平成17年3月23日・初版 MonkeyBanana2.Com Free Counter

ティアラヒロインSP「三人の性隷天使・第3部:フォルティア編」第2章「海獣大決戦」/妄想博士・著

 鬼ヶ島近海は海底火山群であることから、水深2M程度の遠浅で海中も明るい。 ただ積もった火山灰と溶岩により、景色は灰色で魚も全く見かけない。歩いているだけで暗鬱になってしまう墓場のような海である。 (ブクッ、ブク・ブクッ!)  時折、海底を進む紅天使フォルティアの口から、酸素が吐き出され気泡をたてる。 魚のようにエラ呼吸は出来ないが、海面で一旦酸素を取り入れたティアラヒロインは、鯨のように長時間の潜水が可能である。 無論、パワーを利用して高速で泳ぐことが出来るし、無重力にも慣れているから、海底であっても、地上と遜色の無い行動が可能でもある。  囚われたミレイヤを救うべく鬼ヶ島へ向かったフォルティアは雲形生物兵器モックーにより、ラスキアと分断され海中に 放り込まれていた。 落下した際、海底に足をとられ手間取った為、ラスキアの戦闘経過は判らないが、先程、海面に上がった時は、もう上空には 戦闘の余韻すら感じられない。 (あらっ、ラスキアが全部退治しちゃったみたいね! 私にはあれ以上の追求が無かったから…きっと、勢いに乗って島まで… でも…一人で行ったのかしら? ようし、私も急がないと…!)  フォルティアは追跡が無いのをいいことに、鬼ヶ島への侵入ルートを海からとることにし、海底を這うように平泳ぎで泳いでいった。 時間の経過からすると、ラスキアがミレイヤを既に救ってしまっているかもしれないが、一応の用心…もしラスキアが戦闘中なら 島の真上だから注意が惹きつけられるはず…この方が島へ侵入し易い。  言うまでも無いが、フォルティアはこの時とんでもない勘違いをしていた。 追求や攻撃が無かったのは、バンテッド一味の作戦であり、ラスキアがモックーを退治したからでも、敵を引きつけているからでもない。 ラスキアはミレイヤを救うどころか、バンテッド一味の手に堕ち、徹底的に犯されているのだ。 ティアラヒロインの強さを信じている上に、鬼族が相手と信じ込んでいるフォルティアだから、勘違いも仕方ないことではあるが…。  だから、フォルティアは既に自分の行動がバンテッド一味に筒抜け…先程から、カエル足で泳ぐため、純白のパンモロ股間映像が モニターにずっと映し出されている…ことすら気付いていない。 鴨がネギを背負うように、柔らかい巨乳と切れのいい股間を持ったフォルティアは、多数の罠が待ち構える鬼ヶ島の周辺警戒水域に 立ち入ろうとしていた。    島に接近したフォルティアは、泳ぐことを止め、瞬時の対処が可能な海底歩行に切り替えた。海底に足をつけ、歩を進める度に 灰色の砂が舞い上がる。 「なんか、随分…殺風景で寂しい海だわ。火山灰ばっかりで…生物が全くいない…あっ!」 その時、フォルティアの耳に…海中なので、響くような…不気味な声が聞こえてきた。 初めて聞く声…少なくとも鬼族とは違うタイプの邪悪な声だ。 「ひっひっひ、ようこそ鬼ヶ島へ…紅天使フォルティア! 余りにも遅いので、心配になり出迎えに来てやったぞ!  まずは貴様を辱めるために生み出された海底クローン生物…ハント・エイだ! そうら、上からだ!」 声の主を探そうと周囲を見渡した途端、頭上から何かが圧し掛かってきた。 「(グワ〜ン!)いったあ〜い!(グイグイ)あっ、あっあ〜!」 畳二畳分はある…大きなエイ。不意を衝かれたフォルティアはそのまま海底に押しつぶされてしまった。 「我々は海底生物にパワーと悪知恵を与え新種のクローン生物を作り上げた。ただ、どこで間違ったのか性欲も旺盛でな… 美味しそうな獲物を見ると、すぐにこうして覆い被さるのさ! ひっひっひ、しかも電撃もあるぞ…そうら、ハント・エイ、行けっ!」 「(バリ・バリッ!)きゃああ〜! 身体が…痺れる…!(ビリ・ビリビリ!)きゃああ〜!」  ハント・エイは電撃を混ぜながら、グイグイと平たい体を押し付けてくる。 「どうだ、フォルティア…電撃の味は? ひっひっひ、痺れて動けなくなると…まずい事になるぞ! 何しろハント・エイは 海のレイプ魔だからな! 海底訪問のお出迎え…たっぷり可愛がってもらえ!」 ハント・エイは、うつ伏せのまま身動きが取れないフォルティアの股間に長い尻尾を伸ばすと、水中のため、いつもよりピッタリと ヒップに張り付いたパンティをずり下ろしていく。 