平成14年7月12日・初版 平成16年7月23日・改訂(扉絵を追加)

聖天使ミレイヤ・「頭上に鉄骨!危機一髪!!」/AK−3・著 (ヒロイン原案:悪の司令官)

イラスト:悪の司令官
 地元ミニコミ誌の編集もようやく軌道にのってきたころ、珍しく本業の探偵の仕事が入ってきた、アクノ企画事務所。 しかし、探偵の仕事が入ってからというもの、どうもよくないことが続いていた。 所長の風下はミニコミ誌の取材兼本業の情報集収にでかけるところであった。 「それじゃ、おれ、取材に行ってくるから、あとを頼むね。」 風下はパソコンに向い記事の編集をしている奈緒美に声をかけた。 ”バーン!” 風下が玄関のドアを開けようとしたとき、突然ドアが爆風で吹き飛んだ。 「う、うわあ〜!」 風下が声にならない声で悲鳴をあげ、その場にうずくまった。 風下が気が付くと奈緒美が風下を覆いかぶるようにして爆風で吹き飛んだ鉄のドアから守っていた。 爆風で吹き飛んだドアは奈緒美の身体に直撃し彼女の身体の形に凹んでいた。 「うぐぐぐぐ…」 風下はちょうど、奈緒美の豊満な胸元が風下の口と鼻を塞ぐようになり息苦しさで気がついた。 「な、奈緒美…。いつのまにか…。それにこのドアの凹み。君の身体は鉄よりも丈夫なのか?」 風下は、いつも間一髪のところを奈緒美に助けられ、命拾いをしていた。 雑誌の取材&情報収拾のため、都心へ出かけていた風下。奈緒美と待合せをしている駅前に向い交差点で信号待ちをしていると、 信号無視をしたアメ車が風下にムカって暴走してきた。 「う、うわあ〜!」 ”ドン!” もう、ダメかと思った風下は突然、誰かに突き飛ばされ、間一髪、アメ車からのがれることができた。 アメ車は電柱に激突をして、大破していた。しかし、運転をしていた人の姿はすでに見あたらなかった。 道路に倒れた風下が目線を上げると奈緒美が風下の顔を覗き込んでいた。 「所長、だいじょうぶですか?」 「あ、奈緒美。いつのまに…。君か?おれを突き飛ばしてくれたのは。おかげで、間一髪で助かったよ。」 風下はそう言いながら、電柱に激突していたアメ車を見ていた。 「あぶなかった…。あのままだったら、おれは電柱と車に挟まれて即死だったかもしれないなあ。 そういえば奈緒美は、どこからここにやってきたんだい?駅からなら歩いて来るのが見えたはずだけど…。 まるで空を飛んできたか、テレポートでもしてやってきたみたいじゃないか?」 「もう、所長ったら、また妄想ですか?私はスーパーウーマンなんかではないですからね。空を飛んだりテレポートなんかできませんよ。 ちょうど、紅子さんに駅まで送ってもらったんです。そうしたら、ちょうど交差点で所長の姿が見えたので、車をおりたら、 ああいう状況になったんです。」 「…紅子さんか。でも、見事なまでのタイミングだったよ」 「所長。なんか疲れているみたいですよ。ちょっとお茶でも飲んで一息入れませんか?報告したいこともあるし」 「そうだな。そうするか」 風下と奈緒美は駅前の喫茶店に入った。 「で、報告ってなんだい?」 風下は奈緒美に聞いた。 「そのことなんですけど、所長が調査している仕事、手を引いたほうがいいような気がしてるんです。 なんか、誰かが罠を仕掛けているんじゃないかと…」 「罠?ハッハッハ!おれに罠を仕掛けて、なんかいいことがあるのかな?まさか、邪鬼が奈緒美のことをミレイヤだと思って、 おれを危ない目に遭わせれば、奈緒美がミレイヤに変身して助けるとでも思っているのか?もし、奈緒美がミレイヤだったら、 おれも見てみたいなあ。たしかに、君は時々人間とは思えない怪力を発揮しておれのことを助けてくれるけどな。 まさかそのまさかじゃないだろう?」 「所長!私、マジメに所長のこと心配しているんですよ!」 「じゃあ、おれが囮になってもかまわないさ。おれは、今回の仕事に命をかけてるんだ!