平成14年10月18日・初版

紅天使フォルティア・「堕天使誕生?紅天使調教計画・第1章」/妄想博士・著 (ヒロイン原案:悪の司令官)

 太平洋を行く不気味な国籍不明の大型船。 元は日本国籍の貨物船だったが、数年前に太平洋で消息を絶った。  行方不明になった当時は、事故説、拉致疑惑説、神秘現象説等、様々に議論されていたが、結局、真相が究明されないまま、 誰もが忘れてしまった出来事だ。  真実は鬼族による拉致…乗組員は邪鬼となり、船内は近代的に改装され、夜盗鬼族所有の動くアジト「鬼丸」となっていた。  現在「鬼丸」の会議室では赤鬼が議長となり、定例の作戦会議が行われていた。  議題は作戦の計画立案だったが、そこは夜盗鬼族…これまでの作戦失敗に対する追求と批判で大混乱になっていた。 「ここの処、青鬼は失敗の連続ではないか? 不老不死、風俗店…全部、フォルティアに阻止され…しかも角まで折られて、 すごすごと帰ってくるとは…情けないぞ!」 「くっ! でっ、でも、私だけではありません。メテオクリスタルを使いながら、ミレイヤに妨害され、資金調達に失敗している邪鬼達も 問題です。」  ただでさえ青い顔の青鬼は更に青い顔で弁明をしている。 「それに赤鬼様も『ルーレット族邪鬼化作戦』『ダイエット性奴隷化作戦』では、あれだけ動員したにもかかわらず、 一人の邪鬼も、そして性奴隷も獲得出来ずに苦杯を舐めておりますな!」 「なっ、何っ…、あれは…配下の邪鬼が運転を…それに、いきなり登場されては…!」 「赤鬼、青鬼! 見苦しいぞ! 言い訳は止めなさい!」  背後の玉座に座る女性の鬼…妖鬼が冷たく言い放った。  任務に失敗をした鬼族にとって、妖鬼が傍聴する作戦会議は、結果によっては生死を分ける、まさに地獄の時間である。  赤鬼達は一斉に妖鬼の方へ向き直ると、うなだれるように頭を下げた。 「ははっ! どうか…どうか、お許しを…」  夜盗鬼族の首領、妖鬼。   妖しくも美しいその表情はとても冷たく、鋭い瞳で睨まれると、さすがの赤鬼、青鬼達も凍り付いてしまう。   夜盗鬼族の絶対的なカリスマである妖鬼は、一向に伸展しない地球…いや日本征服に業を煮やしていた。   男性は邪鬼、若い女性は性奴隷、子供や老人は只の奴隷化をすることにより、まるまる日本を奴隷国家にしてしまうことが目的なのだが、 その中心となる若い男性の獲得がさっぱり振るわない。  (これも、ティアラヒロイン三人娘が現れてから…一体、赤鬼、青鬼は何をしているか?) いつまでも頭を下げている赤鬼達に、冷たい視線を送った妖鬼は、抑揚の無い口調でゆっくりと諭し始めた。 「赤鬼、青鬼、それから邪鬼達…お前達は馬鹿ですか? いままでの作戦では失敗して当然です。  大体、『邪鬼を大量に獲得しよう』『ティアラヒロインが出てくれば、少人数で捕らえよう』 『上手くいけば邪鬼と性奴隷で一石二鳥』などと思い上がりも甚だしい。 ティアラヒロインはお前より強いのですよ…赤鬼!  それで無くとも…『二兎を追うもの一兎も得ず』と下等な人間達が言っている通りではありませんか!」  これには、赤鬼以下一言も無い。  「本来であれば、お前達を発狂死させる処だけど…相手がティアラヒロインなので…これまでの事は見逃してあげましょう!  ただし…次の作戦に失敗したら、もう許しません!」  一同、安堵のため息が漏れ、赤鬼が代表して発言した。 「ありがたき、お言葉…大変うれしく思います。 無論、次の作戦には全力で挑む所存でございます。  数々の屈辱、必ず晴らして参りましょう。」 「ほっほっほ、お前達の全力など…充てには出来ません! 今度の作戦は…私のプランを基本にしなさい…赤鬼!」 「ははっ! ごもっともです!」 「良いか、下等な人間は『己を知り、敵を知れば、百戦危うからず』とも言っています。今回の作戦は、徹底的にヒロインを研究してから、 実施しなさい。 目的は一つ…ヒロインの一人を捕らえ、性奴隷とすること…だけです。  