平成13年5月25日・初版

被虐の姫戦士 プリンセス・レナ・第4章/ZENK・著

この物語は、プリンセス・レナと蛇神の娘との邪神復活を巡る闘いですが、 目指すのは、レナの残酷な運命の物語(落城・流浪・性奴への転落・祖国再建)です。 初めてのオリジナル・ヒロインで、上手く書けないですが、その点はご容赦下さい。 ---------------------- 前回より ---------------------- 父母を殺され叔父ムバルに国を奪われたラフレシアのレナ姫は、 蛇神の娘ナーガによって性奴の呪いをかけられる。 神官ラルの策略と将軍ザクの粛正で国内の反乱分子を制圧したムバルは、 ナーガ族とも同盟を結び、ラフレシアを手中に収めた。 簒奪者ムバルに捕われ陵辱されていたレナ姫は、 旧臣のシードとクルトによって救出されたものの クルトの賞金目当ての裏切りからシードを失う。 邪神を倒すガイアの剣もナーガに奪われ孤立無援となったレナ。 1人ルキアの森を彷徨うレナの前にナーガ族の狂戦士が立ちはだかった。 登場人物: プリンセス・レナ=元ラフレシアの王女 仇討と王国再建を目指して闘う美少女戦士 ムバル王 =レナの叔父で 国を乗取った男 (レナの母の仇) 神官ラル =ムバル王の腹心で狡知で卑劣な催眠術者 将軍ザク =ムバル王の配下の残虐で野心的な歩兵団隊長 ナーガ =ムバルを操り、蛇神復活を図る蛇神の娘 ゾキア =ナーガの配下で蛮族の長(レナの父の仇) サンガ =ナーガ族の戦士 シード =前国王に忠実な兵士、牢獄からレナを助けるが裏切られ死亡する。 クルト =シードの仲間だったが、懸賞金からレナを裏切る。 イムザ =ローレンシア王 (母の兄) ダルム =奴隷商人 パル =盗賊団の頭、奴隷商人ダルムの仲間 レル =バルの妹 ----------------------------------------- ナーガの狂戦士 ----------------------------------------- レナの前に現れた巨大な熊、それを引き裂くように倒した狂戦士、 その男の裸の上半身には、おどろおどろしたナーガの呪文の刺青がされていた。 その太い腕はレナの細いすらりと伸びた脚の柔らかな弾力のある太股の倍以上も有った。 傷を負った肩を庇い地面にへたり込んだレナに近づく狂戦士。 レナ 「こ、来ないで、来てはいけません」 狂戦士への恐怖からその言葉を出せずただ口をパクパクさせるレナ。 竦みながら弾かれ飛ばされた剣を捜すレナの前に座りこむ巨漢。 その胸の刺青が恐怖感を煽り小さな唇をわなわなと震わせるレナ。 男の手がレナの肩に掛り傷口を庇う手を掴む。 圧倒的な力になす術も無く手首をねじられ、びくついた様に身を固くするレナ。 腰の袋から葉っぱと草で編んだ紐のようなもを取り出す男。 巨漢がレナの傷を負った肩に大きな葉っぱを被せるとそれを紐で巻いて固定した。 それを黙ってくるくるした可愛い瞳で不思議な目で見るレナ。 レナ 「た、助けて くれるの?… あなたは誰?」 サンガ 「俺はサンガ。 ナーガ族のアモンだ」 レナ 「アモン?」 サンガ 「勇者という意味だ。勇者は手傷を負った者を殺さない」 手短に名のり上げ手当てが終わると、すくっと立つサンガ。 男への恐怖心と警戒心から身を固くするレナ。 サンガ 「立って歩けるか?」 巨漢に問われ起き上がろうとして腰が抜けたことに気付くレナ。 レナが巨漢を見上げながら小さく細い首を振った。 サンガがもう一度腰を落しレナを抱え上げる。 脅えて小さく短い悲鳴を上げるレナを無視してサンガは歩き始めた。 サンガの大きな胸にレナのまろやかな乳房が当たる。 初めて男に抱かれレナの心臓が早鐘のように鳴っていた。 レナ 「ど、どこへ?」 