平成14年3月29日・初版 平成16年7月16日・改訂(扉絵を追加)

聖天使ミレイヤ・「凌辱生中継!悪夢のバスジャック事件」/AK−3・著 (ヒロイン原案:悪の司令官)

イラスト:悪の司令官
アクノ企画のタウン情報誌、タウン・ナビゲーターの発刊増刷を記念して、所長の友人数名が事務所に集まり、 パーティーを開いた。最後まで残った、酒豪の綿辺、木野原の2人、そして主催者の風下、奈緒美も結局、 付き合ってしまっていた。 「あれ?奈緒美ちゃんって、酒、強いんだねぇ。全然、かわらないよ!」 「もう、木野原さん、そんなに勧めないでくださいよ。これでもかなり酔っているんですよ」 「そういえば、奈緒美ちゃんって、酒も強いけど、力も強いって噂を聞いたけど、ホント?」 「綿辺さん、それ、誰から聞いたんですか?」 綿辺の唐突もない質問に目をシロクロさせる奈緒美。 「あれ?風下の奴いないや。このまえ飲んだときに、奈緒美ちゃんって、ジャムのビン、割っちゃうほど握力が強いって 言ってたよ。」 「あ、あの話ですか?あれは、ビンにヒビが入っていたんですよ」 木野原の声が便所の方から聞こえてきた。 「あー、風下のやつ、便所でノビてるぞ!」 「もう、所長ったら、また気絶ですか?」 主催者の立場上、中座できずにいた風下は酔いがまわり、あっけなくダウン。残る3人で酒宴は真夜中まで続いた。 「あ、いけね。電車なくなっちゃった。奈緒美さん、今夜はここに泊まっていいですか?」 「え?もう、こんな時間。それじゃあ、きょうはここで雑魚寝しますか?そのかわり変なこと考えないでくださいよ!」 奈緒美は2人の目の前でコーヒーのショート缶を握りつぶしてみせた。 ”グシャ!!” その光景を目の当たりにして、青ざめる綿辺と木野原。 「な、奈緒美ちゃんって、やっぱり強いんだ…」 「これじゃあ、俺たちの方が殺されるよ!」 「もう、2人ともレディーに向かって失礼よ!」 怒った奈緒美は、こんどは台所の冷蔵庫を持ち上げ、放り投げようとしていた。 「わ、わかりました。ごめんなさーい!女王さま!」 奈緒美の形相に思わず土下座をしていた2人であった。           ・           ・           ・ 翌朝、木野原が目をさますと、奈緒美は既に仕事を始めていた。 「あれ?奈緒美ちゃん、もう起きているの?ゆうべあれだけ飲んでいたのに…。あれ?綿辺のやつは?」」 「あ、おはようございます。木野原さん。綿辺さんは仕事あるので、先に帰りましたよ」 「あ、そうなんだ。あ、風下のやつどうした?」 「まだ寝ていますよ。」 便所で寝込んでいたはずの風下はソファーの上で寝息を、いや豪快なイビキをかいていた… 「あれ?奈緒美ちゃんが風下をソファーに?」 「ええ、そうですよ。あそこで寝てしまったら、風邪をひいてしまいますから、みなさんが寝た後に私があそこまで、 所長を運びました。」 「まあ、冷蔵庫だって持ち上げる奈緒美ちゃんなら、あいつぐらい軽々だね」 奈緒美と木野原の会話で目を覚ました風下。 「ん?ふぁ〜!あ、もう起きていたんだ。うー頭、いた…。あれ?綿辺は?」 「あ、所長。おはようございます。」 「おはようさん。綿辺なら、仕事があるから先に帰ったって。あいつ、仕事になるのかなぁ?そろそろ、おれも 帰還しないとなぁ、今夜の夜行バスで実家に帰らないといけないしなあ。まだ、帰り支度もできていないや。」 「あ、それなら、私、バス停までお供しましょうか?これからコンビニに行くつもりだったし…」 「あ、そう。