平成13年7月27日・初版 平成16年4月16日・改訂(扉絵を追加)

金髪のアマゾネス・ソフィア戦記・第9章/AtoZ・著

イラスト:悪の司令官
パイロン戦闘部隊シリーズ 4 ----------------------------- ソフィアの日常 ----------------------------- 早朝の朝靄の開け切らぬ街 ジョギングをするソフィア 朝帰りの酔っ払いが二人の男に抱きかかえられながら歩いていた。 その男達の横をソフィアが通り過ぎたとき、 酔っ払った男が仲間の手を振り解き もたれるように ソフィアに抱き着いて来た。 その男の股間に膝を打ち込むソフィア。股間を押さえ うずくまる男。 二人の男が左右からナイフをかざして向かって来た。 その1人を 投げたタオルで怯ませると 腹に肘を打ち込み その男を盾に ナイフを躱すソフィア。 態勢を立て直し襲ってくる もう1人の男の腕を捕らえると その腹に男のナイフを突き立てる。 二人を倒された男が 起き上がろうとしたその顎を蹴り上げるソフィア 尺取虫の様に蠢く男達を打ち捨てて そのまま走り出すソフィア。 ソフィア【…アルコールの臭いもしないのに 酔うなんて変わった人達ね…】 ビルの昼下がり 食事を終えたソフィアがオフィスに戻ろうとしたとき 二人の警官に呼び止められた。 警官:【これは あなたのモノですか?】 警官が差し出した雑誌に ”違います”と頭を振るソフィア もう1人の警官がソフィアの背後に回ったとき ソフィアの脚が上がりヒールが背後の警官の脛を突き崩した。 前の警官が雑誌の間に挟んでいたナイフを抜き取り ソフィアに振りかざした。 それを上段で受け 腹に拳を打ち込むソフィア。 背後で転げまわる男を捕らえると その頭を地面に打ちつけるソフィア。 ソフィアは 倒れた警官を 見下すように呟いた ソフィア【…雑誌は広げて見せるものよ…】 夕暮れの街 石畳で舗装された道を 帰りを急ぐソフィア。 ソフィアの前をコートの若い女が歩いていた その女の前を男が歩いていた。 男に続き 女が角を曲がって 暫くしたとき、 女の悲鳴がし 娘がソフィアに向かって走り寄って来た。 その後ろから”待て”と怒鳴りながら男が走って来た。 女がソフィアと重なった。 その瞬間女が崩れるように石畳に倒れた。 その光景に驚き 立ち尽くす男。 我に返った男が銃を取り出す前に その額が打ちぬかれていた。 腹に自分のナイフを立てた女がソフィアのコートの裾を握り締め うめいた。 オンナ:【な、なぜ…わかった…の】 ソフィア【貴方達は 同じ歩幅で歩いていたわ まるで恋人同士の様に ね】 ベッドの中 睦み会うアモンとソフィア。 ソフィア【アモン…】 喘ぐように呟くソフィアの唇をアモンが塞いだ ソフィアの腕がアモンの大きな背中を撫で アモンの手がソフィアの艶やかなブロンドの髪を撫でる。 マシュマロの様な乳房が 二人の間で潰れる。 二人の唇が 触れ合っては離れ 離れては重なった。 アモンの唇が ソフィアの首筋に 乳房に 乳首へと這って行く その敏感な突起をアモンが舌で転がし 歯を立てる 溜め息・喘ぎ・甘くむず痒い感覚に翻弄され陶酔するソフィア アモンの手が髪から離れ 下腹部の薄い茂みを弄った。 ソフィアの切なげな声が唇から漏れる。 その手がクレバスを弄り 敏感な突起を捕らえたとき。 短い悲鳴を上げ ソフィアは身体を反らせた。 余韻の残る疼きに酔いしれながら アモンに髪を梳かれるまま ソフィアはしなだれていた。 アモン:【今日はどうだった…】 ソフィア【少しトラブルがあったわ】 アモン:【馬鹿、俺のテクニックのことだ】 ソフィア【素敵 だ っ た わ】 アモン:【よし もう一度 戦闘開始だ】 ソフィア【ぃぁああん ワタシ 壊れちゃうわ】 抗議を無視して ソフィアのしとどに濡れた股間に顔を埋めるアモン ソフィア【ぁ、ぁっ、ぁぁん ぁあんん…】 ----------------------------- 拉致計画 ----------------------------- 厚いペルシャ絨毯で覆われた部屋で 虎が檻を徘徊するように 忙しく動き回りながら 長い顎鬚を生やし黒いカーフィアを被った アラブ特有の衣装を着た男が怒鳴っていた。 