一人だけを誘き出し、一対多数…それも十分な装備と幾つかの罠を仕掛けた場所で戦いなさい。 複数のヒロインを相手にしたり、 ついでに邪鬼を獲得しようなどと欲張れば、失敗するのは目に見えている。作戦の内容は任せますが、戦術・目的は一つだけに絞りなさい。 良いですね!」 「はっ、お言葉の戦術に従い、作戦の立案を致します。 今度こそ、必ず成功させてご覧に入れます。」  赤鬼の返事に頷いた妖鬼は、冷たい視線を隣の青鬼に向けた。 「邪鬼の獲得など、ティアラヒロインを各個撃破した後ならば、いくらでも出来るはず。  それに、お前達にとっても、美しい性奴隷が手に入る方が好都合。 どうです、青鬼?」 「妖鬼様の美しさに比べれば、ヒロインなど足元にも及びません。 ただ、ヒロインを、性奴隷として我等にお与え頂けるなら、 どんな褒美にも勝るものかと…作戦の成功が楽しみになってなって参りました。」 「よろしい! 私は鬼ヶ島で性奴隷が届くのを待つことにしましょう! 皆の者、任せましたよ!」  「ははっ!」  妖鬼の去った会議室では、長時間に渡り、作戦が検討された。  最大のテーマは…どのティアラヒロインを狙うか?  流星天使ラスキア、聖天使ミレイヤは人間と行動を共にする上、二人ペアになることもあるため、非常に狙いにくい。  もしも、どちらかが登場するようなら作戦は一時中断、ほとぼりが冷めた時点で再開されるよう決定された。   そうなると、狙いは最後の一人。 単独行動の多い…紅天使フォルティアということになる。 フォルティアとの過去四回の戦闘経過が分析され、弱点、得意技、心理分析まで、全員に徹底された。  こうして…優秀なスタッフと莫大な資金が投入される、鬼族始まって以来の組織的大作戦「フォルティア性奴隷化計画」が動き出したのだ。 ******************************************************************************** (トゥルル・トゥルル) 「あらっ、電話だわ。」 (ガチャ!) 「もしもし、誠望女子・宇宙物理研・萩原ですが…」 「もしもし。 紅子ちゃん? 萩原です。 教授室まで来て貰える?」 「あっ、叔母様…いえ、萩原教授。 判りました、すぐ伺います。」  紅天使フォルティアの地球での名前は萩原紅子。  職業は大学講師…叔母が宇宙物理学の教授をしている関係で、誠望女子大学に勤務しており、教授補佐と資料収集をやっている。 (トントン!) 「紅子です。 失礼します!」  部屋に入ると、萩原教授がソファーで待っていた。 萩原教授は地球人である。   紅子(フォルティア)の本当の叔母では無いが、銀河連邦のローカルエージェントであり、様々な支援や情報提供をしてくれる。  銀河連邦が選んだ人材なので、信頼出来るし、人間の中では超エリート…物理学の権威であり、民間登用の文部科学大臣候補にも なっているので、政府機関にも顔が利く。 「紅子ちゃん…座って。 ねえ、最近鬼族の動きはどうなの?」 「何も目立った動きは無いですね。 色々、調査をしてるのですが…収穫無しです。 叔母様の方で何か情報でもあるのですか?」 「ええ、そのことなんだけど…今日ね、教科書問題で国家公安委員長と会ったのだけど、妙な話をしていたわ。  最近、豊洲の埠頭倉庫で盗難未遂が多発しているようでね、目撃情報では、二人の鬼が一番海沿いの倉庫に侵入し、 何も盗まないで逃げるらしいの。 倉庫を荒らすわけでもないから、何か探しているようでもないし…。  警察も不法侵入くらいでは、厳重な警備は出来ないようだし、そもそも公安委員長が『鬼なら桃太郎か金太郎に任せよう!』と鬼族を 本気にしていないから、待ち伏せて捕まえることも出来ないけれど…なんか変な話よね。」 「確かに妙ですね。 拉致もしない、物も盗まないなんて、今までの鬼族の手口と違いますね。 何が目的なのだろう?」 「まあ未確認情報だし、鬼族の目的が判明してからの方がいいのかも知れないわね?  