平成15年6月6日・初版 平成16年12月15日・改訂(扉絵を追加) MonkeyBanana2.Com Free Counter

新・聖天使ミレイヤ「新章突入!・パラレルワールド活躍編」・第4章/妄想博士・著

イラスト:悪の司令官
 3P中出し、連続の潮吹き…パラレルワールドでの苦戦が続く。 ミレイヤは華麗に咆哮し、美しい痙攣を繰り返しながら、絶頂に達し何度も果てた。 気を失っているものの、既に牝獣に位置付けられたミレイヤは、文字通り獣の格好…四つん這いの姿勢のまま、最後の仕上げを待っている。 「ふっふっふ、生意気な肉体を晒しながら、失神しおって…。おやっ、指が触れただけでビクッと反応するぞ!気を失っても、 性欲だけは旺盛なようだ!さすがはミレイヤ、意地汚い牝獣の面目躍如だ。しかし、これだけ進化されてしまうと… ふっふっふ、今後、ネタに困りますな…」 メテオクリスタルをまぶしたセクシーな衣装により、スーパーパワーを封じられ、新薬により、性欲を高められたミレイヤの肉体は、 エネルギーの逆流も相まって感度抜群になっている。 青鬼の心配通り、羞恥の限りを尽くした鬼族の責めは、既にミレイヤを一線級の淫獣に育て上げている。 ミレイヤ自身、天女星の王女としてのプライドなど、一片も残さずにかなぐり捨てて、悶えた末の失神なのだ。 「ネタが無い…だと?ふっふっふ、初のアナルファックを狙っているくせに、心にも無いことを…」 赤鬼の言葉通り、ミレイヤはお尻の割れ目をグイッと開かれ、剥き出しにされたアナルを青い舌で舐められている。 いくら犯されているとはいえ、まだ初戦…。飽きも来なければ、ネタにも困るはずは無い。 それが証拠に、隆々とした肉棒をしごきながら、口内射精を狙う赤鬼の態度は、余裕に満ちていた。 お尻の割れ目にすっぽりと顔を埋められたミレイヤは、違和感と直感的な危険を感じとり、ようやく我に帰った。 「…うっ、ううん…はっ!おっ、お尻に…誰かが…。うふっ!うっ、うう〜う、穴を…お尻の穴を舐めてる…舐め回している!」 うつろな意識のまま、瞳を開いたミレイヤは、目の前に直立した赤い肉棒に仰天した。 「ああっ、赤い!これは、赤鬼の…。うそっ、まだ…私を犯すつもりなの?んっ、これは…おっ、お尻が…あっ、何?あっ、あっひん! はっ、入ったあ〜あ!おっ、お尻の穴にい〜い!うっああ〜あ…指じゃない!うっうう〜う、太い、長い…うっくう〜う、凄いい〜い… いっやあ〜ん!」 アナルの違和感が強烈な刺激に変化し、ミレイヤは大きな声を張り上げた。 不用意に開いた口一杯に、今度は赤い肉棒が滑り込んでくる。肉棒は喉の奥まで入り込み、生臭い臭いを口の中に拡げていく。 もう、ミレイヤは完全に鬼族の玩具となっている。 「あっはあ〜ん!…はあはあ…もういやっ…むぐっ!んっくうう〜う…んっ、むう〜うっ!口にまでえ〜え!むくうっ、もぐう〜うっ!… はあはあ、んっひん!その上…指が!まっ、また潮を吹かされちゃうの?!んぐっ…むっむう!」 仕上げとなると、赤鬼達の責めに手加減は考えられない。 アナルを突き刺されていながらも、Gスポットは今まで同様、指で弄られ、既にクチョクチョと音を立てている。 肉棒を頬張るまでは、自由になっていた巨乳も、上から吊り上げられるように、むんずと掴まれている。 赤い肉棒で唇を犯され、赤い掌で巨乳を揉みしだかれる上半身。青い肉棒をアナルに突きこまれながら、青い指で股間を弄られる下半身。 絶頂を迎えるための条件をすべてそろえたミレイヤは、自分の身体の中にジワジワと何かが溜まっていく様な感覚に気付き、はっとした。 (鬼族を倒さないといけないのに…こんなに恥ずかしいことを…。でも、また…我慢出来ない…ああっ、溢れちゃう…) こんな思いがミレイヤの頭をよぎった。 ただ、この時もほんの一瞬だけ…。次の瞬間、各所からジンジンと湧き上がってくる官能の波に押し流され、ミレイヤの思考は 全て停止したのだ。 思考能力を失えば、肉体は本能のままに暴走する。この場合の暴走は、盛りのついた淫獣の条件反射だ。 ミレイヤは(肉棒で塞がれている)唇の隙間から、言葉にならない叫び声を上げた。 「…ん〜んっ!…ん〜むっ!むっ、むっううっ…んっぐうう〜う!(ピュッピュッ!)んっふう!(ピュウ!)」 その叫びが絶頂を示していることは、誰にでも判るはず…同時に股間からは大量の潮を噴出していたからだ。 二回に分けて潮を噴いたミレイヤの肉体は、次の段階にステップアップし、乳首をピーンと立たせながら、唇と舌で赤い肉棒に絡みついた。 失った水分補給が目的だ。 「ううっ、何という舌使い…よ〜し、そんなに欲しければくれてやる!ミレイヤ…残さず飲み干せ!むう…くっわっ!(ドピュウ!)」 唸り声とともに、舌の上で一旦膨れ上がった赤い肉棒は、熱くドロドロした液体を吐き出した。 「…むふうっ!むぐうう〜う、ごくっ!ごっくん!…んっぐっ、ふはっ!あっはあっ〜、一杯!一杯飲んだのにい〜! 出るう…また出るう〜う!(ピュウ!)んっはああ〜、また逝くう〜う!(ピシュウ!)」 喉を鳴らして精液を貪り飲んだミレイヤは、萎えた肉棒を振り払うように首を振り、感極まってまたしても潮を噴いた。 この動作によりミレイヤの肉体は最終局面を迎えた。 フィニッシュはアナル…。 ミレイヤはアナルの筋肉を締め付け、肉棒をロックすると、雫を振るい落とすかのようにブルブルとお尻を振った。 「ふっふっふ、飲みながら潮を噴くとは…淫らな獣!…むむっ、何だ…この締まり具合と、この動き!くっ、なんという強引な… ぐうっ!(ドピュウ!)」 溢れんばかりの精液をアナルに受け入れたミレイヤは、体全体をビクッと震わせた。そして精液の温度をじっと確かめるかのように、 動作を緩慢にしていく。ゆっくりとした動きで、大きく背を反らし膝立ちになったミレイヤは、中に残った肉棒が萎えるまで待つと、 突き出した丸いお尻を引っ込めて、青鬼と分離した。 そして、荒い息を吐いたミレイヤは、思い出したかのように、牝の獣のような咆哮をした。 「…はあはあ…んっくっ!…んっ、ふっ!はあ…はあっおおお〜おん!…ん〜んっ…」 大きく開いた口からは、飲みきれなかった精液を涎のように垂らしながら、巨乳をブルンブルンと振りまわす。 度重なる昇天の余韻と、熱い精液が自分の中に染み込んでいく感触を心から楽しむように、ミレイヤは全身を使いながら吠えたのだ。 本能のままに吠えまくったミレイヤは、突然ピタリと動きを止め、スローモーションのようにベットへ倒れこんだ。 日干しになった蛙のような…うつ伏せで不恰好な姿勢のまま、ミレイヤはピクリとも動かない。潮で作ったシーツの染みが、 おねしょを想像させるせいか、ミレイヤの姿はこの上もなく無様さで、だらし無いものだった。 「ふっふっふ、淫らで意地汚い淫獣…まさにその通りの姿だ。ただ、ミレイヤほどの逸材はまず居ない…アジトでの調教が 楽しみになって来たぞ!」 萎えた肉棒をしまいながら、赤鬼が淫らに笑った。 ミレイヤの陵辱はもちろんこれでは終わらない。アジトへ運ばれてしまえば、性奴隷に調教されつつ、何度も犯されることになるのだ。 「赤鬼様…どうやら、上空に円盤が到着した模様です。我々から乗り込みましょう!