わるいね。じゃあ、行こうか。それじゃ、おれ帰るからね。」 ソファーの上でまだ、寝ている風下に声をかけて事務所を出る木野原。そのあとについて奈緒美も風下に声をかけた。 「所長、木野原さんを送っていますね」 「…」 風下は、まだ酔いがさめていないのか、寝てしまっていた。 木野原が乗り込んだバスを見送り、事務所へ戻った奈緒美。 「あれ、木野原は?」 「あ、所長、やっとお目覚めですね。木野原さんは、今夜の夜行バスで実家に戻る為の帰り支度の準備があるからって、 さっき帰りましたよ。」 「あ、そういえば、木野原のやつ、実家に帰るって言っていたっけな?」 「ええ、そうでしたね。『親戚で結婚式があるって』言っていましたよ」 「結婚式ねぇ。あいつのじゃなかったんだ…」 風下の二日酔いも、ようやく直り仕事のペースが元に戻りつつあった。 「所長。二日酔いも、治ったようですね。」 「ああ、しかし昨日は、飲みすぎたなぁ。しばらくアルコールは、いらないよ」 前夜の宴会で出来た仕事の遅れを取り戻そうと、今夜も徹夜を余儀なくされる風下と奈緒美。 「あ、もう1時か。奈緒美ちゃん。お茶入れてくれる?」 そのときである。ラジオの番組が突然中断され、臨時ニュースが流れ始めた。 …「番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。神奈川県警察本部によりますと、今日、午前1時33分ごろ、 東名高速道路海老名S.A付近で大阪行きの夜行高速バスがバスジャックされました。乗っ取られたバスは大阪行き 『ドリーム号』で、犯人は複数の模様です。詳しい情報が入り次第、随時お伝えします。現在、わかっている乗客の お名前は、さいたま市○×町、橋本信吾さん、足立区☆△今本幸恵さん、練馬区×☆仁仙 彩さん、…西東京市○×町、 木野原睦さん…」 「おい、木野原の乗っているバスが、バスジャックに遭ったぞ!」 「え、ほんとうですか?」 ”プルルルルル!” そのときである。事務所の電話が鳴り出した。電話に出る奈緒美。 「はい、タウン・ナビゲーター編集局です。」 「あ、おれ、綿辺だけど。いま、テレビ見てる?木野原のやつバスジャックに遭ったみたいだぞ!」 電話の向こうの綿辺も興奮気味で話していた。 「え、ええ、私たちも、いまラジオで聞きました。」 「そうか。それならいいや。俺たちじゃ、なにもできないから木野原の無事を祈るしかないからね。あ、奈緒美ちゃん! 風下のやつ、『おれが、行く!』って言うかもしれないから、気をつけてね。あいつ、言い出したらきかないから。 それじゃ。」 電話から離れていた風下にも聞こえるほど大きな声で話していた綿辺であった。電話を切った奈緒美は綿辺の言葉に 心の中でつぶやいていた… 「私なら、木野原さんを救ってみせるわ」 奈緒美の心のつぶやきが聞こえたのか、突然、風下は大声を上げた。 「おれ!今から行ってくる!」 「所長、冷静になってください。いま行っても、何もできないじゃないですか?」 「それも、そうだな。」 徹夜で仕事をこなしながら、ラジオに耳を傾ける2人。いてもたってもいられず、とうとうテレビをつけた。 すでに、TVではどこの放送局でも実況中継をやっていた。とうとう、仕事の手を止めて、テレビに釘付けになった 風下と奈緒美。それもそうである。親友の木野原が乗ったバスがバスジャックに遭ったのであるから。  明け方になり、にわかに動きが出始めてきた。バスが動き始めた。 