本当に鬼の幻覚を見たのなら、無駄足になってしまうし…。 今の処は動かない方が得策ね。 詳しい情報が掴めたら、また伝えるけれど…紅子ちゃん…駄目よ! まさか一人で張り込みなんてしないでね。」  萩原教授は、紅子がフォルティアであることまでは知らない。 人間はティアラヒロインの存在すら、よく知らないのである。 「うふっ、大丈夫ですよ。 私だって一人では怖いですから…それに、今日の午後から折角の連休なので、ゆっくりしようかと…。」 「あら、そう! 鬼の居ぬ間に…どこか旅行にでも出掛けていらっしゃい!」 「は〜い、考えて見ます。 それではお先に失礼しま〜す。」  教授室を出た紅子は、もちろん…豊洲の埠頭倉庫へ直行していた。   まさか、鬼族の真の目的が自分を捕らえるための罠とも知らずに…。 ********************************************************************************  通報があったせいか、深夜の豊洲埠頭倉庫付近では、頻繁にパトカーの巡回がされている。  ただ、犯罪が起こる前に、特定の場所で待ち伏せを実施出来ないところが、日本警察の限界なのかも知れない。   紅子…いや、すでに変身したフォルティアは海沿いの倉庫に潜入していた。  ただ、今回はなんとなく気持ちがすっきりしない…何かおかしいのだ。  大体、鬼族が何を盗むつもりなのか、フォルティアには全く見当がつかなかった。  倉庫中を探してみたが、貨物は格安店で販売される輸入雑貨類ばかりで、鬼族達が狙うような珍重貴重な物など何処にも無い。  警備がずさんになるのも仕方がないくらい、危険を冒して盗みに入るような貨物ではないのだ。  (今まで、鬼族の狙いが判っていた上で行動していた…でも、今夜は…?)  疑問が不安に変わり始めたため、フォルティアはあわてて自らの考えを打ち消した。 「きっと大丈夫よ! 今回、目撃されているのは、邪鬼二人だけ…逃走用に居るとしても、後一人。  赤鬼、青鬼は…影すら見えないのだから、やはり悪戯程度なのかも知れない。  邪鬼なら三人まとめて捕まえるのは、簡単なことだから…考えて見るとチャンスだわ…よ〜し、こうなったら一人も逃がさないわよ♪」  フォルティアは倉庫の中で、五感を研ぎ澄ませ、じっと待つことにした。 聴力、視力共に人間の数倍だし、なにより邪悪な気配には とても敏感だ。 倉庫内で人間以外の気配がすれば、すぐに判る。   深夜一時を廻った頃に、フォルティアは倉庫内に邪鬼の気配を感じた。  貨物の陰に隠れながら近づいて見ると…やはり、二人の邪鬼だ。 フォルティアはしばらくの間、邪鬼達の行動を見張っていたのだが… 会話も無く、ただ扉付近をウロウロしているだけなのだ。  (何やってるのかしら? あれっ、もう帰るの? 何も盗んでいないのに…変なの! とにかく、捕まえてあげましょう。  何が目的なのかは白状させればいいわ!)  荷物の陰から飛び出したフォルティアは、扉を出て行く邪鬼達を追って、走り出した。 「待ちなさい!」 「誰だ? おっ、フォルティアだぞ! 分かれて逃げろ! それっ!」  邪鬼達は倉庫の外に出ると、二人別々の方向に逃げ出した。  フォルティアは片方の邪鬼に背後から飛び蹴りを放ち、貨物の山に突っ込んだ邪鬼の腕をつかむと、その場に引き据え、尋問を開始した。 「逃げようとしても無駄よ…貴方達、一体、何をしていたの?」 「知らん…それより離せ。 ぐわああ!」  フォルティアが腕を捻り上げたのだ。 「駄〜目! 言いなさい。 もう一度聞くわ…倉庫で何をしていたの?」 「命令されただけで、何も知らないんだ。 ぐわあ! 本当だ…頼む、離してくれ。 船に乗らないと…基地に帰れなくなる!」 「船にあなたの仲間が居るのね…よ〜し、一網打尽にしてやるわ! それまでここで眠っていなさい。 エイッ!」  