ミレイヤは邪鬼の収容の後に、 引力ビームでベットごと収容するそうです。ふっふっふ、ひと時だけでもこの肉体を手放すのはしゃくですな!」 青鬼は疲れきったような表情を浮かべているが、その一方で瞳をギラギラ輝かせている。その脳裏には、別の体位でミレイヤを犯す 自分の姿があるに違いなかった。 天井に空いた穴から差し込む陽光が徐々に薄れていく。 雲でカモフラージュされた鬼族の円盤が、上空に到着したのだった。 ******************************************************* (ペロペロ…) 門に寄りかかるように失神していた風下は、顔を舐められている感触に目を覚ました。 「ううん…はっ!…あれ、犬…」 目の前には一匹の犬が、尻尾を振りながら風下を眺めている。野良犬のようだが、中々、立派な犬だ。 壁を伝いながら立ち上がった風下は、失神前の記憶を思い出した。 「ああっ!そうだ…鬼族に袋叩きにされて…。えっと、犬の名前は…ポチでいいや!ポチ、お前も門の中へ来い!」 ポチと名付けられた犬は、名前がとても気に入らないのか、不機嫌そうに吠えている。 「ワンワン!」 風下は屋敷の通用門を開けると、ポチとともに屋敷の中に入っていった。 「あれ、邪鬼が全員伸びている…まさか、キヨリンがやっつけたの?」 角を折られた邪鬼が10人程、ひっくり返っている。 邪鬼の姿を見たポチは、いきなり吠え始めた。きっと邪悪な気配を感じるのだろう。 「大丈夫だよ…ポチ!ほら…邪鬼は全部気を失って倒れているから…何も怖くないよ!」 風下の言葉が判るのか、ポチは落ち着きを取り戻すと、恐る恐る邪鬼の匂いを嗅ぎ始めた。 「クンクン…ウッ〜ワン!」 「だから、そんなに怖がらなくても大丈夫だと言っただろ。それより、キヨリンはどこへ…?」 怪しい場所は屋敷しかない。確信を得た風下は、屋敷の中へ向かおうとした。 「さては屋敷の中に潜入したな!よ〜し、中に入ってみるか…」 そのとき足元に倒れていた邪鬼がいきなり動き出すと、かっと目を開いて息を吹き返した。 見ると他の倒れている鬼と違って、ヒビだらけだが、角が完全に折られていない事に気付いた。 邪鬼は半身の姿勢で起き上がりながら、首を振り風下をぼんやり見ている。 「…ううん。むっ、貴様は…なんだ、人間か!うむむ…ようし、痛めつけられた腹いせに、半殺しにしてやろう!」 「やっ、やばっ!」 とりあえず、状況を打開しなければならない風下は、すかさず邪鬼に体当たりをすると、腰に乗せて投げ飛ばした。 前にも書いたが、風下には柔道の心得がある。 「邪鬼、柔道3級の腕前を見せてやる!とうっ!」 寝起きでフラフラしている邪鬼を、風下は軽々と投げ飛ばした。 ただ、柔道3段の投げではなく、3級の投げである。転がすことは出来ても、大してダメージを与えられない。 邪鬼はすぐさま立ち上がると、怒りで顔を緑に火照らせながら身構えた。 「…くっ、人間のくせに鬼に逆らうとは生意気な!もう、許せん!」 「だめだ…風下投げが通用しない。どうしよう…そうだ!」 風下はズルズルと後ずさりしつつ、ガレージに近づいた。高圧洗車機で邪鬼の角を狙おうと考えたのだ。 追い詰められつつ、後ろ手で洗車機のガンを探すと、上手い具合にすぐに見つかった。先程のままだから、ポンプは既に動いている。 風下は、すかさずガンから高圧の水を噴射した。 「くらえ!(バシュウウ!)…ああっ、角を片手で押さえている!」 「ふんっ、洗車機などで角を吹き飛ばそうなどと…そうはいかないぞ!ふっふっふ、右手が塞がったからといって、 油断をしてもらっては困るぞ…貴様など、残った左手だけで十分だ!」 