性能は 1分間に300〜400発が連射できる それが4丁 ダブル・カアラム・マガジンを装備できる15連発のルガーP85が1丁 ジャンプできたとしても 1分間に1200発以上の弾丸を捌く自信はなかった。 沈黙するソフィアの足元に 手錠が投げられ 男が命令した。 【それで 右手と左脚を結べ 妙な動きをすれば射殺する】 仕方なく身体を折った姿勢で手錠を掛けるソフィア。 男はそれを確認すると 背広から もう1つの銃を取り出すと ソフィアに狙いを定め トリガーを引いた。 脇腹に針が刺さる痛みを感じたソフィアは すーーっと意識が薄れていくのを感じた。 【よし 支局へ連れて行け】 男の声が 遠くで聞こえていたが ソフィアは崩れたまま立ち上がる事は出来なかった。 ----------------------------- 地下室 ----------------------------- 暗がりの中 冷たい地下室で ソフィアが目覚めたとき、 ソフィアは 服のまま ベッドに大の字で 手足を広げた格好で固定されていた。 乾いたコンクリートの床に響く靴音を立てて アラブの民族衣装を着た 肥満の男が薄笑いを浮かべて ソフィアの顔を覗き込んだ。 【ソフィアだな。 私はアリ。フセイン殿下の部下だ。前国王暗殺犯としてお前を尋問する】 【…】 【答えさせる道具は沢山ある。特に女には耐えられない道具も 薬も な】 【…】 【お前は美しい。その顔を焼かれたくないだろう。鼻や耳を切り落とされたく ないだろう?】 アリは 言葉で恐怖を植え付け ソフィアを精神的に追い詰めようとしていた。 だが 何も反応しないその表情から それが無駄だと判断すると。 【女には女の責め方がある。あのワンダーウーマンでさえ落ちた媚薬を使ってやろうか?】 アリは 国王暗殺の混乱の中 奴隷商人から買ったワンダーウーマンが 脱走した事を聞いていた。 暗殺犯がワンダーウーマンと 何処で繋がっているのか 彼自身の疑問の為に その名を ソフィアに聞かせたのだった。 【…】 【お前は ワンダーウーマンを知っているのだろう? これはお前のか?】 そう言って ソフィアの前に フェミナムで作られたブレスレットを見せた。 【…】 【何も喋らない気なのか? いいだろう お前の下の口に喋らせてやろう】 鍛え上げられた戦士には 鞭や電気で苦痛を与えても無駄と考えたアリは 言葉でソフィアを追い込み SEXで落すこと方法を選んだ。 アリが目配せすると 控えていた二人の男が ベッドに近づいて来た。 男達の意図を察知したソフィアは ベッドに縛られた手足に力を入れ枷を外そうと暴れ出した。 ベッドを軋ませながら暴れる ソフィアを見ながら 側に立った男達は ズボンの上からでも解るほど股間を勃起させたまま 1人は胸 1人は股間に 手を伸ばしていった。 【く、いっ、いやよ 触らないでケダモノ】 ソフィアの反抗を楽しむように ブラウスのボタンを ユックリと外す男。 乱れたスカートを一気に捲り上げ 下腹部を覆う純白のパンティを露にする男。 【い、いや、や、やめて】 男達は 生意気な女を甚振るのが楽しみだと いう顔を露骨に見せながら ユックリとブラジャーを露にし 波打つような豊満な乳房に その先の敏感な突起に 指を這わせていった。 パンティを掴み 手で絞り込んだ男は 露に盛り上がった股間の秘丘に 指を押し付けると 撫でるように擦り始めた。 最初 ソフィアは唇を噛み締め 声を上げない様にして 男達への屈服を拒んだ しかし 男達の初回の攻撃だけで それは 脆くも崩されていた。 