何処へ連れて行くのかと訪ねるレナにサンガは答えずに歩いていく。 森の奥の岩肌の見える場所の更に登った所に小さな洞窟があった。 浅い洞窟の地面には干し草が引かれその隅には水瓶や木作りの食器が置かれていた。 サンガ 「ここは俺が猟に使っている場所だ、誰も知らない」 干し草の上にレナを静かに降ろしたサンガはぶっきらぼうに言うと レナを1人残しそのまま洞窟を出ていった。 湿った土の匂いのする洞窟の中は外気の変化の影響が少なく思ったよりも過ごしやすかった。 逃げ出すべきか・助けられたことに感謝すべきか迷ううちに日が暮れ、 漆黒の闇が夜の森を徘徊する獣の咆哮がレナを洞窟に押し止めた。 夜になりサンガは倒した熊の肉を持ち帰って細い木を擦りあわせて火を起こすと 焼いた肉と草を潰した青汁をレナの前に出した。 レナは恐る恐るそれを受け取ると青汁の苦さに思わず顔をしかめた。 顎をしゃくり”飲めと”無言で促すサンガ。 レナは空腹と危機を逃れた安堵からサンガへの警戒を抱きながらも食べ始めた。 無言の食事が終りサンガがまた洞窟から出ていくと 満腹感となれない旅の疲れから隅に身を屈め眠り込むレナ。 数日無言の食事が続き傷が回復し始めた頃、レナの方からサンガに話し掛けた。 レナ 「なぜ ラフレシアの民を襲うの?」 サンガ 「お前に先祖の土地を追われた一族の恨みが解るのか」 レナ 「どういうことですか? 教えて下さい」 サンガ 「ナーガの民の土地を奪ったのはお前達ラフレシアの民だ」 レナ 「そんな!」 サンガ 「キアナの言葉の意味を知っているか?」 サンガを見つめながらゆっくり首を振り”知らないと”いう素振りをするレナ。 サンガ 「キアナとは”継ぐ者”という言葉だ。 我々の祖先がこの地に来たとき、そこに既に滅びた民の神殿があった。 遠く星辰の彼方から来た神殿の神クルールは、この星を水の星にし海の命を生んだ。 その神が長い眠りについた後、我々の神ザトスが水を飲み大地を生み地上の命を生んだ。 それを倒したのがお前達の神キアナだ。 神話ではそう語られているが、ラフレシアの民がナーガの民を打ち負かし 土地を奪って森へ追い込んだということだ」 レナ 「この星?…私達が住んでいる大地のこと?」 サンガ 「大地だけではない海も含めて、そうだ」 サンガが話す神話の世界、伝説はつねになにがしかの真実を含んでいる。 天と地との間に生きる人の歴史を語るサンガに、 身体に似合わぬ優しく話す口調と初めての知識に聞き入るレナ。 サンガのために血染めの衣装を洗濯し、骨で作られた針で指を怪我しながらも 侍女達がしていた事を真似て、衣装を縫うレナ。 華奢で可憐な姿に似合わず、ナーガ族の女とは違った強さ見せるレナに驚くサンガ。 ダガーナイフを器用に使って切った木から食器やスプーン・お碗を作り出し それを更に細く切って擦りあわせ簡単に火を起こすサンガ。 その手際の良さにくるくると回る大きな瞳を輝かせ見入るレナ。 虫下しの薬となる木の実、消毒薬となる葉っぱ、食用の樹木・ 小動物を捕獲する罠と調理法を手本を示しながら教えるサンガ。 光沢のあるブロンドの長い髪を手でかき揚げながら懸命に覚えようとするレナ。 くびれた腰のせいで歩く度モンローウオークのようにヒップを左右に大きく揺すレナ。 それを不思議な生き物のように見つめるサンガ。 サンガが猟から帰ってくる気配に気付き 少し照れながらはにかみながらそれを迎えに行くレナ。 ちょっとしたしぐさや、ふとした表情から、互いの優しさを感じる二人。 男と女の関係はなかったがここには安らぎがあった。 何気ない言葉やふとした触れ合いを重ねていくうちに、 父親のような包容力と安心感あるサンガに、 レナは頑なな警戒心を氷が溶けて水になるように解いていった。 緊迫した張り詰めた気持ちが解れ出す頃、洞窟の周りの景色も変わり始めた。 