平成14年5月3日・初版

流星天使ラスキア・「輝く流星・戦え!仮面の天使ラスキア」/AK−3・著 (ヒロイン原案:悪の司令官)

 ここは風下のアクノ企画の事務所。所長の名前は風下達也という男である。 元々私立探偵をやっていたが、この不況のあおりを喰らい、私立探偵だけではやっていけなくなり、 地元の情報誌を発行することになった。 そこで事務員兼、取材記者に奈緒美という女性を雇うことになった、彼女の詳しいプロフィールはここでは割愛する。 タウン・ナビゲーターと地元の市がタイアップをしてイベントを開催したときに、一人の女子大生をアルバイトとして 雇ったことがあった。その女の子の名前は真理。しかし、この女の子が風下と意外なところでつながりがあるということは 思ってもみなかった。所長の風下と事務員の奈緒美が会話をしていた。 「そういえば、この前のイベントの手伝いをしてくれた真理ちゃんて、綿辺のイトコなんだって?」 「ええ、そうだったんですよ。真理ちゃんから綿辺さんの話が出て、ビックリしました。」 「おれも、前に綿辺から『親戚に、スーパーガールみたいな女の子がいる』って聞いたことがあったなぁ。 それが彼女ってわけだ。そういえば、綿辺から聞いたけど、真理ちゃんって綿辺の家に下宿してるんだってさ」 「えー!そうなんですか?知らなかった。世の中狭いですね。所長。」 2人の会話に出てくる真理とは、森永・ヘレン・真理という女子大生である。以前にアクノ企画が主催したイベントの 手伝いをしたのがきっかけで、風下たちと知り合いになったが、その彼女が以外にも風下の親友、綿辺の従姉妹だったのである。 世の中狭いものである。 プルルルルル…事務所の電話が鳴った。奈緒美が受話器を取る。 「はい、アクノ企画です。あ、綿辺さん!所長ですか?いますよ。いま、かわりますね。所長、綿辺さんです」 電話の向うの綿辺が風下に話す。 「もしもし、あ、おれ、綿辺だけど。真理のこと知ってるんだって?それでたのみがあるんだけど…」 「おい、頼みってなんだ?金は貸せないよ。悪いけど。」 「そうじゃなくて、真理のことなんだけどさ。あいつがバイトをやりたいって言うんだけど、どこか世話をしてくれないかなぁ。 ただ、大学の講義とかがあるから、毎日というわけにはいかないんだけどね。すまん、頼むよ。」 「しょうがないなぁ。それじゃあ、一応、面接をするから、あとで真理ちゃんを連れてこっちにきてくれないかなぁ」 「OK!それじゃあ、夕方あたりにおじゃまするよ。」 電話を切った風下が、奈緒美に内容を話した。 「綿辺が『真理ちゃんにバイトを世話してくれないか?』って。それで夕方、真理ちゃんといっしょにこっちに来るって」 「そうなんですか?所長!それならここで真理ちゃんにバイトをしてもらえばいいんじゃないですか?」 「それは、ダメ!奈緒美の給料を払うので精一杯なの。でも、バイト先の紹介ならなんとかできるよ。 タウン・ナビゲーターの求人広告の掲載先に紹介してもいいしね」 「それは残念だわ。彼女なら私のいいパートナーになってくれると思ったんですけどね」 夕方、風下と奈緒美は綿辺と真理が事務所にくるのを待っていた。 「遅いわね。綿辺さんと真理ちゃん。なにかあったのかしら?」 そのときである。テレビの画面に二人は釘付けになっていた。ニュースの中継画像である。事故で横転した乗用車から ケガ人を救出する女性の画像。しかし、普通の女性ではなかった。 「お、おい!あれ見ろ。」 画面にはケガ人を救出した後、乗用車を持ち上げ元に戻している女性の姿が映されていた。 「あ、あれは誰だ?奈緒美はここにいるし…」 奈緒美は心の中でつぶやいた。 「あ、あの娘は真理ちゃん?いや、そんなはずはないわよね」 そのときである。事務所のチャイムがなった。奈緒美がドアを開けると綿辺がいた。 「いやぁ、遅れてゴメン。真理のやつ『ちょっと用事思い出した』って言って、車から降りちゃってさ。 