もし、奈緒美がミレイヤでもおれは驚かないよ。 これ、おれの分、よろしくね。」 風下は自分のコーヒー代を奈緒美に渡し、喫茶店を出ていってしまった。 「もう、所長ったら…。それとも、私の正体に気付いたのかしら?でも、所長は私が守ってあげないと…」 奈緒美はレジでお勘定を払っていると、外から風下の悲鳴が聞こえた。 「うわー!もう、だめだあ〜」 奈緒美が声のするほうを見ると工事現場の鉄骨が風下を襲っていた。 「た、たいへん!お、おつり、いいです!」 奈緒美はそう言い残し喫茶店を飛び出した。 「しかたがないわ。ティアラアップ・チェンジミレイヤ!」 奈緒美は風下のいるほうへ駆け出しながらミレイヤに変身していた。 ”ガシッ!” ミレイヤは、光速に近いスピードで降ってきた鉄骨の下へ潜り込み間一髪、風下を助けた。 「風下さん、もう、だいじょうぶですよ」 ミレイヤは風下に声をかけた。彼女の声に風下が顔を上げるとミレイヤは笑みを浮かべ、片手で鉄骨を支えていた。 「あ、ミレイヤ。いつのまに…。ありがとう。そういえば、奈緒美は…?」 「風下さん、彼女なら事務所へ戻りましたよ。」 「でも、なんで君がここに?」 「スーパーヒロインは危険な目に遭う人を助けにすぐ飛んでくるのよ。それに奈緒美さんから『風下所長を守ってあげて』って、 お願いされたの。あ、風下さん、そこをどいてくださいませんか?鉄骨を下ろさないと…」 ”ドッスン!” 風下が鉄骨の下から出るとミレイヤはまるで、物干し竿を持つように軽々と鉄骨を地面に下ろした。 まわりの野次馬たちは、ミレイヤの怪力ぶりに目をシロクロさせていた。 「すげーなー。スーパーウーマンか?あれは」 「よく、こんなものを片手で受け止められたなあ」 そのときであった。また鉄骨が降ってきた。 「あ、風下さん!危ない!」 ”ドン!” ミレイヤはとっさに風下を付き飛ばした。 「うわあ!」 ”ドーン!” 風下はミレイヤの怪力で数メートル後ろの塀に叩きつけられ、気を失ってしまった。 ミレイヤ目がけて鉄骨が落ちてくる。 「な、なんなの?力が出ないわ!」 ミレイヤは降ってくる鉄骨を受け止めようとしたが力が出ない。 「あ、あ〜!」 ミレイヤは鉄骨の下敷になってしまった。 鉄骨の下敷になり身動きができなくなったミレイヤを囲む数人の男がいた。男らは緑色の肌をしている。邪鬼たちであった。 その中でも、ひときわ大柄な親分格の邪鬼がミレイヤの顔をのぞきこむ。 「なんだ、あいつらは?新しい特撮番組のロケか?こんどは女の主人公か。チェック入れないと…」 「しかし、こんどのヒロインはすごい身体だなあ…。大人向けの番組じゃないか?」 「いや、ひょっとしたらAVのロケかもな。最近、こういうタイプのAVもはやっているみたいだぜ」 「…ってことは、あの女、AV女優か?どうりで胸がデカイと思ったゼ」 どうやら、ミレイヤたちのまわりにいた野次馬たちは邪鬼の姿を見て子供向けの特撮ロケと勘違いをしているようであった。 「フッフッフ…。さすがのスーパーウーマン、ミレイヤもメテオ・クリスタル合金の鉄骨には勝てなかったようだな」 「あなた、たちね!風下さんをいつも危ない目に遭わせたのは。」 「ハッハッハッハッハ!やっと状況がわかってきたようだな。ごほうびにその鉄骨をどけてやるとするか。 おっと、そのまえにこいつをつけないとな。怪力オバサンに大暴れされると困るからな…」 邪鬼はそういうと、ミレイヤに手錠をかけた。手錠は緑色に鈍く光っていた。 「か、怪力オバサンって…。どういう意味よ!レディーに失礼だわ!」 「フッフッフ。最近ラスキアとかいう小娘を相手にしているからなあ。どうしても、おまえがオバサンに見えてしまうよ。 おっと、これはミレイヤ専用のメテオ・クリスタル合金製の特製手錠さ。これなら、引きちぎることもできまい。 おまえら、この鉄骨をどけてやれ」 親分格の邪鬼は子分たちに命令をした。