不気味なルキアの森が今では優しく命を育む自然に、 醜悪な巨木が年輪を重ねた大木に、甲高い鳥の声が優しいさえずりに変わっていた。 レナの傷が癒えるとサンガは武器の使い方や戦いの呼吸・間合いを教え出した。 母の明晰な頭脳と父の勇猛さを受け継いだレナは、 サンガの技を海綿が海水を吸収するように習得していった。 サンガもレナの物覚えの良さに舌を巻いていた。 見かけによらずタフでありながら、傷つきやすく豊かな感情の持ち主であるレナに 逸材を見出した先生が教え子を見るような眼差しを向けるサンガ。 戦士として父に剣を鍛えられ、サンガに実戦を教え込まれたレナは、 逞しくはないが、美しい戦士として育って行った。 … … … サンガと生活を始めて1ヶ月を過ぎた頃、レナは愁いを帯びた思いに沈んでいた。 ここから旅立つことをいつ言うべきか… 世話になりながら何も返せずに去らねばならぬことをどう話すか… 数日悩みつづけた後、思い余ってレナが告げたとき、サンガは意外にも反対しなかった。 レナがお礼にと言って差し出した金貨も受け取らず道案内までしてくれたサンガ。 サンガ 「お前の信じる道を行け。目的を持って進なら道は開かれるだろう」 サンガの言葉に、白い歯を見せレナのくっきりとした口元がほころぶ。 最初レナは自分の悲惨な運命を呪わしいもの、自分は悲劇のヒロインだと感じていた。 だがサンガと暮すうち、自分の意思で非道や邪悪と闘うヒロインになろうと決意していた。 サンガと別れ1人ルキアの森を抜け隣国キエフのデルクロス城へ向かうレナ。 その最初の目的地、国境近くのグランシカルは、交易隊で賑わう街だった。 だが、そこは同時に奴隷商人と盗賊達の街でもあった。 -------------------------------------- レナがルキアの森に潜んでいた間、ラフレシアではレナの捜索が続いていた。 ルキアの森の奥に迷い込んだ者は、獣に襲われるかナーガ族に殺されるかのどちらかしかなかった。 例外的にルキアの森を行き来できるのは、ナーガ族に貢ぎ物をし、彼等の庇護を得た商人だけだった。 若い娘、それも1人で生活したことのない王女が3日と生きて行ける地ではなかった。 それが1ヶ月も消息を絶ったなれば生きているとは考えられなかった。 ムバル王 「まだレナ姫は、見つからぬのか! お前達は何処を捜しておるのだ!」 18年間忍耐を重ねやっと手に入れた王国と王妃、 その1っを失ったムバルは、王妃の代わりに手に入れたレナを失ったことに 怒りを隠せなかった。 王座に座りながらムバルは神官のラルと将軍のザクを前にして怒鳴り声を上げていた。 懸賞金を掛けれは直ぐに見つけ出せると考えていた神官のラルも、 ルキアの森に逃げ込み消息を絶ったレナにはお手上げだった。 将軍のザクも森へ何度も兵士を派遣しナーガ族とともに捜索を行ったが 死骸や遺品すら発見できなかった。 それはレナ姫が生きている可能性を示していたが… 度重なる捜索にも関わらずレナの痕跡さえ見出せなかった。 神経質な細い指を組み合わせ短気な暴君の叱責にうな垂れる神官のラル。 はしこそうな顔の抜け目無い小男のザク将軍も打つ手が無いといった感じであった。 そのとき、ムバルへの謁見を許可された奴隷商人のダルムが部屋に入って来た。 商人ダルム 「新王ムバル様お久しぶりでございます。商人のダルムでございます」 ムバル王 「…」 ダルムはその場の沈んだ重い雰囲気を感じると、才気を働かせムバルの機嫌を取らねばと、 部下達に命じムバルの前に貢ぎ物を次々並べ始めた。 商人ダルム 「新王様への貢ぎ物としては些少ですが、諸国の珍品を集めましたお納め下さい」 ムバル王 「もう良い、倉庫に運んでおけ! お前も用が無いなら退って良いぞダルム。」 