フォルティアに角をチョップでへし折られると、邪鬼は泡を吹いて昏倒してしまった。 (さあ、船だわ…あっ、あれ、月の光が…。 この、巨大な雰囲気…あのときの…?) 「フォルティア。 見事に邪鬼を捕まえましたね…ご苦労様。 これで一人の邪鬼が人間に戻れます。」 「貴方は誰…? あっ、でも、ごめんなさいね…今はそれどころではないの!まだ他に邪鬼がいるわ。早く行かないと、逃げられちゃう。」 「今夜はこれで止めなさい。 鬼族の狙いを読めない不安が、貴方の心に影を落としています。 それに、今夜の鬼族達には、 とても邪悪な気配を感じます。 たまには人間を頼ったらどうですか? パトカーも巡回しているし…」 「そんなの無理よ…折角のチャンスだし…とりあえず、この邪鬼は貴方に任せるから、よろしくね! それじゃ、急ぐので…また今度!」 「あっ、フォルティア!」  フォルティアは月の灯りを避けるように、倉庫の陰を走り出した。 次に空を見上げたときには…分厚い黒雲が月の光を遮っていた。   桟橋には小さなホバークラフトがエンジンをかけたまま、泊っている。   (あれね…よ〜し、トイヤ!)  フォルティアは大きくジャンプをすると、ホバークラフトの入り口に立っていた (先程逃げた片割れね…) 邪鬼に、パンチラ・フライングキックを食らわせながら、邪鬼もろとも船内に突入した。  「げほっ!」 (ドスッ!)  邪鬼は船内のシートに激しく激突した。 「わっ、邪鬼52号、大丈夫か? うっ、フォルティア…! えい、出航!」  飛び込んだフォルティアを待っていたかのようにホバークラフトは、出航し、スピードを上げた。  中にいた邪鬼が操縦もせず、身構えたところを見ると、船は自動操縦のようだ。 「今夜は逃がさないわよ。 さあ、二人ともおとなしく捕まりなさい。」 「くそっ、いつも逃げてばかりではないぞ。 喰らえ!」(バシッ!)ぎゃあ!」 「邪鬼53号! ぬかるなよ…(ドスッ!)ぐっは!」 邪鬼とフォルティアでは、パンチ一発の破壊力が数段違う。 共に素のパワーは人間の二〜三倍で同じだが、 フォルティアはパワーブレスの増幅効果により、更に10倍のパワーを出せる。  たちまち、二人の邪鬼は叩きのめされ、シートに這いつくばった。 「どう? まだ、痛い目に会いたいのかしら? それとも、おとなしくする?」 「ううっ…邪鬼52号…まだ…着かないのか?」 「はあはあ…もう少しだ…邪鬼53号。 フォルティア…逃げるなよ…」 「はあ? 逃げるなって…?。 訳が判んないわ…それに、この船はどこに向かっているの? あぁっ、あの船にぶつかる!」  自動操縦のホバークラフトは、港の外に止まっていた貨物船に最大スピードで接近し、衝突…するかと思われたのだが、 その直前に船腹が開き、貨物船に吸い込まれると、格納庫のようなスペースに着床した。 「着いたぞ…我らが「鬼丸」に…。(ガクッ)」 「はあはあ、教えてやろう。我々の今回の狙いは…フォルティア…お前だ…(ガクッ)」 (あらあら、気絶しちゃった。 角を残して置けば良かったわね…また謎が増えちゃったし… 「鬼丸」、それに「狙いは私」って、どういう意味かしら? とりあえず、外を調べて見ましょう… あれっ、向こうの壁に…何か書いてある。 なんて書いてあるんだろう?)  フォルティアはホバークラフトを下り、文字を読むため壁に近づいた。  「何々…『我らが誇る豪華調教船[鬼丸]へようこそ…紅天使フォルティア! 乗組員一同、貴方を歓迎致します。  まずは出航記念パーティーへどうぞ!』」 (ガタッ!) 「あっ、落とし穴! きゃあああ!」  突然、足元の床が無くなり、フォルティアは急角度のアルミ製滑り台を落ちていった。  「きゃあああああ…」 (ドスン、フワン、フワン) 「あれっ、柔らかい…?!」  真っ暗な場所にフォルティアは放り出された…ただ、クッションが敷いてあったようで、十数メートルの高さから落ちて来たと 思われるのに、衝撃は全く無い。  「この部屋は…一体?」  