子分邪鬼は4人がかりで鉄骨をどかしていた。 「ったく、だらしがねえな!4人がかりでやっとかよ。おまえらは!この女は片手で軽々と持ち上げていたんだゾ! つかえねえやつらは下がっていろ!」 親分格の邪鬼はそういうと、ミレイヤの前に仁王立ちになった。邪鬼の股間に目をやると、肉棒がそそりたっていた。 まるでミレイヤの美貌と怪力に興奮をしているようであった。 「フッフッフッフ。いくらオバサンとはいえ、こんなにいい身体をしていると、ついつい興奮してしまうようだな。 おれの息子は正直者みたいだぜ。」 邪鬼はいきなりパンツを脱ぎ、そそり立つ肉棒をミレイヤに見せつけた。 「さあ、このおれさまの自慢の息子をなめるんだ!ほら、これだよ。すごいだろう。へっへっへっへっへ…」 「いやん!なによこのイボイボ!気持ち悪いわ!」 ミレイヤに顔を背けられ、邪鬼の怒りは頂点に達していた。 「このアマ!気持ち悪いだぁ?おまえに選ぶ権利なんかないわ!この、メスブタめ!」 ”ビリビリビリ” 邪鬼は怒り狂いミレイヤのコスチュームを破いた。 破れたコスチュームからは豊満な乳房が飛び出した。 「おぉぉー!すげー!でけーーー!」 「コスチュームから飛び出したぞ!」 野次馬たちはミレイヤの胸のふくらみを見て大騒ぎになっていた。 邪鬼はミレイヤの胸にイボイボの肉棒を押し付けた。 「ほれ、顔がいやなら、その巨大な胸に俺様の息子をあげようか?どうだ。こんなに元気になって…。」 「い、いや!や、やめて!こんな気持ちの悪いイボイボ…」 邪鬼はミレイヤの言葉を無視し、胸をもみしだいていた。 「へっへっへ。ラスキアとかいう小娘にはない、大人の色気を感じるぜ。うぅぅー。もう我慢できねぇ…」 ”ビリビリビリ…!” 邪鬼はミレイヤの成熟しきった身体に我慢できず、全裸にしてしまった。 「おぉぉぉー!フトモモもムッチムチだぞ!こんなすごい身体をしたAV女優っていたか?すごい新人だなぁ…」 新作AVのロケとカン違いをしているギャラリーはミレイヤを新人のAV女優だと思っていた。 「ほほう、おまえはAV女優だったのか…。それなら遠慮なく味見をさせてもらうぞ。へっへっへっへっへ」 邪鬼はミレイヤの秘密の花園へ指を入れた。 「ん?言葉では『イヤ!』とか言っておきながら、身体の方は大歓迎のようだな…。こんなにグチョグチョになっているじゃないか」 「い、いやぁん…。や、やめて…。あ、あぁぁん…」 ラスキアは意識の中では拒否をしていたが、邪気のフィンガーテクで思わず意に反し、声を出してしまった。 邪鬼はミレイヤの花園へ指を入れ、こねくりまわしていた。 「うっ!なんて締め付けだ。指が痛い!相変わらずの絶品だな、正義のヒロインにしておくのがもったいないぐらいだ…」 邪鬼は指を抜き、いよいよ肉棒をラスキアに挿入しようとしていた。 「へっへっへっへっへ。これだけ締まりのいい、お○んこは、久々だなあ。おれの孝行息子も楽しみにしているぜ。 こんなに元気になっているぜ」 「い、いやぁん。や、やめて!お願い!」 ミレイヤは必死に邪鬼から逃れようとして身体を動かしていた。無意識のうちに何かをつかみ邪鬼に向かって投げた。それはスパナだった。 鉄骨が降ってきたときに、作業員が逃げるため放り出したのであった。 ミレイヤはスパナを邪鬼に投げたが簡単によけてしまった。しかし、邪鬼がよけたおかげで、そのスパナは風下に命中したのであった。 ”ゴン!” 「いてっ!」 風下はスパナが頭に当たり痛さで目がさめた。 「あ、ミレイヤが邪鬼に…。またメテオ・クリスタルを使ってミレイヤを…」 風下はミレイヤがメテオ・クリスタルに弱いこと。そしてメテオ・クリスタルが水に弱いこと、時間が経つと効能がなくなることを 知っていたのだ。 「なんか、いいものはないかな?」 風下は周りを見渡していた。 「あ、いいものがあった。ようし!」 