目の前に並べられる貢ぎ物にも関心を示さず、うんざりだという態度を示すムバル いつに無く不機嫌な様子に、ムバルを上目遣いに窺いながら揉み手をして問い返すダルム。 商人ダルム 「これは、これは、今日はご不興のようですな。私めでお手伝い出来るなら…」 ザク将軍 「高札を見なかったのか? ムバル様はレナ姫を案じられ食事も喉を通らぬのだ」 商人ダルム 「では、あの高札は本当の事でしたか…それで手がかりはないのでしょうか?」 ザク将軍 「ルキアの森の東口で消息を絶ってしまわれた後、何処に消えたのか解らぬのだ。 ナーガ族の手を借りて捜索を繰り返したが痕跡さえ見付けられぬ。 まさかと思うがルキアの森から出られたのではないかと案じているのだ。」 商人ダルム 「それならば、このダルムにお任せ下さい。 東と言えばその先はグランシカルしか有りませぬ。 グランシカルは私の街でございます。手を回して調べさせて見ますが?」 ムバルは期待などせぬと言う態度を見せながらもダルムに命じた。 ムバル王 「もし見付けたら丁重に運べ。他の娘の様には扱うなよダルム」 その言葉に同じ趣味を持つ者にしか解らぬ臭いを感じたダルムは、念を押すように質問した。 商人ダルム 「畏まりましたムバル様。ムバル様のお気に召すレナ姫様を運んでまいればいいのですな?」 ムバル王 「レナ姫はワシの可愛い姪だ。それを忘れるなよダルム。」 ダルムの言葉の意味を感づき、刺すように目を細めダルムを見ながら応じるムバル。 ムバルの言葉に唇を歪め、不気味な笑いを作って恭しくお辞儀するダルム。 ----------------------------------------- グランシカル(奴隷商人の街) ----------------------------------------- サンガの案内で無事ルキアの森を抜けたレナは、国境近くのグランシカルへの道を歩いていた。 「いやぁああああああああ! お願い離して!」 「おらぁ! 逃げられると思ったのか」 「へっへっへ もう観念しな」 「おら おら 暴れても誰も助けに来るものか。大人しくしろ!」 突然若い娘の悲鳴と、それを追っているらしい男達の怒声が耳に飛び込んできた。 咄嗟に声のする方角に走るレナ。 レナが道から外れた林に駆けつけたとき、目の前に半裸の娘が3人の男達に押え込まれていた。 レナ 「やめなさい! その人から離れるのです!」 突然の若い娘の制止する声に驚き振り向く男達、 木の枝と葉の間から入る陽光を浴びて立つ美少女を見たとき男達は思わず息を呑んだ。 レザーの肩当てとホプロンと呼ばれる盾を持ち、腰にショートソードを帯びていても、 ふっくら膨らんだ胸の隆起・プラチナブロンドの肩まで伸びた髪・ 丸く大きな澄んだ瞳・可愛く小さな口・身軽な衣装から見える瑞々しく透き通る肌・ どこから見ても可憐な少女だった。 男A 「ひゅうーーーまるで天使様だぜ」 男B 「すげぇ上玉だぜ」 男C 「へっへっへ たまらない体をしてやがるぜ」 レナ 「離れなさい。怪我をすることになりますよ」 卑猥な妄想を無視してレナは剣を抜くと柳眉を逆立てて男達に迫った。 レナが剣を構えるのを見て、押え込んでいた娘から離れると男達も武器を取った。 男A 「お前が身代わりになるなら この女を助けてやるぜ」 大型のダガーナイフを持った太った男が脅すように言った。 男B 「俺達に勝てると思っているのか?」 ロープの先に石の重りを括り付けたボーラを振り回しながら小柄な男が言う。 男C 「へっへっへ 本当は 俺達に遊んで欲しいんだろ」 フットマンズ・フレイルと呼ばれる短い棒と長い棒を繋ぎあわせた武器を持ち レナの隙を窺いながら背の高い男が脇に回り込もうとして言った。 たかが小娘と、ボーラを投げ、手を伸ばし捕まえようとした男を ソードで絡めその腹を蹴り上げるレナ。 