しょうがないから先に来ちゃった。」 「それで、真理ちゃんはここを知っているのか?」 「ああ、そういえば、あいつ『一度、来たことがあるからわかる』って言っていたけど、こっちに来たことがあるのか?」 「奈緒美、真理ちゃんはここに来たことがあるのか?」 「いいえ、彼女はここに来たことはないですね」 3人でそんなやりとりをしていると玄関のチャイムがなった。奈緒美がドアを開ける。 「あ、真理ちゃん、遅かったわね」 「あ、奈緒美さん。すみません。遅れてしまって。」 「コラ、どこに行っていたんだ、みんな心配していたんだぞ!」 綿辺が思わず、真理を叱っていた。 「お兄ちゃん、ごめんなさい。」 真理を叱る綿辺を風下がかばった。 「綿辺、いいじゃないか。こうやって真理ちゃんは無事だったんだし。それより『お兄ちゃん』だって? うらやましいよ。こんなかわいい子に、そう、呼ばれるなんてさ。」 「おい、よせよ。人をからかうのは。小さい頃から真理がそういうふうに呼んでいるんだ。おれも照れくさいよ。 正直言えばな」 風下は突然、綿辺の話を遮るかのように真面目な顔つきになった。 「それじゃ、真理ちゃん、面接始めるよ。名前はわかっているから、特技をおしえてくれるかな?」 真理は風下の質問に答えた。 「はい、特技は英語と母国、ブラジルのポルトガル語を話せることと、パワーとスタミナです」 「おい、おい、語学はともかくとして、パワーとスタミナはジョウダンだろ?」 風下は思わず、真理の言葉を疑ってしまった。しかし、綿辺が真理を弁護するように風下の言葉を遮った 「チョット待った。真理のパワーとスタミナは、おれが保証するよ。こいつこんな華奢な身体で、すごい力持ちなんだ。 うちの家のグラスを3個も、それも片手で握って割っているんだ。すこしパワーセーブしてほしいぐらいだよ」 「で、スタミナっていうのは?」 こんどは、真理が風下の質問に答えた。 「はい。わたし、寝なくても平気なんです。この前もレポートの締め切りが間に合わなくて、1週間、一睡もしませんでした。」 「へぇ、なんかうちの事務所の誰かさんみたいだなぁ。」 風下が笑いながらそういうと、真理と奈緒美はお互いの秘密がわかっているかのように目で合図をしていた。 奈緒美は真理に尋ねた 「で、真理ちゃんは、どんなバイトをしたいの?」 「そうですね。とにかく、いろんなことをやって日本のことを知りたいんです。だから、どんなものでもいいですけど…」 「そう、それなら、長期のバイトより単発のほうがいいかな?この前みたいなイベントはなかなかないけどね」 風下は、そう言うとファイルを取り出してきた。 「え〜と、とりあえず、こんなのどうかな?おれの行きつけの居酒屋で短期のアルバイトを探しているんだ。 もうすぐ桜のシーズンで花見客や、あと卒業パーティーやら新入コンパなんかで忙しくなるんだけどね。」 「あ、それいいですね。でも、帰りが遅いとお兄ちゃんの家に戻れないんじゃないですか?」 真理の心配そうな顔を見て、奈緒美が言った。 「それならバイトをやっている間は私のマンションに泊まってもいいわよ。女同士なら問題もないでしょ? 私が部屋に戻っていなかったら、ここにくるといいわ。」 「え、奈緒美さん、いいんですか?」 「いいわよ。遠慮なんかしないで。それに夜中に女の子の一人歩きは危ないしね。」 こうして、真理のバイト先が決まった。数日後、居酒屋は真理の噂で持ちきりになり、店の売上もウナギのぼりになった。 中には真理を目当てに通う常連もできるほどであった。もっとも当の本人は客の下品さにいささか、嫌気がさしてきていたが… 「よっ!真理ちゃん。きょうもカワイイ尻だねぇ」 「ちょっと、中田さん、いいかげんにしてくださいよ。酔っ払うとすぐ人のお尻を触るんだから!」 「うわ!いてぇ!なにするんだよ!」 ついに、真理の怒りが爆発してしまった。真理は客の腕を捩じ上げてしまった。 