【あ、 あっ、 はぁぅ】 右の乳首を指先で摘まみ上げ 擦るように捻りながら 左の乳房を鷲掴みにし 舌で乳首の周りを丹念に舐める男 パンティを引き千切り ソフィアの敏感なクレパスに顔を埋め 膣壁を押し分けて舌を侵入させながら 太股に軽く・強く爪を立て 疼きを煽るように 這わせる男 ベッドに固定された手首を握り締め 頭を左右に振り 身体を捩らせて耐えるソフィア 【ひっ、 あぅっ、 く、 っくぅ、 はぅぅ】 【はぁうっ、 くっ、 あっ、ぁぅ、くぅうっ】 【あぅ、ぁあん、 はぅうっ、く、くぅうう】 反撃することもできず 一方的に攻められるソフィアの屈辱。 ベッドが ギシギシ音を立て 握られた拳が 手首が真っ赤になっていた。 声を押し殺し 首まで真っ赤にして 必死で官能に耐えるソフィア だが ソフィアの意思に反して 鶏冠の様なクレパスは 淫汁を滲ませていた。 【下の口は正直だな お前のアソコが 男が欲しいと催促しているぞ】 アリが指摘する様に ソフィアの股間は男に吸われる度に ぺちゃっ ぺちゃっ と音を立てていた。 吸われる度 ソフィアは短い悲鳴を上げ 歯をがちがち震わせ 首を仰け反らせていた。 下腹部に神経を集中させようとしても 乳首が噛まれ 乳房に爪を立てられ引かれては 抵抗など不可能だった。 胸を反らせ豊満なバストを揺らし 息を止めても 下半身の痺れるような 焦れったい刺激に耐えられなかった。 【ぁ、ぁっ ぁ、ぁっ あぅっ!】 ちゅば ちゅば かり かりっ ぺちゃ ぺちゃ と乳首吸われる度 ソフィアの喘ぎが 短く大きくなり 息が荒くなっていった。 【ひ、ひっ、ひぃいいいいいいいいいい】 【く、くぅうう、ぁ、ぁ、あぅ、あああっ】 【はぁぅぅぅ、い、いゃ、いやぁああああああああああああ】 パンティを裂かれ 剥き出しとなった股間の 鶏冠の様なクレパスの先端を探られ 突起が摘み出されたとき ソフィアは 腰を浮かせ 仰け反って 悲鳴を上げた。 甘く切ない疼きが全身を包み 逃れられない喜悦に ソフィアが追い詰められたとき アリが 男達を制止して 言った。 【やめろ! 責め方を変えるのだ。自分から欲しいというまで 道具を使ってやれ】 二人の男は 抜け殻のように力を失ったソフィアから一旦離れると、 部屋の隅の棚から 複数の異形のバイブと 針と糸と剃刀とクリームを持って戻って来た。 喜悦の余韻のまま 目を閉じて 唇を少し開けて 横たわるソフィアに近づくと 男は 大きく深く波打つ乳房の先端を摘まみ 糸を通した針を刺し込んだ。 ぷすっ と音がした瞬間 ソフィアは激痛で目覚めた。 【ひっ、くっ、くぅう】 男は ゆっくり 針を通すと 糸を天井からの鎖に繋いだ。 そして わざと ソフィアに針を見せた後 もう一方の乳首に 針を刺し込んだ。 【あぅ、く、 くぅぅっ、】 二本の糸で天井に吊り上げられた乳首は 胸を張ったままの姿勢になり、 ソフィアの動きを完全に封じていた。 【さぁ 下を奇麗に剃ってやるぜ】 男は そういうと ソフィアの恥丘にクリームを丹念に塗ると 剃刀を当てた。 【ぁ、ぁっ、ぁ、あっ ああっ、くぅぅっ、 はぁぅうっ、】 じょり じょり じょり と音を立て 剃刀がソフィアの秘部を露にしていった。 【へっへっへ 暴れると乳首が千切れるぞ】 【それに お前の大事な部分が怪我をするぞ】 【それだけ 濡れていれば クリームなど 要らなかったな】 男達に揶揄されても ソフィアは腰を動かすことさえ出来なかった。 そして 隠されていたその部分は まるで少女のように つるつる にされていった。 【私は フセイン殿下に連絡する。たっぷりと可愛がってやれ】 アリはそう言い残すと 地下室の重い扉を開け 出ていった。 3人が2人になっても ソフィアには 反撃のチャンスはなかった。 昆虫採集の蝶の様に 糸で乳首を吊られ 身を捩ることさえ出来なかった。 