腹を両手で押さえ崩れるように倒れ込む男。 隙を突いてフレイルを打ち込んだのを盾で弾くとその男に肩当てで体当たりするレナ。 鼻柱をしたたかに打ちくぐもった悲鳴を上げ膝を落す男。 レナは右端のダガーナイフの男に向かって走り込むと、ソードを上段から振り下ろした、 弾かれたダガーの代わりに頭を庇った腕に赤い筋を走らせる男。 切られた腕を反対側の手で庇いながら後退りする男。 レナが怯む男達を”きっと”睨み付けると。 美少女戦士の思わぬしたたかさに、たじろいだ男達は、一目散に逃げ出していった。 レナは敗れた衣装を慌てて寄せあわせはだけた胸元を隠す娘の方に歩み寄った。 娘の年はレナと同年齢か少し年下の15・16歳に見え、 焼けた肌と粗末な衣装から貧しい農家の育ちに思えた。 レナ 「大丈夫でしたか? もう心配はいりませんよ」 娘 「あ、ありがとうございます…あなたは?」 レナ 「旅の者です。家が近いなら送ってあげましょうか?」 娘 「お、おねがいが有ります」 レナ 「どうかしたの?」 脅えながらも訴えるような目でレナを見上げる娘。 娘 「街に私と同じように攫われた人達がいます。助けて下さい。お願いです。」 レナ 「街? グランシカルのこと?」 ”そうだと”こくりと肯く娘。 優しく微笑んで娘に答えるレナ。 ----------------------------------------- グラシカルの酒場の地下室 ----------------------------------------- たかが小娘と侮って手痛い傷を負った男達が、ボスのパルの前でしょぼくれて立っていた。 獣毛で裏打ちされたチェニックの上着と 左右の足を包む部分が縫いあわせたブラッケと呼ばれるズボンをはいたバルが 片足を丸太を縦割りにしたテーブルに放り出すように乗せ、 熊のような濃い鋼毛の腕を組んで、手下達の不甲斐なさに髪を逆立てて怒鳴っていた。 バル 「たかが小娘にやられ、せっかく攫った娘を逃がしたと言うのか」 男A 「す、すみません…」 男B 「ですが、なかなか手強い娘でして…」 男C 「俺達3人が束になっても勝てない…」 バル 「ばか野郎! 相手は女だろう、娘を取返して来い!」 バルが怒鳴っているのを側で聞いていた妹のレルが口を挟んだ。 レル 「兄さん。いいことがあるよ。その女剣士も捕まえてダルムに売ればいいじゃない」 バル 「…」 妹のレルの言葉に”それもいいだろう”と考え込むバル。 ”どうやって捕まえる”と言う鋭い目で見るバルに。 レル 「相手は若い娘だろう。風呂場なら武器も持っていないし、裸なら抵抗も出来ないさ」 姦計に長けたレルの言葉に、美少女戦士にやられた男達も目を輝かせて肯いていた。 道筋を考えれば、その女戦士もやがてグランシカルに来るだろうと予測したバルは 毛むくじゃらの太い腕を解くと立ち上がって手下達に命令した。 バル 「その娘が現れたら俺に連絡するよう宿屋に手配しておけ! お前達の仇も討ってやるぜ」 グランシカルに宿は2件しかない、どちらも奴隷商人のダルムが経営する宿だ、 俺が言えば、食事に痺れ薬を入れることも、寝室に仕掛けをすることも出来る。 相手は腕は達っても小娘1人、こちらは11人、 宿に泊まらせ武器を奪ってから、取り囲んで捕まえ縛り上げれば、あとは好き勝手に出来る。 手下達の話ではそこらの娘達と比べ物にならない程の上玉という話だ、 ”嬲り者にして俺達に逆らったことを後悔させてからダルムに売り飛ばしてやる。” そう計算したバルは全員を集めるようにレルにも命令した。 仲間を集め宿に網を張る盗賊団 罠が待ち受けるとも知らず助けた娘とともにレナはグランシカルに向かっていた。 ----------------------------------------- ***つづく