立ち上がると…手を伸ばせば届く位…天井が低い、ただかなり高さが無い分、前後左右の面積は広いようだ。   それに、この床…落ちた場所だけでなく、全面ウォーターベッドのような柔らかい素材で、歩くどころか立つことすらおぼつかない。  何よりも、数多くの邪悪な気配を感じる。  (バタン!) 頭上の扉が閉まると同時に、床と天井がピンク色に発光し、淫靡な雰囲気をかもし出した。 「まさかこの船・・・船型のラブホテルではないでしょうね? あっ、鬼族!」  なんと赤鬼と青鬼が率いる邪鬼達が、周囲の壁にズラッと整列しているではないか。   しかも、その数50名はいるようだ。 「罠にはまったなフォルティア。 さあ、邪鬼供、やつに襲い掛かれ。 連携攻撃で動きを止めろ・・・後は訓練通りだ。 やれ!」  赤鬼の号令がかかった途端、まだ状況を把握し切れていないフォルティアに様々な物が発射された。  ロープ銃、電気ショック銃、中に生ゴム溶液の入った風船玉、催涙粉末。   フォルティアは天井が低いため、上には逃げられず、前転をしてかわそうとしたが、床に足をとられ、右手がロープに捕まった。   邪鬼達は低い姿勢で輪を縮めてくる。 フォルティアは右手のロープを引き千切ると、フォルティアキックを放った。  衝撃波で四、五人の邪鬼が吹っ飛んだが、何しろ足場が悪く、連続では放てない。  (しまった…これは計算された罠? この部屋ではキックとジャンプが自由にならない…どうしよう…)  多人数が相手の場合、フォルティアは連続キックで敵と距離を取るか、頭上を飛び越えながら常に有利な位置取りで戦うのだが、 柔らかい床と低い天井に阻まれ、それが出来ない。   たちまち、接近格闘戦に持ち込まれてしまった。  「後ろへ廻れ!」 「左手を狙え!」 「足にしがみつけ!」  邪鬼達は互いに指示を出し合いながら攻撃をしてくる。  なにせ、50人・・・倒しても、倒しても、次から次に襲い掛かってくる。  健闘していたフォルティアだったが、ハイキックを放ったとき、柔らかな床に軸足がふらつき、体のバランスを崩してしまった。  「チャンスだ!」   青鬼の声と共に数発のロープ銃が発砲され、フォルティアの手足に絡みつくと、赤鬼を含めた10人位の邪鬼達がのしかかってきた。   押さえられても、片手一本空いていれば、邪鬼を一人づつ投げ飛ばすことが出来る…のだが、赤鬼が相手では…そうはいかない。   赤鬼に食らい付かれている間に、それぞれの手足を三、四人ずつの邪鬼が押さえつけ、ワイヤーで止めようとしている。 「青鬼、今だ掛かれ!」  赤鬼は命令を出し、フォルティアの左手を全力で押さえつけた。  (何故、左手・・・あっ、パワーブレスが!)   気付いたときには青鬼がパワーブレスを腕から外しにかかっている。  「てこずらせてくれたな。 だが、パワーブレスさえ外せばこちらのものだ。 そうら、取れたぞ!」  パワーブレスは紅天使専用のパワー増幅装置である。   これを失うとフォルティアのパワーは素・・・それでも彼女の場合は重力訓練を受けているから人間の二、三倍の力…に戻ってしまうのだ。 「ああっ、返して! 力が…ああっ、このままじゃ…負けちゃう…。」 「ふっふっふ、なんだ、ブレスが無くなると、こんなに弱いのか? これなら、俺だけで…いや、この考えはいかんな… おい、邪鬼達、フォルティアを縛るのだ!」  フォルティアの四肢はそれぞれ別のワイヤーロープで縛られ、五人づつの邪鬼がロープの反対側を綱引きのように引っ張った。   これでフォルティアは…仰向けに「×」の形で…完全に動きを止められてしまった。  赤鬼はフォルティアに馬乗りになると、巨乳を撫でながら、勝利を宣言した。 「ふっふっふ。 今日こそは我々の完全勝利だな。 ヒロインは敗北の後どうなるか? これから、たっぷり教えてやるぞ!  楽しい船旅になるぞ…フォルティア!」 「ううっ! なんですって…楽しい船旅?」 