配下: 【パイロン暗殺は失敗したようです 後は如何しましょう?】 フセイン【次のスナイパーを送り込め! 息の根を止めるまで続けろ!】 配下: 【ファウド暗殺は?】 フセイン【その必要はない。奴は国民に糾弾され絞首刑にされるのだ】 配下: 【アモンとソフィアには 懸賞金を掛けていますが…】 フセイン【まだ捕らえられぬのか! 私の部下は無能ばかりか!】 配下: 【彼等の所在は確認しています。今 南米の国際誘拐組織BBPと接触中です】 フセイン【ならば、早く捕まえろ!】 配下: 【1人30万$で交渉中です。必ず捕らえてご覧に入れます】 フセイン【100万$でも構わん! パイロンもファウドも 私を狙っているのだぞ!】 絨毯の上に胡座を組んで座っている部下は フセインの怒りを持て余しながら アモン・ソフィア捕獲作戦を 汗をかきながら説明していた。 外遊中に兄の前国王を暗殺され 国王の座をファウドに奪われたフセインは 軍事クーデター未遂の後 国王暗殺の実行犯である アモンとソフィアを捕らえ その証言から 現国王失脚へと計画を変更していた。 だが ブラジルでCIAと組んでソフィアの拉致に成功しながら パイロンの武装組織に反撃され 腹心の1人を失っていた。 フセインは 鋭い目を部下に向け 腹心の1人に 声高に言った。 フセイン【ムバ お前に任せる! 絶対に捕らえろ! 出来なければお前が死ぬぞ。】 ------------------------------------ ブラジル ------------------------------------ 正式な国名は「ブラジル連邦共和国」。 面積 851万1956Km2。日本の23倍 ブラジルは26の州と1連邦区(首都ブラジリア)から 構成され、全土をNorte(北)、Nordeste(東北)、Centro-Oeste (中西)、Sudeste(南東)、Sul(南)の5地城に分けられてる。 宗教は国民の大部分がカトリック。ほかにプロテスタントやユダ教、など。 通貨はリアルで、人口は1億6千万人、言語はポルトガル語で、南米大陸の約半分の面積を有し、 移民政策により白人、混血、黒人、黄色人のさまざまな人種が住み着いている。 1500年にポルトガル人が漂着し、先住民を制してポルトガル領を宣言。 1889年の無血クーデターにより独立し、共和制になる。 その後の移民政策によりブラジルの人口は増えたが、 当初の移民は、母国と同緯度(北緯と南緯の違いはある)のところに住み着き、 それぞれの国の文化を今日まで継承した。 そのため、日系人はサンパウロ、ドイツ人は南部、黒人は北部に多い。 広大な国土を有するブラジルの気候は北部と南部の差が激しく、 雨季と乾季に大別され 亜熱帯地域のサンパウロは高地都市のため気温が温暖で、 日本の夏にあたる時期のサンパウロは東京の12月の気候である。 しかし、北部のアマゾン地域は1年中雨の多い熱帯地である。 南米大陸のほぼ真ん中にパンタナール(大湿原)という広大な平原があり ブラジル、ボリビア、パラグアイの3国にまたがる世界最大の湿原で、 日本の本州に匹敵する広さをもつ。このうちの半分強がブラジル領である。 北のカッセレスから南のポルトムルチンニョまで直線距離で約600km。 しかし、この大湿原はアマゾンの一部として紹介される傾向があり、 それ故にパンタナールを知る人は少ないが。 アマゾンの基本植生が典型的な熱帯降雨林で密生してるのに対し、 パンタナールの植生は灌木林であり、 河の縁にだけ森林が茂る回廊林でありアマゾンとは生態系が異なっている。 ムバと4人の部下は サンパウロ市に到着後。再びサンパウロ空港から中型の飛行機に乗り、 3時間強の所有時間で カンポ・グランデ経由でクイアバ空港に降り立った。 クイアバはサンパウロから1700kmほど北上した(赤道に近づく)南米大陸のど真ん中。 まさに大陸性の灼熱の地で 空港から車で30分くらい走り 北マット・グロッソ州の州都 クイアバ市街に入り さらにカッセレスまで200kmを車で走った。 