「ううん…! うっ…はっ! なっ、何を…いやらしいことを考えているわね!」  ハント・エイに組み敷かれたものの、パワーブレスがある限り力で負けることはない。 フォルティアは左手一本でハント・エイの圧力を支えると、パンティを抜き取ろうとしている尻尾を右の手でギュと握り締めた。 「この変態クローン生物っ! フォルティアキックを受けてみなさい! トイヤ!」 フォルティアは仰向けになると、ハント・エイを思い切り蹴り上げた。 “バキッ!…ビッタアーン!” フォルティアキックは強烈な衝撃波も同時に放つ。ハント・エイは握った尻尾を中心に綺麗な半円を描くと、まくれかえって海底に 身体を叩き付けた。 「今のは電撃のお返しよ! さあ、今度はパンティを脱がせた罰で、上から踏むわよ…いいわね…トイヤッ!(ベシャリ!)」 すかさず立ち上がったフォルティアは仰向けになったハント・エイの白い腹に、踏み付けバージョンのフォルティアキックを繰り出した。 既にフラフラになっていたハント・エイは、ブクブクと泡を吹き出すばかり…完全にKOだ。 「さすがは鬼族の作った生物ね! いやらしいことばかり考えているから、痛い目に会うのよ!  よ〜し、止めは…こうしてあげましょう♪」 フォルティアは、伸びてしまったハント・エイをクルクルとボールのように丸め、最後に尻尾で固く結ぶと、少し離れた場所に置いた。 「オホーツク海で頭を…いえ、身体ごと冷やしていらっしゃい! フォルティアキイッ〜ク!」 「ギャッヒイイイイィィィィ…ィィィ……!」 助走をつけて、サッカーボールよろしく大きく蹴り飛ばされたハント・エイは、物凄いスピードで海底を進むと、ドンドン小さくなり、 やがて見えなくなってしまった。 「ほほお、中々やるな…フォルティア! ひっひっひ、次はこのクローン生物…ショック・クラゲが相手だぞ!」 ハント・エイを退治したと思いきや、すぐに謎の声は第二の刺客を送り込んで来る。 「クケエッ〜!」 不気味というより、気色の悪い声とともに大きなクラゲが目の前に現れた。 寸でのところで接触を避けたフォルティアは、ショック・クラゲの姿を確かめながら身構えた。 ショック・クラゲは、通常のクラゲと全く同型で、白く丸い頭部と沢山の触手を持っている。 名前と姿からして、触手で刺して獲物を麻痺させる技を持っているのだろう。 「(ビシュ! ビシュ!)クケエッ〜!(シュ! シュ!)クッ、クケッ!」 「ひっひっひ、必殺の瞬間麻痺で動きを止められ、ゆっくりと…んっ! 中々、逃げ足が速いようだな!」 大きなアンブレラのような頭部を斜めに寝かせて、ショック・クラゲは触手を次々に突き出して来る。 ただ、リーチは短いし、フワフワ漂うだけの動きだから、フォルティアにしてみれば緩慢な相手だ。 動きを見切ったフォルティアはすぐさま反撃に転じた。 「あらあら、そんなスピードでは、私を刺すことなんか…無理無理! それではこちらから行くわよ…フォルティア・チョッ〜プ! (ボヨヨ…ヨン!)あれっ…? キッ〜ク!(ビヨヨン!)ああっ、効かない!」 ショック・クラゲは身体全体を柔らかいゴムのような皮膚で包まれている。パンチもキックも衝撃を吸収されてしまう。 「なるほど…考えたわね! でも、所詮は下等生物…ティアラヒロインの知恵には及ばないわ!」 フォルティアはすぐに打撃攻撃を中止し、一旦、海面近くまで上がった。そして再び潜ると、ショック・クラゲの頭上から思い切り 踏み付けた。頭部を上から踏みつけ、海底に押し潰してしまう作戦だ。 ショック・クラゲにとって、上からの攻撃は頭部の傘があって完全な死角になる。 傘を踏みつける度に触手が繰り出されるのだが、いかんせん…遅過ぎる。 「クケッ〜! シャア〜!(ブスッ)ククウ…!」 「ひっひ…ぬっ、上からの攻撃か?! げっ、自分を刺すとは…それでは自分が痺れてしまうではないか…」 どうやらクローン生物は謎の声が考えている以上に間抜けなようだ。 フォルティアは、自ら麻痺をしたショック・クラゲの触手を先端で一本にまとめると、コマのようにクルクル回転させた。 「さあ、貴方にはもっと深いところまで行ってもらうわ! ここならマグマの筋とずれるから…海底火山には影響ないし…ええっ〜い!」 「(ガリ・ガリ・ヒュウウ〜ン!)ク…ッ…ケ…ケ〜…ヶ…ヶ…ヶ…」 ショック・クラゲは逆円錐状になって、猛スピードで回転すると、砂を巻き上げながら、海底をドリルの要領で掘り進んでいった。 