剃り上げられたソフィアのクレパスとアナルに 真珠を埋め込んだバイブが当たった。 【あっ い、いや、 あっ、ぁあん、あぁんっ】 アナルのバイブはストレートで入れられながら クレパスに向けられたバイブは わざと 極点を避けながら ゆっくりと這っていた。 限りなく意地の悪い 捕らえ難いじれったい攻撃に ソフィアの頭は朦朧としていた。 いっそ 一息に止めを刺して欲しいという様に、 僅かに動かせる下半身を捩り クレパスを ヒクヒク 蠢動させながら バイブを咥えようとする ソフィア。 【ぁ、ぁ、 ぁああ… はぁんん ぁっ、ぁああん…】 男達の淫靡な笑いの中 ソフィアが落ちるのは 時間の問題だった。 ----------------------------- 攻撃開始 ----------------------------- 【どうした もう 我慢できないのか】 【さぁ 言って見ろ。 あそこに突っ込んで下さい。お願いしますと。】 【ぁ…ぁぁ…くぅうっ…お、お願い…】 【どうした、ちゃんと言って見ろ。どうして欲しいんだ】 【おら おら どうした】 男が 吊られたソフィアの乳首を指で摘み 指の腹で擦った。 【はぁぅ! ぁ、ぁ、ぁぁん】 男が ソフィアのアナルに入れたバイブを激しく動かした。 【くぅううっ…はぁあぅ…んぅんん…】 ソフィアの呼吸が短く 激しくなり その可愛い唇が わなわなと振るえ出していた。 【お、お願い…意地悪しないで…お願い…】 ソフィアの口から 泣き声の混じった 切ない声が 漏れていた。 【このままだと 気が狂ってしまいそうだな】 【止めを刺してやるか…その方が後が責めやすい】 男が バイブをソフィアの濡れたクレパスに突き立てたとき、 その男の頭が吹き飛んだ。 もう1人の男が アナルバイブを握ったまま 驚いて振り返ったとき その男も頭を吹き飛ばされた。 ソフィアが 朦朧とした目で ベッドから入り口を見たとき そこにアモンが立っていた。 アモンは 素早くベッドに近づくと 死体を蹴り飛ばし、 ソフィアを拘束していた糸と枷をナイフで切った。 【…アモン…私…】 潤んだ目でアモンを見上げるソフィアに アモンはその目を重ねながら囁いた。 【気にするな。俺にとって お前が大切な女だということは 変わらない】 【アモン…】 【さぁホテルに帰るぞ 俺がお前の身体を洗ってやる。尻の穴までな】 【いあぁんん…あっ、だめ…何か着せて】 甘えた声でアモンに抱き着くソフィア その身体を軽々と抱き上げたアモンは 服を切り裂かれ 裸同然のソフィアの抗議を無視して そのまま 地下室を後にした。 地下室で アモンがソフィアを救出した頃 ビルの玄関のシャッターが ダンボールを打ち引き裂くように破られた。 その裂け目から 現れたのは 6体の体長が3m近い黒いマントの巨人達だった。 進入者にサブマシンガンとルガーをオートにして応戦する男達、 銃弾を弾きながら ハンドミサイルを連射する 巨人達。 巨人達が 入り口を制圧するのに 1分と掛らなかった。 2階・3階・4階と バリケードで防戦する男達を 確実に殲滅しながら進む巨人達。 爆煙のビルの中 フセインの腹心アリは自分のコメカミを撃ち抜いて自殺していた。 ホテルに向かう車の中、ソフィアの質問にアモンは答えていた。 【どうして あそこが解ったの?】 【ホテルに戻ってお前の姿が無かった だからCIAの支部を調べた】 【あそこは CIAのビルだったの?】 【亡命中のフセインが俺達に懸賞金を付けたようだ。だがブラジルに奴等のアジトはない】 【だから…】 【あのビルは武装騎士団が襲撃予定のビルだった。