洗車機のガンを持ったまま、風下はたちまち格闘に引きずり込まれ、左手一本だけで押さえ込まれてしまった。 洗車機のガンはあらぬ方向を向いて、屋敷に霧雨を降らせ、ちょうど屋根に開いた穴から中へ吹き込んでいく。 「くっそ!片手なのに…なんて力だ!…離せ!」 「ふっふっふ、すぐに楽にしてやるから安心しろ!目覚めたときには、貴様も鬼族の一員だ!」 作戦を見抜かれた風下は絶体絶命のピンチに陥った…が、そのとき。 「ワオ〜ン!」 勇ましく吼えたポチが邪鬼の左腕に噛み付いた。 「うっぐう!なっ、なんだ…この犬は!」 慌てた邪鬼は右手でポチを振り払おうとしている。風下は自由になり、邪鬼の角には隙が出来た。 「今だ!」 これをチャンスと見た風下は、無防備となった角を完全にもぎ取るために手を伸ばした。 しかし、ここでも風下の出番はなかった。風下の手が届く直前に、風のようなスピードで、角に迫る物体があったのだ。 「ワアオオ〜ン!」 アピール満点の勇ましい雄叫び…物体の正体はもちろんポチだ。 邪鬼の腕を素早くかいくぐったポチは、飛び上がりざまに角に噛みつくと、そのままの勢いを利用して全体重をかけた。  元々、折れかかっていた角だから、強度は弱い。 ポキッという乾いた音とともに、角をくわえたポチが跳んだ。 ポチは二、三度空中回転をすると、しなやかに着地を決めた。 そして、もぎ取った角を地面に置くと、邪鬼の方には目もくれず、風下に向かって挑戦的に吼えた。 風下はこのときだけ犬の言葉を理解することが出来た。 「ワンワン!」(ふっ、はじめから俺に任せておけばいいものを…弱いくせにしゃしゃり出ると、けがをするぜ…おっさん!) ちょうどそのとき、邪鬼が泡を吹きながら昏倒した。 良い所を全て取られた上に、見下された風下は、むっとしながらポチに反論しようとした。ピンチを救ってもらったことなど、 既に忘れている。 「うっ、蔑むような目で…犬の癖に生意気な奴…。あっと、それどころではなかった…キヨリンを探さなくちゃ!」 思い直した風下は、屋敷へ視線を移すと、一目散に走り出した。 風下を追うようにポチも走り出す。 「ワッ、ワンワン!」 扉をこじ開け、屋敷の中に入って見ると、真っ暗で何も見えない。 「うわっ、こんなに暗くては、目が慣れるまで動けない…あっ、ポチ!」 立ち止まった風下の足元を、ポチが猛スピードで駆け抜けていく。 あっという間に闇に溶け込んでいくポチを追おうとした風下だったが、さすがに動物と同じようにはいかない。 一歩一歩足元を探りながら進み始めたところへ、闇の中から生み出されたように、突然、ポチが戻って来た。  そして風下を押し倒さすように飛び掛ってくると、大きな声で吠えた。 「ワンワン!」(おっさん!危ねえ…伏せろ!) 「うわっ!」 いきなりのことに仰天した風下は、ポチを抱えるようにして、その場に倒れ込んだ。 (ドッカア〜ン!) 大音響と屋敷全体を揺さぶるような振動とともに、屋根に大きな穴が開いた。 なんと、重そうなベットが屋根を突き抜け、上空(不自然なほどの低空…なにせ屋根のすぐ上)に浮かぶ小さな雲に、 猛スピードで向かっていく。 雲にベッドが吸い込まれる…そう思った瞬間、不思議なことに雲は、金属的な激突音を悲鳴のようにあげた。 (ズッガ〜ン!) 一瞬にして雲がバラバラに吹き飛ぶと、中から下部を大きく破損させた銀色の円盤が現れた。 円盤は白い煙を出しながら、ヨロヨロと飛び上がっていったが、ちょうど豆粒大の大きさになったところで、大きくバランスを崩し、 爆発…閃光を上げた。 