風下は近くの水道を見つけた。工事現場の洗い場の水道であった。ちょうどいいぐあいにホースがつけてあった。 ”ジャーーーー!” 風下はミレイヤめがけ、水道の水をかけた。 「いやぁん、冷たい!…あ、手錠の色が…」 ミレイヤは風下に水をかけられ、メテオ・クリスタル合金の手錠の色が変わっていくのを見ていた。 「もう、メテオ・クリスタルの効能はなくなったようね。これからは私の反撃よ!エイッ!」 ミレイヤは手錠を引きちぎった。そして両手をこめかみにあて精神を集中した。 ミレイヤのコスチュームが元にもどった。 ミレイヤはまわりにいた野次馬たちを指差し叫んだ。 「さあ、これできょうのロケは終わりよ。早く逃げないとあなたたちにも被害が出るわよ」 ミレイヤはそういうと足元に転がったドラム缶を持ち上げ、邪鬼に向かって投げた。 「うわぁ!」 邪鬼はドラム缶をかわしたが、こんどはそれが風下に当たってしまった。 「い、いてぇ…」 風下はまた気を失ってしまった。 ミレイヤはさらに邪鬼に向かって飛びついた。 「さっきはよくも、恥ずかしい目にあわせたわね」 ミレイヤは邪鬼の胸倉をつかみ上げた。 「風下さんをこんな目にあわせるなんて、絶対許せないわ!」 ミレイヤは邪気を放り投げた。 「う、うわぁ…。逃げろ!退散だぁ…」 邪鬼は起き上がると、逃げ出した。あっというまに姿が見えなくなった。 「ま、待て!」 ミレイヤは邪鬼を追いかけた。 それと入れ違いに奈緒美が姿を現した。彼女は風下にかけよった。                ・                ・                ・                ・                ・ 「所長!しっかりして!」 「う、うーん…。あ、奈緒美…。ミレイヤはどこにいった?」 「え?ミレイヤですか?そんなことより、所長、だいじょうぶですか?ケガは?」 「お、おれどうしたんだ?」 風下が周囲を見回すと、自分が事務所のソファーに寝かされている事に気づいた。 「もう、所長、しっかりしてくださいよ。さっき、喫茶店で話をしていたら、急に怒りだして出ていっちゃうんですから…。 それで、所長の声が聞こえたら、そこの事務所の前で転んで…」 そこへ現場監督がやってきて、話に割り込んできた。 「頭を鉄骨にぶつけて気を失っていたんですよ。そこへ、この女性がかけつけて、しばらく事務所で休んでもらっていたんです。 いやぁ、このお嬢さん、すごい力持ちですね。あなたの足元に落ちてきた鉄骨を1人でどかすんですから…。おどろきました」 「あ、この子がですか?彼女、学生時代にスポーツをやっていたんで体力だけはすごいんです。いやぁ、ご迷惑をかけました。」 頭をかきながら、現場監督に謝る風下であった。 「さあ、所長、事務所にもどらないと…」 2人が事務所に戻ると1枚のFAXが受信されていた。 …前略、今回の身元調査の件ですが、諸般の事情により、打ち切らせていただきます。なお、謝礼として… 「あ、もう捜索はいいって、FAXだ」 「でも、所長、ちょうどよかったんじゃないですか?わたしこれ以上所長が危険な目にあうのが怖くなっていましたから…」 「うん、そうするか。またしばらくタウン・ナビゲーターの編集に専念するよ。あ、おまえシャツの胸のところ破れているぞ。 お、きょうはピンクのブラか…ラスキアの服と同じような色だなぁ」 シャツの破れ目から奈緒美の豊満の胸元が見えているのを風下は見逃さなかった。 「もう、所長ったら、どこを見ているんですか?エッチ!」 ”パシーン!” 奈緒美は思わず、風下を平手で殴ってしまった。 「いてぇ!」 ”ゴン!” 奈緒美の怪力で飛ばされた風下が、壁に頭をぶつけ気を失ってしまった。 「いけない、つい力が入っちゃった…。所長!だいじょうぶですか?」 苦笑しながら、風下を介抱する奈緒美であった。 ***完