「お客さん、いいかげんにしてくださいよ。この子はこれでも力だけはあるんだからね。腕の骨を折られても、 責任は持ちませんからね。」 居酒屋の大将もこの中田という客の酒癖の悪さには頭を痛めていた。過去にも中田のせいでアルバイトの女の子が 何人もやめていっているのであった。 「大将!おあいそ!きょうはこれで帰るからな!こんな店、いつでもつぶしてやるから覚えておけよ!」 バタン!中田は店を出て行った。 「店長。すみません。つい、頭にきちゃって…」 真理は自分のことで中田が出て行ったことに責任を感じ、居酒屋の大将にあやまった。 「真理ちゃん、いいんだよ。あいつは酔うといつも、ああなんだ。気にすることはないよ。さぁ、きょうも真理ちゃんの おかげで大繁盛だ。そろそろ店を閉めるか。真理ちゃん、片づけが終わったら、帰ってもいいいよ」 「あ、店長。すみません。それでは先にあがりまぁす」 居酒屋を出た真理は少し酔っているのか、いつもとは違う道を歩いていた。 「あぁぁぁーー!たまには夜の河原を歩くのもいいわね。気持ちいいわ」 そのときである。真理は闇夜の中に人影を感じた。 「そこにいるのは、誰?」 「へへへへへっ。さっきは、かわいがってくれて、ありがとさん。力持ちのお嬢ちゃん」 「あ、あなたはさっきの…。中田さん?そうなの?」 たしかに、真理の前にいるのは居酒屋の客、中田であったが、店にいたときとは様子が違っていた。真理は不審に思った。 中田の顔が徐々に緑色に変化していったのであった。中田の後ろには子分の邪鬼たちが、いつのまにか姿を現していた。 「おまえ、ただの女ではないな?正体を現せ!」 「しょ、正体を現せって…」 中田の唐突に言葉に真理はとまどったが、周りを見回し、中田とその子分以外に誰もいないのを確かめると冷静になって 中田に答えた。 「しかたが、ないわね。」 真理がこめかみに指を当て、眼を閉じて叫ぶ。 「ティアラアップ!」 すると彼女の額にティアラが現れた。続けて両手を動かしながら次の言葉を叫んだ。 「チェンジラスキア!」 真理は両手を下で交差した。すると彼女の身体が光に包まれ、真理は流星天使ラスキアに変身した。 「流星天使ラスキア、ここに参上!あなたたちね。王位継承の証を奪ったのは。今日こそ返して貰うわよ!」 「うるせぇ。そんなことよりも、さっきのお返しをたっぷりさせてもらうぞ!店では大恥じかかせやがって!」 中田が変身した邪鬼は子分を引き連れ、ラスキアを囲んだ。 一方、奈緒美と風下は真理の帰りが遅いので、心配をしていた。 「あ、もうこんな時間。きょうは真理ちゃん、遅いわね。いつもなら遅くなると電話をよこすのに…。 なにか、あったのかしら?」 「あれ、こんな時間だ。真理ちゃん、きょうは随分遅いなぁ」 「所長、私、真理ちゃんを捜してきます。」 「そうか、わかった。真理ちゃんがいたら、そのまま連れて帰っていいよ。おつかれさん。」 「それでは、失礼します」 奈緒美は事務所を出て、居酒屋に行った。店はもう閉まっており、明かりも消えていた。 「あれ?もう店は出たみたいね。」 奈緒美は店をあとにした。 「そうだ、きょうは暖かいし、土手でも散歩しているのかしら。でもこんな夜中じゃ危ないのになぁ。」 奈緒美が土手を歩いていると、数人の人影がうごめいていた。 「あ、あそこにいるのは?」 奈緒美が人影に近寄ると、邪鬼になった中田とその子分邪鬼が真理を…いや、ラスキアを囲んでいた。 「あ、あれはこのまえテレビに映っていたスーパーガール」 奈緒美はラスキアの姿を見ると、安心したのかしばらく木陰に隠れ様子を見ていた。 「あの子が相手なら、邪鬼たちもひとたまりもないはずだわ」 ラスキアは子分邪鬼を相手に柔道の乱取りのようにちぎっては投げ、ちぎっては投げ、いつのまにか、ラスキアの前には 子分邪鬼の山ができていた。 しかし、邪鬼たちはすぐに復活をし、ラスキアにかかっていった。 ”プアーーン!” 