この区間は舗装された直線道路でスピード制限がなく、 暑さとスピードの出しすぎのせいで破損したのか 路肩にたくさんのタイヤが放置されていた。 車窓の左右には広漠としたサバンナで、 いたる所に背の低い木が生え林を焼いた跡と牧場が点在し、蟻塚やダチョウの姿も見られた。 更に2時間半ほど走り、カッセレスの町に到着した。 カッセレスは ボリビアに隣接し大湿原の最北端にあり、 パラグアイ河上流のほとりにある小さな街で 近くのパラグアイ河に架かる鉄橋(太鼓橋)は 雨期の増水に支障がないように盛り上がったように架橋され、 町の風景の中でひときわ高く目立っていた。 この橋の麓の河岸には たくさんの船が係留され ここで大型のボートに乗り換え、河を下った。 河岸には人家は見あたらず シラサギ、コンゴーインコの群、 けたたましい猿の咆哮が聞こえる別世界だった。 流れはゆったりとし、幅も広く赤色を帯び濁った河を下り 約2時間半ほどで目的のホテルに到着した。 飛行機、自動車、船と乗り継ぎの連続で、 漸くホテル・バイアジーニャに到着した ムバも 旅の疲れに 音を上げていた。 「ホテル・バイアジーニャ」は、電力をカッセレスの町から引き、 15部屋全室クーラー、冷蔵庫付きで屋外にプールがある近代的な瀟洒なホテルで そのサービスは旅行会社も推薦する程のものだった。 かつてはここも人跡未踏の魔境の地であったのが、 この秘境も徐々にではあるが近代的になりつつあった。 ムバ:【ようやくパンタナールに付いたな 後は彼等からの連絡待ちだ…】 パンタナール奥地に基地を持つ 国際誘拐組織BBPは 500名の実動部隊と 4000人以上の構成員からなる 強力な犯罪組織だった。 フセインと盟約を結んでいる BBPの指揮官 ピッタは 前国王時代からフセインの資金援助によって武器と物資を調達していた。 その見返りは 前国王への貢ぎ物としての誘拐した女と 敵対者の暗殺 利益の分配だった。 しかし 前国王が死亡し政権が変わると その関係は途絶してしまった。 その後 懸賞金から アモンとソフィアの拉致を計画したBBPだったが 幾度も拉致に失敗し 煮え湯を飲まされたビッタは その復讐から二人の暗殺に切り替え 何度も部下を派遣したが その都度失敗に終わっていた。 一旦計画を練り直す為 襲撃を控えることにしたのだが そこにフセインから交渉が入った。 復讐もあり フセインの依頼を承諾したビッタは 配下に 再度の拉致を厳命した。 ----------------------------- シミュレーション ----------------------------- 林の中から現れるワンダーウーマンのコスチュームを着たマネキン。 それに向け 催眠弾が打ち込まれ着弾と同時に猛煙が立ち込める 同時に 煙の中に向かって 5発/秒で ニードル弾が連射される。 ニードル弾は途中で弾け5m周囲に2000本の針を突き立てた。 1人が撃ち尽くすと 二人目が前に出て 連射をする。 1人がその間にカートリッジを交換し構える。 3人目の男は催眠弾を充填したまま周囲を伺っていた。 ソフィア【これは!】 玄武: 【こちらへ来てくれ マダム】 歩きながら ソフィアは確信していた。 ソフィア【…これは…アマゾネスとの模擬戦だわ…】 ソフィアのそんな思いを感じてか 玄武が 説明を始めた。 玄武: 【殲滅ではない。制圧が目的だ 死人も怪我人も出したくない。 だが アマゾネスは負けを認めない種族だ 徹底して反抗するだろう。 制圧の後はゲリラ戦になる それにも対応策は考えているが 無茶を承知で向かって来るのがアマゾネスだ。 違うか? マダム】 玄武の言う通りだった…確かにアマゾネスは 敵に負けようと屈服はしない それに 格闘のプロとしての自信から 向こう見ずな性格が多かった。 玄武が案内された場所では マットを敷き詰めた部屋で模擬格闘戦が行われていた。 少女が数人の男を相手に 投げ飛ばしていた。 ソフィア【あれは?】 玄武: 【盗み撮りした ワンダーウーマンの過去の格闘ビデオを参考にしている だが 俺から見れば違っているように思う。マダムの意見を聞きたい】 ソフィア【確かに。 