俺達はラッキーだった】 【アモン…私…】 【ホテルに戻ったら シャワーを浴びて 昨日の続きをするぞ】 有無を言わせないアモンに 寄りかかりながら ソフィアは小さく呟いた。 【…好きよ…アモン…いっぱい…して】 【なんだと?! 良く聞こえなかったぞ! なんと言ったソフィア】 車を運転しながら ソフィアに問い返すアモン。 【独り言よ。】 と言いながらアモンのズボンの突起に手を忍ばせるソフィア。 ハンドルを誤り 慌てて対向車を躱したアモンは 前を見ながら怒鳴った。 【ば、馬鹿! ホテルに帰ってからにしろ。事故るぞ】 ----------------------------- 戦争の裏側 ----------------------------- CIAのメインコンピューターがハッカーによって停止させられていた頃、 中国・ロシアのCIAエージェントが一斉逮捕され、それがマスメディアに公表されていた。 楕円テーブルに集まった CIA長官以下主要メンバーの前に リストが次々積み重ねられていた。 【フランスからの強制退去リストを入手しました】 【デンマークからのリストです】 【アルジェリアからのリストです】 【キューバからのリストです】 次々入るワーストニュースに、CIA長官は額に当てていた手を落すと 立ち上がって テーブルを両手で思いっきり叩き 声を荒げて怒鳴った。 【もう、もういい! 何故だ! なぜパイロンが 我々の情報網を知っていたのだ】 暫くの無言の沈黙の後 部下が急かすように報告を続けた。 【現在 CIA独自の通信網は 機能不全になっています。】 【国内ジャーナリストの一部に ニカラグア侵攻作戦が漏れた形跡があります。】 【ソルテァ侵攻作戦を予定していた傭兵部隊が壊滅しました。】 【ブラジル・コンゴ・オーストラリアの支部が国籍不明の特殊部隊に襲撃され全滅しました。】 【イラン国境のゲリラ支援基地が攻撃を受け敗走中です。】 【イラク国防軍によるクーデターが失敗し将校クラスが逮捕されました。】 【く、それも パイロンの仕業か。 奴の所在は分かったのか】 追い討ちを掛けるような部下の報告に 力無く席に座った長官の顔には 傍目にくっきりと解る疲労の色が浮き出ていた。 【ニューヨークのカーライルホテルに宿泊したのを確認しています。】 【既に 20人を配備しています。いつでも逮捕できる態勢です。】 【今は、パイロンより 大統領への対応を優先して下さい。】 【緊急国防会議まで あと30分です。長官の決定をお願いします。】 虫けら程の力も無いと思った相手に されるが侭に翻弄されたことの口惜しさが 長官から 冷静さを 判断を 奪っていた。 超大国アメリカの巨大スパイ組織CIAが 微細な犯罪組織に敗れるなど信じられないことだった。 長官にとって、威圧するだけで 下部組織として取り込めると予想された相手に これほどの 反撃を食らうとは予想外だったが、それ以上に イエローアメリカンに 尊厳を傷付けられたことの屈辱が耐え難いものとなっていた。 【く、くっそう、パイロンごときに…】 口惜しさと 切迫する状況に 頭が真っ白になった瞬間 遠くから声が聞こえた。 【長官! どうされました! 長官!】 混乱する中 決断を促す部下達の前で CIA長官は 崩れるように倒れ 耳と目から血を流し テーブルにうつ伏したたまま 息絶えた。 そのとき 1人の男が立ちあがり 背筋を伸ばした姿勢で 宣言するように声を張り上げた。 【私が代理として国防会議に出席する。 通信網の復旧を急げ サブシステムで GITの高速通信網に切り替えろ。 ピエール 君に交渉を任せる パイロンとは休戦する。 他の者は 各自の担当に戻れ、進行中の作戦を停止して被害を最小限に止めろ】 ------------------ カーライルホテルの一室で 大理石のテーブルを挟み パイロンとCIAのピエールが黒革のソファーに深深と腰を掛け ワインで乾杯していた。 