平成14年11月29日・初版

流星天使ラスキア・「兄は観た?!素顔のラスキア!!」/AK−3・著 (ヒロイン原案:悪の司令官)

綿辺はグランドキャニオンの取材を終え自宅のマンションに戻る途中であった。 「いやあ、まいったなあ。こんなに荷物があるといっぺんに運べないな。真理に手伝ってもらうか。 こういうときはあいつの怪力が役に立つからなあ。なにしろ並の男の3倍以上はありそうだからなあ」 綿辺は自宅マンションの近くに着て真理に電話をかけた。 「あ、真理か?いま下に着いたんだけど、荷物が多いから運ぶの手伝ってくれないか?エレベーターの前に車を止めたから。たのむな」 綿辺はマンションに着き、荷物を下ろし始めた。 "バチッ!” 「ん?あれ?まだ静電気の季節には早いのになぁ。バッテリーかな?」 綿辺はそういいながら、運転席のバッテリーメーターを見た。 「あ、だいぶ電圧が下がっているなぁ。そろそろ交換しなきゃなぁ。もしかしたら、どっかから電流が漏電してるのかも、 あしたにでもディーラーに見てもらうかな」 そう言いながら綿辺が車から出ようとしたとき、地響きがした。 ”ゴゴゴゴ…” 「うわ、地震だあ!こりゃあデカイぞ!車の中に避難だ」 ”ゴン!” 「いてえ!」 綿辺が車に乗り込もうとしたとき、大きな揺れで車に頭をぶつけてしまった。打ち所がわるかったのか、その場で倒れこんでしまった。 一方、真理は綿辺からの電話を受けて、エレベーターに乗ったところだった。 「もう、こういうときだけ呼び出すんだから…」 ”ゴゴゴゴ…” 「あ、地震だわ。なんなの?すごく大きいわ」 大きな地震で真理が乗ったエレベーターは止まってしまっていた。 「あ〜あ、地震で閉じ込められたみたいね。どうしようかしら?あ、お兄ちゃんは、だいじょうぶかしら? このままドアを壊して飛び出すの簡単だけど、だれかに見られたら困るわね。ようし!奥の手よ」 真理は目を閉じ両腕を胸の前でクロスさせた。 「ティアラアップ!チェンジ!ラスキア!」 真理はラスキアに変身をした。 「エイ!」 ”バーン!” ラスキアに変身をした真理はエレベーターのドアを蹴りあげた。まるで紙の様に破れたドアを飛び越え、彼女は外へ飛び出した。 ラスキアが下をのぞくと綿辺の車を何者かが物色していた。 「あ、お兄ちゃんの車にだれかが…」 ラスキアは10階の踊り場から飛び降りた。 「まちなさい!人の車の荷物を盗むなんて、あんたたち、何者なの?」 ラスキアの声に綿辺の車を物色していた男が振り向いた。 「あ、あなたは!」 綿辺の車の荷物を荒らしていたのは邪鬼であった。 「へっへっへ。こんなところで会えるとは思わなかったゼ。ちょうどいい。この兄ちゃんの荷物と一緒におまえも来るんだ!」 邪鬼はそう言うとラスキアの腕をつかもうと手を出した。 「いやん!なにをするの!」 ラスキアは邪鬼の手をはらいのけた。 「ふっふっふ。相変わらず威勢のいい小娘だな。いいから来い!」 邪鬼はラスキアの胸をつかもうとした。 「いやん。エッチ!」 邪鬼とラスキアが言い争っている大声で綿辺は気絶から目覚めた。 「ん?いててて…」 綿辺は声のする方を向いた。 「あ、あれは…。ラスキアと邪鬼じゃないか?あ、おれの荷物!」 ラスキアが邪鬼から身をかわしたが、その瞬間、邪鬼の手がラスキアの仮面にふれた。 「きゃっ!」 ラスキアは顔を手で覆ってしまった。 邪鬼の手がラスキアの顔に触れ、彼女の仮面が取れてしまったのだ。 綿辺は遠目からであったが、ラスキアの素顔を見てしまった。 「え?真理?ラスキアの正体ってあいつなの?やっぱりそうだったんだ…。どうりで、あいつのパワーは人間離れしていると思ったぜ」 綿辺は真理の人間離れをした運動神経と怪力ぶりにときどき疑問を抱いていたのであった。 ラスキアはひるんだ拍子に綿辺の車にさわってしまった。 ”バチッ!” 綿辺の車は雪国用のバッテリー強化仕様であった。ラスキアの身体が車体に触れたとたん、バッテリーから漏れた電気が ラスキアの身体をかけぬけた。 「いやん、私のベルトが…」 ラスキアの身体に走った静電気から身体を守るため、彼女のパワーベルトが外れてしまった。 運の悪いことにベルトは邪鬼の足元に飛んでしまっていた。 「へっへっへ。こいつはラッキーだぜ。いただき!」 邪鬼はラスキアのパワーベルトを奪ってしまった。 「へっへっへ。