「ただいま入った情報によりますと、犯人はバスを車両基地に戻せと要求しています。バスはここ、海老名SAで Uターンをし、基地に戻るようです。」 TVの実況中継に聞き入る、風下と奈緒美。 「バスが基地に戻るって?バスの基地ってたしか、両国だな?いまから行けば、間に合うぞ!奈緒美、おれ行ってくる。 あと、たのんだぞ!」 「もう、所長ったら!しょうがないわね。」 事務所を飛び出す、風下。カブに飛び乗った後ろ姿を奈緒美は止めることはできなかった。風下の後ろ姿を見送り、 黙々と仕事を片付ける奈緒美。 「これで、よし!…とりあえず、区切りがついたわ。」 一区切りが付いたのか、奈緒美は突然手を止めた。時計の針は5時を回っていた。 一方、風下は国道14号をひたすら都心へ、いや、両国のバス基地に向かっていた。今朝は特に冷え込んでいるようであった。 信号待ちで風下のカブはエンストをしてしまった。 「クソ、こんな所でエンストなんかしやがって…。ポンコツカブめ!」 風下はカブに蹴りを入れると、エンジンがかかった。 「やれやれ、このわがまま息子が!」 再びカブにまたがり、両国のバス基地に向こう風下。 事務所に残っていた奈緒美は、パソコンのスイッチを切り、事務所のバルコニーへ出た。奈緒美は辺り一帯に 誰もいないことを確認した。奈緒美は回りに誰もいないのがわかると、つぶやいていた。 「さあて、そろそろ私の出番ね。」 そう言いながら両手の指先を伸ばして、両方の中指をこめかみにあてた。 「ティアラ・アップ!」 すると奈緒美の額が輝き、金色のティアラが現れた。続けて胸の前で腕をクロスし、そして両手を広げた。 「チェンジ・ミレイヤ!」 奈緒美が声を上げると同時に、身体が光に包まれていった。そして、奈緒美が本当の姿を現したのだ。 「さあ、行くわよ!」 ミレイヤに変身した奈緒美は空へ飛び立つ。 「あ、あれは所長のバイクね。私は先に行ってま〜す!」 空から風下を見つけたミレイヤは、彼にウィンクをし、加速をした。 「あ、あそこね。」 空の上からバスと基地を見つけたミレイヤ。 「まだ、警察は待機しているわ。いまのうちに奇襲しないと。あ、もう報道が来ているわ。でも、そんなことは 言っていられないわね。」 ミレイヤは基地のハイジャックされたバスの前に降り立った。 基地に降り立ったミレイヤの姿を一斉にTV局のカメラがとらえた。謎のスーパーヒロインミレイヤ、初の全国放映である。 ミレイヤは仁王立ちになり、バスジャックに向かって叫んだ! 「さあ、バスジャックのみなさん。降りてらっしゃい!おとなしくしないと、こっちから乗り込むわよ!」 しかし、バスの中からはなにも反応がなかった。そのときである。バス基地の事務棟から声がした。 ミレイヤは声の方向へ振り向いた。そこにはロープで縛られた当直助役に銃を突きつける、邪鬼の姿があった。 「ようこそ、威勢のいいお嬢さん。あんまり暴れまわると、こいつらがどうなるか、わかっているよな。 おとなしくしてもらおうか」 「う、なんて卑怯な手を使うの!」 「うるせえ!こいつらがどうなってもいいんだな!」 「…」 ミレイヤはバスジャックの言葉に従うしかなかった。 「あなたたち!目的はなんなの?身代金がほしいの?」 「おれたちは、カネなんかいらねぇ!宝石がほしいだけだよ!ミレイヤ、おまえがバスの中に入って、 乗客の身につけている宝石類を全部捕って来い!」 「いやよ!なんで私が悪事の手伝いをしなくては、いけないの!」 「うるせぇ!本当にこいつらの命の保証はないんだぞ!」 