天に向かって舞い上がるベッドが、雲をまとった銀色の円盤を射ち落とした…。 美しいながらも、とても信じられない光景を目にした風下はしばしの間、あっけに取られていた。 「ワンワン!」 突然、ポチが猛スピードで走り出すと、屋敷の奥へ向かった。ベットが屋根を破壊し、屋敷の中は陽光が差し込み、今では全てが見渡せる。 「あっ、キヨリン!…無事だったのか?」 逆光の中で、スタイル抜群の女性が立ち上がり、足元に擦り寄るポチを撫でている。 風下は慌てて聖美に駆け寄った。 遠目で見る限り、疲れているようには見えるが、それ以外、聖美に変わったところはない。 ただ、微笑みながら犬を撫でる姿は、妖しいほど美しく、それでいてなまめかしさを感じる。まるでバラの花束のように、 無差別にフェロモンを撒き散らしているようにも見えた。 風下にはその理由がある程度推察することが出来た。洗車機によって噴射された水が天井から霧のように降り注ぎ、 聖美を全身ずぶ濡れにしていたのだ。 髪まで濡れた聖美がなまめかしいのは当然のこと…元々、服装で誤魔化しているが、素晴らしいプロポーションなのは、 疑うべくもなかったからだ。 風下に気付いた聖美は、ゾクッとするほど凄艶な微笑みを浮かべながら言った。 「あっ、所長…はあはあ…なんとか無事でした。ただ、鬼達には逃げられてしまいましたが…」 先程までとはまるで違う、蕩けるような瞳を向けられた風下は、自分の気持ちを見抜かれないよう、聖美を叱った。 ただ、言葉は噛みまくっている。 「そっ、そんなこと…どっ、どうだっていいよ!それより…駄目だよ…こんな危険なところにたった一人で…。 無事だったから、良かったものの、何かあったらどうするつもりだ!」 聖美は悪びれた風もなく、軽く返事をした。 「は〜い。以後、注意します!ところで…この犬は?…そうかそうか、貴方も仲間になりたいのね?」 「ワンワン…クウ〜ン!クウ〜ン!」 「何々…『何でもしますから…貴方の家来にして下さい!』…ええっ、もちろんいいわよ! んっ…『出来たら貴方様に名前をつけて頂けると、光栄なのですが…。ポチでは余りに…しかも、このオッサンが名付け親では…』だって …ふ〜ん、どうしましょう?」 180℃違う態度を見せて甘えるポチに風下はむっとした。もちろん、命を助けられたことは忘れている。 「なにが光栄です…だ!このバカ犬…調子に乗りやがって…。お前にはポチでももったいないくらいだよ〜だ!」 「ワワン!」 「何々…『お前になんか頼んでねえよ…すっこんでろオッサン!』…まあまあ、両方とも仲良くしましょうよ。 …そうね、名前か…雑種だから、ブレンド…そう『ブレンダー』でどうかしら?」 「ワンワン!」 ポチ改めブレンダーは、うれしそうに尻尾を振ると、更に聖美に擦り寄った。 さて、話は今回の事件に戻るが、信じられないことが多すぎて、風下は全く整理を付ける事が出来ていない。 パラレルワールドの風下は、聖天使ミレイヤの存在を知らないのだから、仕方ないのだが…。 半壊した屋根からのぞく空を見ながら、風下は疑問を整理した。 「鬼は出るわ、円盤を見るわ、ベットは空を飛ぶわ…一体、今回の事件は何だったんだろう? しかし、夜盗鬼族…あれはろくな奴らじゃないな!」 「本当ですね!国会まで操ろうなんて…。鬼塚代議士も三鬼代議士も、鬼族が姿を変えていただけ… もう国会に現れることはないでしょう…。さっきの墜落した円盤が、庭の邪鬼も全て連れ去りましたし…」 「ええっ!それじゃ、証拠が何もない…。それに、このままでは日本が危ない!」 蒼白になった風下を見て、微妙な笑顔で聖美が微笑む。 