鉄橋を電車が駆け抜けてゆく音に、ときおりラスキアと邪鬼たちの言葉が途切れる。 「なんなの?こいつら。これじゃあ、キリがないわ。ようし、こうなったら全部まとめて…」 そういうと、ラスキアは空高くジャンプした。だが、次の瞬間、信じられない事が起こった。 ”バシッ!ビリビリビリ!” ラスキアの身体が鉄橋の架線柱の高さまで上がったとき、閃光が走ったのである。 「あぁぁ!しびれるぅ」 ラスキアが地面にたたきつけられてしまった。 「い、痛ぁい!い、いったい何が起こったの?エイッ!」 ストン!ラスキアはもう一度ジャンプしようとしたが、飛べない。これではただのコスプレお姉ちゃんである。 「ヘッヘッヘ。お嬢さん。さっきの威勢はどこへ行っちゃったのかな?」 邪鬼はそういいながら、ラスキアに詰め寄った。 「あぁぁぁっ!べ、ベルトがぁーー!」 「どうやら、この女はベルトがないとパワーが出ないみたいだな。おい!おまえら、いまのうちにこのメスブタを 縛っておけ。」 邪鬼は鉄橋の架線を指差した。どうらやラスキアはジャンプをしたときに、架線に近づきすぎた為、高電圧によって 放電現象が起き、電気ショックからラスキアを守る為、パワーベルトが外れてしまったようであった。 「こんなドジなメスブタに、レイア星の王女の資格なんかないようだな。ベルトは俺たちが預かった! それだけじゃねぇよ。さっきのお返しだ。ただじゃ帰さないからな!おまえら!おれに恥をかかせた、 このメスブタを思う存分嬲るがいい」 「τ$★#△Åψ◆ζ※!!?%&」 なにやら子分邪鬼は宇宙語で会話をしている。 「ま、まちなさい。そ、そんな…。なにをするの!やめて!」 パワーを失ったラスキアはあっというまにロープで縛られ、邪鬼たちの思うがままであった。手始めにラスキアの フトモモに手を這わす邪鬼たち。 「σÅψτζ△◎※◆#$%&!」 また邪鬼たちは宇宙語で会話をしていた。読者の為に日本語に訳すると、こうであった。 「へっへっへっへ。このおねえちゃんのフトモモ、ピチピチだぜ。うわぁ、たまらん…」 邪鬼の手はピッチピチのフトモモから秘密の花園へ這い上がり、ボディースーツの上から指を這わしていた。 ”ビクッ!” 思わず敏感に反応してしまう。ラスキア。さらに邪鬼たちは胸をもみ始めた。胸をもまれラスキアは思わず、 声を出してしまった。 「あ、あぁぁーー、や、やめて…」 ”ビリビリビリ…”邪鬼たちはラスキアのコスチュームを引き裂いた。ラスキアの豊かな胸が露になる。 満月の明かりに照られたラスキアの身体は一際、妖艶であった。 「へっへっへっへ。さすがコスプレお嬢さんだ。服の下にはいいもの隠しているんだなぁ。ミレイヤとか言った オバサンよりも若くてピチピチしてるぞ。まるで桃のようだ。どれどれ、味見してみるか。おまえら、どけ!どくんだよ!」 「ちょ、チョッと待ってよ!私がオバサン!?」 奈緒美は思わず、飛び出しそうになったが、正体がばれてしまうのはマズイと思い、しばらく様子をうかがっていた。 親分邪鬼は、ラスキアの桃のような胸をしゃぶりはじめた。 「あぁぁん。…や、やめて…」 ラスキアはピンクの乳首を吸われ感じてしまったのか、思わず声を出してしまった。 「お嬢さん。この桃は大きいわりにずいぶん弾力のある桃だね。こんなにおいしい桃は久しぶりだなぁ。 いや、桃ではなくてメロンかな?感度も良好のようだねぇ。さぁて、こっちはどうなのかな?」 親分邪鬼はこんどはラスキアの割れ目に指を入れた。 「あ、あぁぁ…。そ、そこは、だ、だめ…」 ”ビクン!” 邪鬼のフィンガーテクニックに身をよじるラスキア。 「おやおや、こっちもずいぶん、反応がいいようだね。これなら犯しがいがあるってもんだ。 それなら、こいつをブチ込むか」 邪鬼の手にはいつのまにかバイブレーターが握られていた。そのバイブをラスキアの秘密の花園へ入れ、 バイブのスイッチを入れた。バイブの振動に思わず、身体に力が入るラスキア。 