ついでにこのベルトも奪ってしまえば、もはやただの女だぜ。ほほう…。仮面をはがせば、まだ子供みたいな顔なんだな。 しかし、首から下はなんておいしそうなんだ…。もう、我慢できねえ!」 そういうと邪鬼はラスキアのコスチュームに手を伸ばしていた。 「いやぁん、やめて!」 邪鬼の手がラスキアの胸の膨らみを襲った。 「い、いやぁん!」 ラスキアのコスチュームの胸元が破れ、豊かな張りのある胸が飛び出した。 「あ、真理!」 綿辺はとっさに邪鬼に体当たりをした。 仮面のとれたラスキアは綿辺にとっては、妹のような存在の真理にしか見えていなかった。 「うわあ!」 いくら体格のいい綿辺が邪鬼に体当たりをしたところで、通用するはずもなかった。 邪鬼はスルリと身体をかわすと、綿辺はもんどりうって転んでしまった。 「いてててて…。ん?…あ、ラッキー。ラスキアのパワーベルトだ」 ちょうど、綿辺が転んだ手の先にラスキアのパワーベルトが転がっていた。綿辺の体当たりをかわすときに、 邪鬼が手から離してしまったのであった。 「ラスキア、ベルトだ!」 綿辺はベルトをつかむと、ラスキアに向って放り投げた。 パワーベルトはラスキアのウエストにからみついた。 ”カチャ!” 「綿辺さん、ありがとう!さぁこれで復活よ」 ラスキアはそう言うと、目を閉じ両手をこめかみに当てた。 ”シュッ!” あっという間にラスキアのコスチュームと仮面が復活した。 「さっきは、よくも!」 そういいながら、ラスキアは邪鬼の胸倉をつかみあげ、軽々と持ち上げていた。 「うわぁ!小娘のくせになんて怪力だ!は、はなせ!」 邪鬼は足をバタつかせていた。 「しょうがないわね。それじゃあ、お望み通りに放してあげるわね。エイ!」 ラスキアは邪鬼を放り投げた。 「うわぁぁぁぁ…」 邪鬼はあっという間に遠くへ飛んで行った。 綿辺はラスキアの怪力ぶりに呆然と立ってみているだけであった。 ラスキアは綿辺の方にクルリと振り向いた。 そして、彼女は躊躇することなく、笑顔で自ら仮面を外した。 「おにいちゃん、ありがとう。やっぱりイザとなれば、頼りになるのね」 ”チュ!” ラスキア、いや真理は綿辺の唇にキスをした。少し長い時間であった。 「ま、真理…。あぁ、頭の中が真っ白になっていく…」 そういうと、綿辺は気を失い、その場に倒れこんだ。 「おにいちゃん、ごめんね。でもこうしないと…。真理の正体がばれたら、おにいちゃんとサヨナラしなければならないから…」 ラスキアは綿辺にキスをしたとき、息を吸い込み、気を失わせたのであった。            ・            ・            ・            ・            ・ 「おにいちゃん、おにいちゃんってば!起きてよ!もう!」 ”パチン!” 真理が綿辺の頬をたたいた。 「痛てぇ!あ。ここは。俺の部屋…。」 気がつくと、綿辺は自分の部屋ので大の字になっていた。 「あれ?おまえ、その服…。あ、ワンピースか…」 真理は赤い色に黒のストライプが入ったワンピースを着ていた。 「これ?もう、おにいちゃん。しょうがないんだから。部屋に戻ったらいきなり寝ちゃうんだから…」 「あ、そういえば、おれ、下に着いておまえに電話したあと大きな地震で…。あ、そういえば、邪鬼がおれの荷物をあさって、 ラスキアが来て、仮面が取れたら、おまえだったんだ!それで、おれがラスキアにキスをされたら、頭の中が真っ白になって…」 「もう、なにを寝ぼけているの?地震なんか、なかったわよ。それにラスキアの正体が私だったの??」 「やっぱり、おれ寝ぼけていたのかな?でも、すごいリアルな夢だったぞ…」 綿辺はそういいながら、真理の胸の膨らみをジッと見ていた。 綿辺は真理とコスチュームが破れ胸があらわになったラスキアの姿をオーバーラップさせていた。 「おにいちゃん、なに考えているの?私の胸をジロジロ見て。あ、またヘンなこと考えているでしょ?」 「ん?い、いや…。やっぱりラスキアのほうがグラマーかな?って」 「彼女の方がグラマー…って。なんでそんなことわかるの?もう、ヘンタイ!」 ”パチン!” 「うわぁぁぁ…」 ”ドスン!” 綿辺は真理のビンタで吹っ飛ばされて、壁に叩きつけられてしまった。 「うわぁ、いてぇ!やっぱり、こんなじゃじゃ馬がラスキアのわけないか…」 ぶつけた腰をさすりながら、つぶやく綿辺であった。 ***完