ライフルを突きつけられた、助役の姿を見てしかたなしに邪鬼に従うミレイヤ。ミレイヤがバスの中に入ると、 木野原の姿が…。 しかし、車内に入ったミレイヤは全身から力が抜けていくを感じた。 「あぁ、身体中の力が…。」 ミレイヤは朦朧とする意識の中で車内を見渡した。人質になった乗客たちの首には、同じデザインの首輪がされていた。 首輪には緑色の宝石が埋め込まれていた。 「こ、この宝石はメテオ・クリスタル…」 メテオ・クリスタルのせいでパワーを奪われたミレイヤはその場に倒れこんでしまった。 木野原ともう1人の男が、倒れこんだミレイヤを抱きかかえ、邪鬼の親分に引き渡した。 …説明しよう! メテオ・クリスタルとは遙か6500万年前、地球に飛来した巨大隕石に大量に含まれていたと言われている謎の物質である。 この物質は、ある一定以上の身体能力が優れている生物の生体エネルギーを吸収し、微弱の放射線に変換しながら少しずつ 蒸発する性質があると言われている。一説には恐竜が滅んだ原因とも言われている。 邪鬼達は、宇宙征服の野望の為に、メテオ・クリスタルを集めているのであった。 「おぉ、子分たち、よくやったな。」 車内に閉じ込められた人質たちは、首輪のせいで、邪鬼にあやつられていたのであった。 「おまえら、ミレイヤをそこの金網に磔にしろ!そうだ。外によく見えるようにだ」 邪鬼の親分に命令され、木野原はミレイヤを金網に貼り付けた。ミレイヤを縛っているロープは緑色の光を放っている。 そのときである。バスの基地がサーチライトで照らし出された。基地の構内だけ昼間のような明るさであった。 「ふふふ。ついに警察がきたようだな。だが、俺たちには関係のないことだ。さあ、これからスーパーヒロインの SMショウの始まりだぜ。おい、そこにいるTVのやつ、こっちに来い!」 「お、おれか?」 いきなり、邪鬼に指名され思わずたじろぐ一人の男。彼はこの事件を中継しているアナウンサーのようであった。 「いいから、こっちに来るんだよ。」 邪鬼にあやつられている木野原がアナウンサーの脇につく。背中には拳銃を突きつけていた。 アナウンサーは邪鬼の親分に例の首輪を掛けられた。親分邪鬼はアナウンサーに言い放った。 「おい、これは全国中継だよな?」 「はい…」 「じゃあ、いまから楽しいイベントを中継しようじゃないか。おい、報道の連中!これからのことは全部、 生で中継をするんだぞ!いいな!それから、生中継を証明する為に全チャンネル分のテレビを持ってこい。」 邪鬼に睨まれ、逆らうことができず、仕方なしにカメラをミレイヤの方へ向ける報道陣たち。 「おい、おまえ!この服に着替えるんだ」 親分邪鬼は木野原に指示を出した。もちろん彼も邪鬼にあやつられている。木野原が着替えた服はスーパーマンの コスチュームであった。しかし、胸のロゴは『S』のマークではなく『K』に変えてあった。 「いいか、おまえは今から、この女をいたぶる正義のスーパーヒーローだ。そうだな。見た目が船の船長みたいだなぁ。 いや、戦艦の艦長みたいだな。そうだ、おまえの名は『カンチョーマン』にしてやろう」 木野原がミレイヤを嬲る役に指名されたのであった。 「おい、カンチョーマン!この女の服を破るんだ!始めは胸から破いてしまえ!」 木野原、いや、カンチョーマンは邪鬼にあやつられ、無表情のまま、ミレイヤの服を破いた。 「い、いや、やめて!木野原さん!い。いやぁー、お願いやめてぇーー!」 木野原を助けるどころか、逆に、乱暴をされる悔しさと、自身の情けなさにミレイヤの悲鳴が響きわたっていた。 