「そう、楽しい船旅だ! おっと、挨拶がまだだったな? ごほん! 夜盗鬼族の最新豪華調教船『鬼丸』へようこそ、フォルティア!  私が船長の赤鬼だ。 さて、この船は東京発我ら鬼族の楽園…鬼ヶ島行きだが…、はたしていつ到着出来るかな?。  若い女性の場合、鬼ヶ島には性奴隷としての上陸しか認められないから、航海の間、我々が船内でお前に各種調教を施してやる。  お前が完全な性奴隷となったとき、ようやく島まで到着出来るのだ。」 「誰が性奴隷なんかになるものですか! (バキッ!)ううっ!」 「いけないぞ…そのような態度は。 航海の間、過ごすことになる『鬼丸』の設備については、追々説明してやるが、 逃げ出すことは絶対に出来ないはずだ。 とりあえずはこの後の予定を教えてやろう。 青鬼!」  「はっ! 俺様が船内企画責任者の青鬼だ。 まず、隣のパーティールームで、盛大にフォルティア捕獲祝賀パーティーを 全乗組員参加で朝までやることになっている。 それでは、パーティールームに…おっと、その前に…あなたには『淫靡な正装』に お召し替え頂かないとな…心配には及ばないぞ…最もお前の美しい姿…そう、生まれたままの姿が基本だ。 性感センサー入りの首輪と、 拘束用具はこちらで用意してある。 それでは、お召し替えは係りの者に任せて、しばしの間、おくつろぎ頂こう。」 「そんなのいやよ! (バキッ!)はうっ!(ドスッ!)ううっ!」  赤鬼の攻撃を受け、フォルティアが苦しむ間に、身に付けているものが、次々と破られ、脱がされていく。   陰毛が見えるところまで下げられた純白のパンティだけは、「×」の拘束が「Y」に変化し、丁寧に抜き取られた。   こうして、フォルティアはティアラとフェイスペイントを残し、全裸にさせられ、どの体位でも犯せるように…後手、M字開脚に 縛られてしまった。 最後に、妖しい宝石の付いた首輪が巻かれると、「淫靡な正装」へ着替えが全て終了したことになる。  パーティールームは、天井が高く、照明の明るい、大きなスタジオ位の広さの部屋だ。   ただ、中央にぽつんとローベットが置かれている。 「淫靡な正装」のフォルティアが隣の部屋からローベットに運ばれた。  「ふっふっふ、それでは、フォルティア捕獲祝賀パーティーを始めよう。 これから朝まで、ここにいる全員の精子を 上下の口から飲んで貰う…というちょっとしたカクテルパーティーだ。」  「ひっ、卑怯よ…大勢で…絶対いやよ! そんなカクテル飲みたくないし、こんなパーティー出たくないわ! 今すぐ中止しなさい!」 「祝賀パーティーなので中止は出来ないな…それに、案外楽しいぞ。そうだ…乳を揉まれれば感じるだろう? これで…楽しく参加出来るぞ!」  赤鬼は肉棒をフォルティアのヴァギナにこすりつけながら、巨乳を鷲掴みにすると、荒々しく揉み始めた。 「はあううっ! うううっ! エネルギーが逆流しちゃう…止めてえ〜!」 フォルティアのエネルギーは強力な強壮効果を持っている。  巨乳がエネルギータンクの役割をしているため、揉まれることによりエネルギーは必要以上にフォルティアへ逆流し、 その強壮効果により肉体が性欲に目覚めてしまうのだ。  みるみる自分の身体が感じ易くなっていくフォルティアだったが、それを赤鬼に悟られるわけにはいかない。 「いやん、はあん…揉まないで…ああん、感じてなんか…いやん…いないわよおん〜!」  首を振りながら、フォルティアは嘘をついたが…今回は何故か簡単に見破られてしまった。 「『感じていない』だと? ふっふっふ、嘘はいかんぞ…素直にならなくては!」  赤鬼の根拠は先程フォルティアの首に巻かれた宝石付きの革製首輪である。 首輪といっても、特殊効果はベルトではなく、宝石…プレジャージュエルの方にある。 プレジャージュエルは触れている者の性感に伴い、自ら発光する不思議な宝石である。 性感が高まるに連れ、点滅速度が速くなり、 絶頂を迎えたときに、最も妖しく輝くのだ。 