似ているけれど 違うわ】 玄武: 【演武を見せてくれないか マダム】 玄武は 模擬戦を中止させると ソフィアに ”やってくれ”と指を差し示した。 ソフィアは 自分が習ったアマゾネスの格闘術を 思い出しながらそれを演じた。 玄武: 【ありがとう マダム。解った もういい】 ソフィア【…】 玄武: 【アマゾネスの格闘技は 空手というより 詠春拳が基本だな】 ソフィア【詠春拳?】 玄武: 【構えを作るとき両肩を結ぶ線を基底にして二等辺三角形を意識している その三角形の頂点で相手の中心を取って攻め込んでいる。詠春拳の基本だ】 ソフィアは 玄武に言われて始めて 自分の型を意識した。 自分が 教えられた技は 理論など無しに 身体で 型で覚えたものだった。 玄武が 先ほどの少女に目で合図すると 少女がソフィアに変わって演武を始めた それは 先ほどソフィアが見せたまま ソックリのものだった。 だが 玄武は 脚の高さや 手の開きなど 細かい部分の違いを指摘していた。 ソフィア【…これでは 勝てない…ここまで準備されていては アマゾネスには勝てない…】 玄武: 【マダム。あんたには酷な質問だが 互いの為だ 感想を聞かせてくれないか】 ソフィア【アマゾネスは負けるわ】 ソフィアはできるだけ冷静を装って 揺れる思いを 感情を読み取られぬように短く答えた。 玄武: 【俺の聞きたいのは そんなことではない。 マダム】 ソフィア【???】 玄武は ソフィアに質問が悪かったようだと 頭を掻きながら 悪ガキが先生に悪戯を見つかったときのような 照れた笑いを浮かべて 質問をし直した。 玄武: 【自信を失ったアマゾネスは どうする? どんな方法で立ち直る?】 ソフィア【…】 ソフィアにも 直ぐ答えは出なかった。考えてもいなかった質問だった。 そこまで周到に準備するのか というのが 本音だった。 ソフィア【解らないわ…今直ぐには 答えられないわ】 玄武: 【済まなかった マダム。 答えを見付けたら教えてくれ。今日はありがとう】 ------------------------------------------- ソフィアはリオへの帰途 玄武に見せられたシミュレーションを反芻し内観していた。 アマゾネスとして自分が対戦するならどうする? 集団で向かってゆけば 武器の餌食になる。個人で闘えば取り囲まれ潰される。 制圧する戦略も その後の施策も考えている相手に どう闘うのか? パラダイスアイランドでの訓練は 個人競技ばかりで 集団戦法が考慮されていなかった。 何よりも アマゾネスには 危機意識も対抗戦略もないのだ。 自分の警告も聞かない仲間だ イリアの話も信じないだろう。 イリアはパイロンに洗脳されたソフィアを救出に来たアマゾネスだったが ソフィアに敗れ パラダイスアイランドに戻っていた。 そのイリアさえ パイロンを軟弱な臆病者としか見ていなかったのだ。 まだ…アマゾネスとしての意識が残っている…そんな自分の複雑な 揺れる思い… そのとき アモンの名がふと 固い殻を割るように浮かんで来た。 アモン…その名前がソフィアの口から漏れたとき…ソフィアの身体が反応していた。 乳首が つん と立ち 股間を湿らせるモノが湧き出ていた。 -------------------------------- リオデジャネイロの空港に戻ったソフィアをアモンが迎えに来ていた。 アモン:【無理を言って済まなかったと 玄武が言っていたぞ マダム】 ソフィア【マダムなんて そんな言い方止めてよ アモン】 アモン:【済まん 済まん。ところで どうだった 玄武とやったのか?】 ソフィア【なっ 何を言うの! 私が アモン以外と寝る訳がないでしょう】 魅惑的な唇を開け 目を剥いて大きな瞳でアモンを睨み付けるソフィア アモンは意外な答えに驚きを隠さず睨み返した。 アモン:【何を勘違いしている? 玄武と対戦したかと聞いているんだぞ】 アモンの言葉に 自分の間違いに気付き 顔を耳まで真っ赤にして焦るソフィア。 背筋を伸ばし 胸の前で腕を組み じーーと ソフィアを見つめながらアモンは アモン:【お前 今何を考えている?】 ソフィア【あなたと 同じ事よ】 アモン:【お前も スキ者だな】 ソフィア【あら? 