木野原がミレイヤのコスチュームを破ると、彼女の豊満な胸があらわになった。ミレイヤは恥ずかしさで身体中が 火照り、色白の肌が淡いピンク色に変わっていき、余計に艶っぽくなっていた。 「おぉぉーー!」 「すげぇ、キレイな胸だ…」 カメラマンたちは、正義のスーパーヒロインの豊満な胸元にカメラを構えながら思わず声を出していた。 もちろん、音声も全国生中継である。 「いやぁぁ、恥ずかしい…」 邪鬼にあやつられている木野原はさらにミレイヤの胸をもみはじめていた。 「あぁん、そこは、や、やめて…。あぁ〜ん。」 ミレイヤは胸をもまれ、感じてしまったのか、声を上げていた。薄いピンク色の乳首がたっていた。 「へっへっへ、いくら正義のヒロインといっても所詮女だな。身体は正直なもんだ。乳首が立っているぞ。 それにしてもキレイな胸だな。いままでこんなにキレイな胸は見たこともないぞ」 全国に中継された、自身の恥ずかしい姿にミレイヤは声にもならない声を出すのが精一杯であった。 「い、いやぁ、やめて!お願い、木野原さん!や、やめて!」 邪鬼にあやつられている木野原=カンチョーマンはミレイヤの胸をもんでいた。さらにミレイヤの秘密の花園に 指を入れていた。 「さすがのスーパーヒロインも体は正直みたいなようだな。もう、あそこがグチョグチョになっているぞ」 そういいながら、木野原が秘液で濡れた指をカメラに向けていた。 「おい!こんどはスカートも剥ぎ取ってしまえ!こいつのあそこをカメラに向けてしまうのだ!」 命令された木野原は「ニヤッ」と笑みを浮かべ、ミレイヤのスカートに手をやった。 「お、お願い…。木野原さん、正気に戻って!」 「う、うるせえ!」 ガン!邪鬼はミレイヤの顔を鉄棒で殴るが、傷一つできなかった。むしろ、鉄棒が変形をしてしまった。 ”ササッ!” 木野原がついにミレイヤのスカートを剥ぎ取りパンティ1枚になってしまった。自身の哀れな姿にミレイヤの頬に 涙が流れていた。 カメラが一斉にミレイヤの下着姿をとらえる。 「おおぉぉー!」 パンティ1枚になったミレイヤのしなやかに、そして、ボリュームのあるフトモモとカメラマン、 中継をしているアナウンサーは興奮し声を上げた。 「なによ、あれ。いい気味だわ」 女性のアナウンサーは、その完璧なまでの容姿のヒロインにジェラシーさえ感じていた。 木野原は邪鬼にあやつられているはずだが、こんどは指図もないのにミレイヤのパンティーに手を入れていた。 「へっへっへ。こんな状態なら、正義のヒロインも女にただの女に戻っているようだな。しかし、身体って 正直なものだ…。精神は拒否しても、身体は感じているようだな。こんなキレイな身体、風下に見せてやりてぇよ!」 「き、木野原さん、な、なにを考えているの?お、お願い、や、やめて!」 「ったく、うるせえメスブタだな。こいつでもくわえていろ!」 木野原は懐から猿ぐつわを取り出し、ミレイヤにかませた。 「ウググググ…」 猿ぐつわをかませられ、言葉にならないミレイヤ、邪鬼にあやつられた木野原になすがせれるままであった。 ”ビリッ!” 布地を破る音が基地の中に響いた。木野原がミレイヤのパンティーを破いたのであった。TV中継では磔にされた ミレイヤの全身がアップに映されていた。中継のアナウンサーが思わず叫んだ。 「おい!モザイク!モザイク!」 すかさずディレクターの声が響いた。 「す、すみません。ダメでした。間に合いません」 全身をアップに映されていたミレイヤの秘部がテレビに映ってしまったのであった。