ピエール:【これはカナダのワイナリーだな オプティマのレート・ハーベストかね】 パイロン:【99年春のオカナガン・ワイン・フエスティバルでのベストスパークリングワインです】 ピエール:【甘味と酸のバランスの良い素晴らしい出来だ…私の好みと一致しているようだ】 パイロン:【貴方の為に用意しておいたものです ところで…】 ピエール:【そうだった。要件を済ませよう】 パイロン:【…】 ピエールは ワインの芳香を嗅いでいた手を止め 組んで居た脚を解くと パイロンに向けていた 鋭い目を崩し 頬を膨らませる笑顔で言った。 ピエール:【ご協力に感謝する これで長官派は再起不能だろう】 パイロン:【貴方は 恐ろしい人だ 長官を煽り 私と闘わせ その一派を一掃するとは】 ピエール:【賞賛の言葉と 受けとっておこう 作戦成功は君のお陰だよ】 好みのワインを一気に飲み干し その余韻と 自分の作戦の出来栄えに酔いながら ピエールは満足の笑みを浮かべていた。 パイロン:【では 今後は 今迄通りということで…】 ピエール:【こちらこそ 宜しく お願いする】 パイロン:【貴方の健康を祝して乾杯しましょう】 パイロンも ワインを飲み干すと テーブルの上のボトルを手にとって言った。 心地よい酔いに誘われながら グラスの底に残るワインの滴を見つめ 感慨深げにピエールは 呟いた。 ピエール:【だが 長官が急死するとは 私も計算外だ…っ…た …ま、…まさか?】 何かに気付いたように パイロンを驚きの目で見 グラスを持った手を止めるピエール。 パイロンは それに応えず 時が止まった様に静止しているピエールの飲み干されたグラスに 豊饒のワインを注ぐと 手を差し上げて乾杯の合図をした。 ----------------------------- AS警備保障会社 ----------------------------- ディスクもロッカーも無い がらんとした無人のビルの中 アモンとソフィアの二人が 剥き出しのコンクリートの床を 靴音を立てながら 内部を検分するように歩いていた。 アモンが立ち止まり 背広の内ポケットから取り出したものを ソフィアに見せた。 【これは…?】 【俺達の新しいパスポートと名刺だ】 アモンがソフィアに渡した名刺には、 ”AS警備保障会社 警備担当副部長 ソフィア”の名前が記されていた。 【私が副部長なの? どういう会社なの】 【俺が部長だ。南米では 誘拐事件が多いからな 俺達はその身辺警備と奪還を担当する】 【パイロンの会社なの?】 【彼が 表の顔で経営する会社だ。俺達はビジネスマンになる。】 【もう戦場には 行かなくていいの?】 【この仕事が 机の前でできる仕事だと 思うのか?】 【そうね…私は アモンに付いていくだけよ】 【ASは何の略号?】 【アモン&ソフィアだ。それより…パスポートは確認しないのか】 【???】 ソフィアのパスポートには ソフィア・ロドリゲス と記されていた。 【ロドリゲス? 私の新しい性なの?】 【俺の性だ。お前はアモン・ロドリゲスの妻だ】 【…】 【嬉しくないようだな。パスポートを変えるか?】 パスポートに手を伸ばしたアモンから 身を捩り それを胸の谷間に挟み込むソフィア 【だめ! これからは浮気も駄目よ】 【恐い奥さんだな。先が思いやられるぜ】 笑いながら ソフィアの額をコツンと叩くアモン。 CIAとパイロンの戦争は終結した しかし ソフィアとフセインの長い闘いは 今始まったばかりだった。 ----------ソフィア戦闘編(2) 完---------------