輝きが増すと、性欲を高める磁気を発する相乗効果もあるから、 性感センサーとして重宝されているだけでなく、銀河の裏社会では「性奴隷の象徴」とまでいわれている。 余談になるが、ミレイヤを苦しめるメテオクリスタルとは相性が良く、すでに化合物(混ぜることにより、メテオクリスタルが 水に強くなり、プレジャージュエルの効果も倍増する)も開発され、闇ルートで取引が始まっているらしい。 とにかく、巨乳を揉まれる毎に、プレジャージュエルがキラッ!・キラッ!と輝く以上、フォルティアは気持ちの昂ぶりを誤魔化すことが 出来ない。 「ふっふっふ、乳揉みの訓練も必要だったな。 乳がデカ過ぎて、こぼれてしまうので、上手く揉めんぞ!  んっ、肉棒が湿りを感じる…なんだ、もう濡れてきたのか? プレジャージュエルの点滅も早くなってきた… それではそろそろ、挿入してやろう! さあ、みんな鬼族の勝利を祝って…万歳だ!」  赤鬼はフォルティアを抱きかかえると、パーティー開幕の宣言として、そそり立った赤い肉棒を挿入し、仰向けに寝転んだ。  「駄目え〜! 入れないでっ(ズブリッ!)うっ、はああ〜! はあううっ、ううっ!」  赤鬼挿入の演出は事前に決められている。   邪鬼達は(女性上位で合体している)赤鬼を持ち上げ、「万歳!」「万歳!」の掛け声で胴上げを始めた。  宙に浮いた状態から落下したときに、赤鬼の肉棒がフォルティアの子宮を更に突き上げる駅弁ファックならぬ胴上げファックなのだ。  もちろん巨乳を下から揉み上げられているフォルティアはどうすることも出来ない。 「(万歳!)きゃああ! ああっ、落ちるうっ!(ズン!)あひいっ!(万歳!)きゃああ!  うはあっ、浮いてるうっ!(ズン!)あふうっ!」 「ふっふっふ、どうだフォルティア…胴上げファックは? 奥まで突き上げてるか?」  何回も宙に舞い、何回も子宮を突き上げられる胴上げの儀式は、フォルティアをあっという間に絶頂の淵へ追い込んだ。  首輪のプレジャージュエルもギラギラと輝き…妖しさを増している。 「(万歳!)きゃああ! いやん、奥までぇえ!(ズン!)はううっ!(万歳!)空中で犯されて…(ズン!)るっううんっ! (万歳!)ああっ、落ちるう、逝くう!(ズン!)くうう!(万歳!)駄目えっ、逝く、逝くう、逝くう〜う!(ズン!) あっ、う〜んんっ!」 フォルティアは心も身体も宙を舞いながら、一回目の昇天をした。    フォルティアは絶頂に達すると、いつも身体をガクッ・ガクッと激しく痙攣しながら昇天する。  同時にヴァギナ全体をキュッ・キュッと締めるのだが、この締めが起こると、大抵の者は射精させられてしまう…赤鬼も例外ではなかった。 「うっ、胴上げされながら…昇天したな…くあっ、凄い締めだ…うおおっ!(ドピュ!)」 赤鬼の熱い精液が、身体の中にドクドク吐き出されていくに従い、フォルティアの意識は遠くなっていく。 このとき、遠くなる意識を引き戻す程、強い光を放って、ギラリと輝いたものがあった。  性奴隷の象徴プレジャージュエル。 なるほど、絶頂時の輝きは天使になったフォルティアに劣らないほど淫らで妖しく、 しかも、身に付けたのがつい先程…とは思えないほど似合っている。    プレジャージュエルの輝きで、失神するチャンスを逃したフォルティアは、激しい後悔の念に駆られていた。 (萩原教授、月の光、言うことを聞いていれば…。 ああっ、あのときもっと慎重になっていれば…。  こんな罠にはまるなんて…ああっ、本当にこれから私は調教されてしまうの…?) もちろん正解である。 ただ、詳しく言えば、始めに陵辱、次に調教…そして、最後が性奴隷フォルティアの誕生…これが彼女に与えられた 性教育スケジュールである。 現在は、調教どころか…その前の陵辱を始める記念パーティーに過ぎない。しかも、そのパーティーでさえ、まだ始まったばかりなのだ。 淫らな罠にはまり、囚われた紅天使フォルティア。 調教までの道程は果てしなく長い。 果たして、彼女の運命は? ***つづく