しかし、あまりにも突然の出来事に、 モザイクは間に合わず、ついにスーパーヒロインの秘部も少しの間であるがモザイク処理がされるまで、全国に 中継されてしまった。 しかし、メテオ・クリスタルを手に入れた邪鬼は日頃の恨みを晴らすのか、ミレイヤへの追撃の手を緩めることはなかった。 「う〜ん、どうも中途半端だな。しょうがないな。これをぶち込むか…」 邪鬼は特大のバイブを取り出し、木野原に手渡した。あまりの大きさに躊躇をしている木野原だが、その姿を見て親分邪鬼は 木野原を煽った。 「こら、なにボケっとしてるんだ。早くミレイヤのあそこにバイブをぶち込むんだ!」 邪鬼に命令をされ、木野原は特大バイブをミレイヤの秘密の花園へぶち込んだ。巨大なバイブを秘部に入れられミレイヤは 思わず悲鳴を上げるが猿ぐつわのせいで声にならなかった。 「ウググググ…」 「う〜ん、声が出ないとイマイチつまらん…。おい!猿ぐつわを外せ!」 邪鬼は木野原に命令した。木野原はミレイヤの猿ぐつわを外す。しかし、木野原は不気味な笑みを浮かべていた。 親分邪鬼は木野原がミレイヤの猿ぐつわを外すのを見るとバイブの振動を最大限に上げた。 「ああぁーー!い、痛い!こ、壊れちゃうーーーーー!!」 ミレイヤは悲鳴に近い声で絶叫する。 ミレイヤの悲鳴が基地の中に響き渡ったときである。突然人質の乗ったバスのエンジンが掛かる音がした。 「な、なにが起きたんだ?」 邪鬼たちがバスの方向を見るとガレージから人質たちの乗ったバスが出てくるところであった。 運転席では風下がハンドルを握っていた。 「おらおらおらー!どけどけどけーー!」 風下はバスをミレイヤの方向に向かって走らせていた。 「おい!こっちに向かってくるぞ!」 木野原がバスの音に気付き、振り向いた。 「あぁ!き、木野原!」 風下はあわててハンドルを切り、木野原をよけた。風下が急ハンドルを切ったせいで、人質たちにもミレイヤの哀れな姿を さらしてしまう格好になってしまった。 「あ、こんなにキレイな身体だったんだ!」 「クソ、おれはなんて、ついていないんだ…」 男の人質たちは口々におのれの不運を嘆いた。 そんな男たちを白い目で睨む女性の人質。しかし彼女たちはミレイヤの完璧すぎるプロポーションにジェラシーを感じ、 ジロジロとミレイヤの裸体を覗いていた。 ”ドッカーン!” バスは基地の塀に頭から突っ込み停まった。警察が一斉にバスの人質たちを救出し始めていた。そのときである、 辺り一帯に閃光が走った。それとほぼ同時に雷鳴が轟く。春の嵐の始まりの合図であった。 大粒の雨が基地一帯に降り注ぐ。 「うわぁ、雨だ!!」 突然の大雨で邪鬼たちのそして人質たちの首に下げられたメテオ・クリスタルが溶け始めていた。 メテオ・クリスタルは水に濡れてしまうと効能を失い、やがて溶けてしまうのであった。 当然、ミレイヤを縛りつけてたメテオ・クリスタル入りのロープもただのロープと化していた。 こうなれば、ミレイヤにとってはただのロープでしかなかった。 「やったわ。天の恵みだわ。これで復活よ」 ミレイヤはそう叫ぶと磔にされた両手両足のロープを引きちぎった。そして、両手の中指をティアラに触れ、 目を閉じると、あっという間にコスチュームが元に戻った。 「待て!地球の平和を乱す邪鬼たち、私が許さないわ!」 ミレイヤがそう叫ぶと邪鬼たちを睨みつけた。 「うわっ!に、逃げろ!退散だ!」 親分邪鬼はそう叫ぶと、そそくさと逃げ出していた。