「あ、あぁぁーん。そ・こ・は…」 「あ、なんてこった。市販のバイブだと、こんなに簡単に壊れてしまうのか、なんていう怪力お○○こだ…」 ラスキアのあまりのマン力にあきれる邪鬼たち。 そのときである。一陣の風と共に誰かが鉄橋に引っかかったラスキアのパワーベルトをさらっていった。 人間とは思えないジャンプ力で、それも高電圧の電気が流れる架線に引っかかったベルトを取っていったのである。 「はい、ベルト。これでだいじょうぶね。」 「あ、あなたは奈緒美さん?」 その人影は奈緒美であった。奈緒美はパワーベルトをラスキアの腰に巻きつけた。 「あ、ありがとう…。これで、復活よ!」 そう奈緒美に礼をいうと、ラスキアはパワーベルトのバックルに両手を当てた。 すると、ラスキアのコスチュームがあっというまに復活したのであった。 「これさえ、戻れば、あなたたちなんか相手にもならないわ。待ちなさい!」 パワーベルトがラスキアの手に戻り、パワーが復活したのを知った邪鬼たちは、慌てて逃げ出そうとしていたが、 ラスキアがジャンプ一番、邪鬼たちの行方を阻んだ。 目の前のラスキアから逃れようと反対側に走り出し、角を曲がった邪鬼達だったが、いつの間にか目の前にはラスキアが 仁王立ちで睨み付けていた。 「うわぁ!なんでここにおまえがいるんだ?」 ラスキアは地上を驚異的なスピードで駆け抜けることもできるのであった。 「どう?私って走るのも速いでしょ?」 そう、言いながらラスキアは、足元のドラム缶を拾い上げ邪鬼たちに向って放り投げた。 ドラム缶は子分邪鬼の頭に命中した。 「うわぁ、退散だ」 親分邪鬼はそう叫ぶと、河原に止めてあったアメ車に乗り込んだ。残りの子分邪鬼も慌てて乗り込む。 アメ車の行く手にはラスキアと奈緒美が仁王立ちに待ち構えていた。 「待ちなさい!このままでは帰さないわよ!」 ラスキアがそう叫んだが、邪鬼たちの乗り込んだアメ車はUターンをし、川へ飛び込んで行った。 「早く邪鬼達から王位継承の証を奪還しないといけないわね。 それに、この町は王位継承の証と関係がある場所だから、なおさら私が守らないと…。ミレイヤとともに。 あ、奈緒美さん、ありがとうございます。ピンチを救っていただいて…」 「よかったわ。私が役にたって。あ、そういえば真理ちゃんって女の子、知りませんか?」 「真理ちゃん…ですか?さぁ?私、もう行かないと…」 ラスキアはそういうと、空へ飛んでいった。 入れ違いに真理が奈緒美の姿を見つけ、駆け寄ってきた。 「奈緒美さぁーん!」 「あ、真理ちゃん。どこにいたの?心配したわよ!」 「心配かけて、ごめんなさい。帰りに気持ちがいいから遠回りをしていたら道に迷っちゃって…。 それで、土手に出たらわかると思って、土手に上がったら大きな声がするでしょう?よく見たら奈緒美さんだったので 安心しちゃいました」 真理は奈緒美に、見え見えのウソをついたが、奈緒美はあえて知らないフリをした。 真理は突然泣き出し、奈緒美にだきついた。 「奈緒美さん、私、すごく怖かった!」 「真理ちゃん、もういいのよ。あそこは今日で、おしまいにしましょうね。今度はもっと良いバイトを探してあげるからね。 さあ、早くアパートに帰ろう。そうだ、土手をかけっこしようか?いくわよ。ヨーイ、ドン!」 奈緒美と真理は土手を駆け出した。あまりの速さに土ぼこりがたっていた。 取材を終え、夜中の土手を車でを走る綿辺は2人の後ろ姿をみつけた。 「あれ?真理と奈緒美さんだ。なんだろう。こんな、夜中に…」 彼女達を追い越すつもりで車を走らせていた綿辺だったが、真理と奈緒美はあっという間に綿辺の視界から消えていった。 「あれれれ?なんなんだ?あの2人。おれの車よりも速く走って行ったぞ…。やばいなぁ、予想以上に疲れているのかな? 仕方がない、休憩するか。」 土手に車を止め、車外で深呼吸したあと、車に寄りかかり、一服する綿辺であった。 ***完