私は 食事を考えていたのよ ホテルに戻りましょう】 ソフィアに切り返され 今度は アモンが慌てていた。 アモンに頭をこつんと殴られ 微笑みながら腕を掴み その太い腕に寄りかかるソフィア。 そんな 二人を監視する男達がいた。 男A:【連絡しろ 女が戻って来た】 男B:【解った】 男C:【楽しんでいられるのも今の内だぞ…】 男達は足早に車に乗り込むと どこかへ連絡を入れていた。 ----------------------------- プール・サイド ----------------------------- ブラジル・リオデジャネイロのコパカバーナ・パレス・ホテル ホテルのプールで アモンとソフィアは パラソルの下で 久し振りの休暇を楽しんでいた。 ソフィア【先月の売り上げと新規顧客のリストが後で届くそうよ】 アモン:【こんなに仕事が来るとは 思わなかったぜ】 ソフィア【いい話じゃない メンバーも増えたし 会社も急成長よ】 アモン:【ビジネスマンがこれほどキツイ仕事とは 思わなかったぜ】 ソフィア【でも 楽しい仕事だわ。人を助けられるし。お金も儲かるし】 アモン:【金は食べるだけ有ればいい…緊張が少ないのが不満だな】 ソフィア【アモン 後で買い物に付き合ってね いいバックが有ったの】 アモン:【そんなもの、自分で買え。俺にプレゼントさせたいのか】 ソフィア【そうよ 貴方に買って欲しいの。お願いよ 付き合って】 そんな二人をホテルのベランダからスコープで監視している男達がいた。 男A:【けっ! 楽しんでやがるぜ】 男B:【どちらを先にする? 女か男か】 男C:【女が先だ】 男D:【その方が楽しめるな】 男E:【殺さなければ何をしてもいいそうだ】 男F:【俺達だけでやるか】 男A:【だめだ 全員でやる これまで仲間が何人もやられている】 男B:【仲間の仇も討たせてもらうぜ】 男C:【あそこを潰された奴もいたな 気を付けようぜ】 男D:【捕まえたら たっぷりお礼をしてやるぜ】 男E:【俺の妹も殺されたんだ アソコを使えなくしてやる】 男F:【それは最後にしろ その前に楽しませて貰おうぜ】 監視している男達の部屋に 何処からか 電話が入った。 受話器を取った男が何事かを話ていたが 電話を切ると他の者達に向かって言った。 男A:【おい、準備が出来たと連絡が入ったぞ】 男B:【例のものを忘れるなよ 相手は格闘のプロだ】 男C:【へっへっへ 抜かりはないぜ】 ----------------------------- A&S警備保障 ----------------------------- AS警備保障のオフィイスでソフィアは代理人と話し合っていた。 ソフィア【期間は3日間 飛行機搭乗までの期間で宜しいのですね】 代理人:【そうです、但し警備は女性にして欲しい。それも格闘のプロである事が条件です。】 ソフィア【女性に限定される理由は?】 代理人:【依頼主が女性だからです。イスラムでは未婚の女性が男性と居る事は禁じられています。 それに 男性では、ベッドやバスまで警備できないでしょう】 ソフィア【解りました。エージェントの中には女性もおります。ご要望に叶う者を選出いたします】 代理人:【1日1万$の警備費用を払うのです。プロをお願いいたします】 ソフィア【解りました。それで、写真と お嬢様の到着時間は?】 代理人:【これが写真です。到着は 明日の10時 エアーフランスです。人選を連絡下さい】 ソフィア【ご連絡しますわ 後お聞きになりたい事は?】 代理人:【ありません。それでは 宜しく】 ソフィアは代理人と握手して別れ部屋に戻ろうとしたとき 後ろから スーツケースを持った アモンに呼びとめられた。 ソフィア【どうしたの?】 アモン:【ソフィア。3日程メキシコに出張するが留守を頼むぞ】 ソフィア【緊急の仕事なの?】 アモン:【エージェントが負傷した。客も入院してトラブルになっている】 ソフィア【解ったわ 気を付けてね。 私も仕事が入ったわ】 アモン:【仕事を片づけたら直ぐ戻る 浮気するなよ】 ソフィア【あなたこそ! メキシコ娘に骨抜きにされないでね】 解った 解ったというように 手を振ると アモンは エレベータに乗り込んでいった。 ----------------------------- ソフィアがガードすることになったクライアントは アラブと米国の混血で アラブの海運業を営む成金の オフェリアという娘だった。 空港に出迎えた娘には 二人の女ボディガードが付いていた。 ソフィアは簡単な自己紹介をし車に乗り込むと オフェリアに疑問を感じて幾つかの質問をした。 ソフィア:【ムスリマの衣装は着られないのですか?】 オフェリア【アバヤとヒジャーブですか? 今暫くは このままでいたいのです あの衣装は男尊女卑のシンボルでしょう】 ソフィア:【なぜ 命を狙われているのですか?】 オフェリア【父の相続権は私1人ですが 私が死亡すればその遺産は叔父に渡ります】 ソフィア:【オフェリアという名前は?】 オフェリア【母方の父が英国出身です。私は英国で産まれました】 ソフィア:【ボデイガードがいるなら なぜASに依頼されたのですか?】 オフェリア【彼女等はブラジルは初めてです それで…】 ソフィア:【なぜ ブラジルに?】 オフェリア【父の国に行く前に ペンフレンドと会って置きたかったのです。 父の国に行くと 後は 自由が効かないので…】 ソフィア:【そのペンフレンドは?】 オフェリア【明日 1時に大学で会う約束です。あなたも会って下さい】 ソフィア:【色々質問して申し訳有りませんでした。】 オフェリア【いいえ。あなたに守って頂く以上 当然ですわ】 ソフィア:【解りました ブラジルに居る間の安全は お約束いたします】 ソフィアは 何かを聞き忘れたような気がしていたが 車はホテルに到着していた。 予約したホテルに着き チェックインの後 ボーイに案内され部屋に入った。 オフェリアにチップを弾まれたボーイが 丁寧に挨拶をし トランクを置いて出ていった後 ソフィアはボデイガードと個々に 部屋の中を調べ始めた。 そのとき 男が3人 ドアを蹴破って侵入した。 瞬間的に 部屋の鍵がなぜ開いていたのかとの 疑問が湧いたが 咄嗟に ソフィアは銃を抜くとオフェリアの前に立った。 同時に オフェリアの女ガードマン二人も銃を抜いた。 ソフィアの銃が男達を撃つ。二人が眉間を撃ちぬかれ 1人が腕を撃たれ銃を落す。 コンマ何秒で進入者は打ち倒されていた が その後の銃声に ソフィアは愕然とし 後ろを振り返った。 女ガードマンの二人がソフィアの腿と背中に麻酔弾を撃ち込んだのだ。 ソフィアの”なぜ?”という顔に答えず 女達は更に銃弾を撃ち込んだ。 崩れる身体のまま その内の1人の眉間を もう1人の胸を撃ちぬくソフィア。 だが 遠くなる意識に ソフィアの手からS&W・M669は滑り落ちた。 【さすが パイロン戦闘部隊の女戦士ね 一瞬で5人を倒すなんて】 【くっそう よくも仲間を】 撃たれた腕を押さえながら 痛みに耐えながら うめくように言った。 オフェリアは 仲間の無様な姿を見下しながら 吐き捨てるように命令した。 【やめなよ! 早く運び出すのよ】 男が腕を押さえ立ち上がれないと解ると 仕方なく机の上の電話に歩み寄り 受話器を取って 連絡を入れた。 オフェリア内線電話を入れて直ぐ 隣の部屋から5人の男達が現れた。 【なんて様だ 女一人にやられるとは】 【早くしろ 死体も 運び出すぞ】 【それにしても 抜群のボデイだな たっぷり可愛がってやるぜ】 【仲間の仇を取ってやるぜ】 【おい 裸にして拘束着を着せろ! もう逃がさないぜ】 ---------------------------- ムバ:【私だ。そうか成功したか では荷物を受け取りたい 何処へ行けば良い? …なんだと本部に運ぶだと …よし! 我々も行く 案内をよこしてくれ】 部下:【どうされました?】 ムバ:【ソフィアを基地に運ぶそうだ。そこで取り調べろと言って来た】 部下:【では フセイン殿下には どう説明されます?】 ムバ:【BBP本部なら 軍隊でもなければ救出できないだろう。 あそこからの脱出も不可能だ。 監禁して取り調べるには いいだろう。 自白させてから連行すると連絡しておけ。】 ----------続く ---------------