「…ですけど、人類には味方も居るようですね。私を助けてくれたスーパーヒロイン…聖天使ミレイヤと名乗ってましたよ! ベットを投げて、円盤を撃ち落したのも彼女の活躍です。あっ、私からは暗くて見えなかったから、良く判らないけど…」 「なぬっ、聖天使ミレイヤ…?う〜ん、益々判らないことばかりだぞ!」 首を傾げながら風下は続けた。疑問は更に深くなる。 「第一、アリバイは結局謎のままだし、鬼族のことを話しても、誰も信じてくれないだろうし…あっ〜どうしよう…」 そのとき、またしてもブレンダーが足元をすり抜けるように疾走を開始した。そして本棚から一冊の本を咥えて戻って来た。 「なんだこれ…?電車の時刻表じゃないか…んっ、電車!そっ、そうか…新幹線ならば、東京まで約一時間…鬼でなくても アリバイが作れる!」 風下の推理はこういうことだ。 緑のマグネットにより、同じナンバーの車を作る。その上で沼津と東京に車を置いておく。 7時に屋敷を出た鬼塚代議士は、三島から新幹線に乗り込み、車のナンバーを戻した上で屋敷に帰す。 8時に東京に着いた二人は八丁堀を訪問し、会談後、10時に車で国会に入る。 これなら、屋敷から出たときも、国会に入るときも、車のナンバーは・024。しかも、時間的な無理がない。 「アリバイは成立しない。しかも、鬼塚代議士は行方不明。これで『破片収集義務法案』もボツになるな…。 んっ、つまり…今回の調査は無意味で無駄足…費用は自腹ってこと?」 「成功報酬ならば、残念ですがそういうことになりますね。あっ、成功報酬だったんだ…」 「そんな…高額の依頼だったのに…」 風下はがっくりと肩を落とすとうな垂れた。 「まあ、そんなにがっかりしないで…くだらない法案をつぶして、国会を正常化したということで、良いではないですか…」 「国会なんか、いくら正常化しても、どうせ碌なことを決めないし…。ああっ〜、発泡酒まで増税するな!」 「では、私とデートでドライブに来たということで…夕陽の海を見ながら帰りましょうよ!」 「へっ、ドライブデート?そっ、それなら、がっかりなどしてはいられない…んっ、なんだ?」 袖を引かれたような気がして、風下は下を見た。ブレンダーが挑戦的な目で睨んでいる。 このときも風下は犬の言葉を理解することが出来た。 「ワンワン!」(聖美様に手を出したら、承知しないぞ!大体、オッサンとじゃ釣り合わないんだよ!) 「まあ…ブレンダーったら!」 隣で聖美が美しく華麗な微笑みを浮かべている。 このときになって初めて風下は、素朴な疑問を感じた。 なぜ…聖美は犬の言葉が全部判るのだろうかと…。 その時、聖美は小さな声で独り言をつぶやいた。 「それにしても、あの時、ちょうど天井の穴から水が降ってきて助かったわ。」 すると、ブレンダーが風下をバカにしたような目で見ながら、聖美に甘えるように鳴いた。 「クゥ〜ン、クゥ〜ン。」(あのオッサンが、洗車機のホースをを放り投げたからだよ、おかげでびしょ濡れじゃねえか…。)  パワーを吸収し、無色透明から緑色に変化したメテオクリスタルにとって、唯一の弱点は水である。 ミレイヤが円盤に連れ去られようとした時、天井から降り注いだ水により、メテオクリスタルの効力が無くなったため、 再び形勢が逆転したのである。 聖美は、風下所長に静かに近づくと、耳元で呟きながら、頬にキスをした。 「ありがとう、所長さん。」 ”………バタン!!”  女性に不慣れな風下は突然の頬のキスに、体が硬直し、気絶してしまった。 風下の思わぬ反応に、驚いてる聖美をよそに、彼の頬についたキスマークを嘗め続けるブレンダーだった。 ***完