親分に続き塀を飛び越え逃げ出す邪鬼たち。 「しょうがないわね。あいつらを倒すのは、次の機会ね」 ミレイヤがそういうと足元に木野原が気を失い、倒れているのに気がついた。 「木野原さん、大丈夫ですか?」 パシッ!ミレイヤは木野原の頬を叩いた。 「い、いてぇ!あ、ミレイヤ…。お、おれ…」 「木野原さん、無事でよかったわ。」 「ミレイヤ、なんでおれのことを知っているの?」 「うふふふ。スーパーヒロインはなんでも知っているのよ。さぁ、私は行かなくっちゃ。 木野原さん、またどこかで会えるといいですね」 ミレイヤはそういうと、明け方の空へ飛び立って行った。 「ミ、ミレイヤ…。なんだろう、この手の感触」 邪鬼が逃げ出し木野原は正気に戻り、ミレイヤへの悪行は記憶には残っていないようであった。 しかし、木野原の手の平にはミレイヤの豊満な胸の感触が残っているのであった。 「さあ、事件も解決したし、帰るとするか。」 カブに乗り込む風下。 「あれ?ガス欠だ…。しょうがないなぁ。バイクを置いて帰るか…」 そのときであった、奈緒美が風下に向かって駆け寄ってきた。 「あ、奈緒美。おまえ…なんでここにいるんだ?」 「え?私ですか?と、とりあえず、一区切りがついたので電車で来たんです。そうしたら1駅手前で降りちゃった」 奈緒美は舌をペロッと出して、ごまかした。 「なんだ。また、ミレイヤと入れ違いだぞ。まるで、ミレイヤが奈緒美に変身して、おれの目の前に現れるみたいだなぁ」 「所長。それは単なる偶然ですよ。それより、木野原さんは無事ですよね?」 「ああ、あいつは、いま警察に行くところだ。ほら、あそこ」 木野原はパトカーに乗り込むところであった。 「木野原さーん!無事でよかったですね!」 「あ、奈緒美ちゃん!」 パトカーに乗り込んだ木野原は奈緒美の姿に、ミレイヤをオーバーラップさせていた。 「ま、まさか、奈緒美ちゃんが?…そんなはず、ないよな」 木野原を見送る風下と奈緒美。 「あ、そうだ。おれのバイク壊れたみたいなんだ。どこかで軽トラを借りるところないかな? 途中にレンタカー屋なかった?」 「さぁ。あ、あそこにレンタカー屋がありますよ」 「お。ラッキー。」 風下はレンタカー屋から軽トラを借りてきた。 「さぁて、こいつをトラックに載せて…。うわぁ、いてててて」 「所長。どうかしましたか?」 「久々に大暴れしたから、膝が…持病の痛風が…」 「もう、しょうがないわ。私が載せてあげますね」 奈緒美は自慢の怪力で風下のカブを両手でヒョイ!と載せてしまった。 「あいかわらず、君のパワーには恐れ入るよ。まるで、アクノ企画のミレイヤだね。 そういえば、体形も似ているなぁ」 風下はミレイヤの裸体を思い出し、奈緒美と見比べていた。 「所長!なにを想像しているんですか?」 「え、い、いや…。それよりなんで、おまえがそんなにムキになるの?」 「え?わ、私はヘンな想像をする人って嫌いです!」 奈緒美は急に怒り出し、風下の腕をつかみ上げ、荷台に載せてしまった。 「所長も、バイクと一緒に荷台にいてくださいね!」 「ちょ、ちょっと、待ってよ!さ、寒いよ!」 風下の悲鳴にも耳を貸さず、そそくさと運転席に乗り込む奈緒美であった。 どんな形であれ、女性を怒らすと怖いものである…。 …後日談… このバスジャック生中継の視聴率は、全局合わせて70%を越える視聴率があり、 たまたま録画していたビデオがネットオークションに高値で取り引きされていると言う話題を 風邪で寝込み、自宅のテレビで知った風下所長であった。 ***完