後には深く長い海底トンネルが残っただけだ。 「下らない生物兵器に付き合っている閑はないわ! 誰なの、声だけでなく姿を現しなさい…あっ!」 グニャリとした柔らかいものを踏んだような気がしたフォルティアだったが、舞い上がる砂と灰で濁ってしまって足元を確かめられない。 「あっ、あれ…右足が動かない…?」 右のブーツが底に張り付いたように全く上がらないのだ。 踏ん張るために何度か足を踏み替えてみると、今度は左足まで動かなくなってしまった。 舞い上がった砂が落ち着き、次第に足元が見えてくると、そこには二匹の巨大なイソギンチャクが無数の触手でフォルティアのブーツを しっかりと咥え込んでいる。 「ひっひっひ、罠ギンチャクに嵌ったな! もう一匹…次の刺客がいくぞ! 極太頭亀…海亀アタックだっ!」 「(ガツン!)あうっ! いっ、痛〜い!」 足をとられて怯んだ隙に、フォルティアにとても固いものが体当たりして来た。第三の刺客、極太頭亀だ。 その名の通り、極太の頭を持つ海亀は意外に素早い動きで反転すると、首をすぼめてフォルティアに体当たりして来る。 「そうはさせないわよ…フォルティア・パア〜ンチ!(ガッキン!)いっ、いった…痛あ〜い! 甲羅でパンチが効かない…!」 固い甲羅に阻まれ打撃技が通用しない。亀なのに俊敏な動き。しかも自分は動けない…これだけ悪条件がそろうと、 さすがのティアラヒロインもピンチになる。 極太頭亀が体当たりを繰り返す度に、防御するだけのフォルティアはじりじりと劣勢になっていく。 特に背後に廻られると、足を捉えられているだけにかなり苦しい。 ”ドッシン!” 極太頭亀渾身の体当たりを、背中にくらったフォルティアは、遂に押し倒されてしまった。 前のめりに倒れたフォルティアは海底に両手をついたが…なんと、そこにも罠ギンチャクがいる。 フォルティアはパンティをもろに見せながら、四つん這いで四肢の自由を奪われてしまったのだ。 四つの罠ギンチャクから長い触手がスルスルと伸びてきて、フォルティアの肩や太ももをチクリと刺した。 「ああっ、ううん…身体が痺れる…パワーブレスがあるのに…力が入らない。」 元々パワーブレスは増幅装置である。身体が麻痺してしまうと、元のパワーが封じられるため、スーパーパワーを発揮できない。 「ひっひっひ、白いパンティが水の中でユラユラと…いい眺めだぞ! 中味はどうなっているのかな? 極太頭亀、確かめてやれ!」 背後に廻った極太頭亀がぺロリとパンティをめくりあげる。 油断も隙も無い早業に、ハッとしたフォルティアだったが、対処しようにも制約が多く、余りに急過ぎた。 いきなり恥ずかしい方の唇がグイッと拡げられ、ひんやりした潮水とともに極太のものが入って来たのだ。 「いやあ〜ん! (ズズッ、ズッポリ!)うっ、はあ〜ん! 入ったあ〜、いきなり…うっ、う〜ん!」 「ひっひっひ、極太の頭には狭いようだな…おやっ! 白い液体が染み出て来るぞ…フォルティアの肉汁かな?  そうれ、構わずもっと、奥まで進んでやれ!(ズズッ!) そうだ奥まで…子宮まで進んで舐めてやれ!」 侵入して来たのはなんと極太の亀頭。 亀頭はフォルティアの中を遠慮なく突き進み奥に達する。 そして中で細い舌を出しているのか、チロチロと子宮を直接舐めてくる。 歴戦のフォルティアでも、こんな責められ方は初めての経験。 巨乳を揉まれていないからエネルギーの逆流による混乱は無いものの、考えもしなかった奇襲と、直接過ぎる愛撫に、たちまち肉体が 反応してしまう。 理性が止める間もないまま、普通通りに性感が暴走してしまったのだ。   「あふっ、ひっ! うっ、嘘ッ…なっ、舐めてる…あはん! うっああ〜あ、直に舐めてるう〜! うはあ〜あ!  凄い…こんなの初めて…あん、いやあ〜ん! 奥がキュンキュンしちゃう!」 麻痺させられているにもかかわらず、肉体が細かく震えてしまう。フォルティアは四肢をピンと伸ばしたままただ悶えた。 「ひっひっひ、どうだ…クローン生物必殺の技『亀頭子宮直接舐め』の威力は…? 感じるか? 肉汁がダラダラ涌いて海水と 混ざっているぞ…フォルティア!」  亀頭が中で前後に動く度に、フォルティアの穴から大きな気泡がボコボコと漏れる。 この時点で謎の声は極太頭亀の勝利を確信したようだ。 「ひっひっひ…そろそろ本当の邪悪な肉棒をぶち込んでやるか…? いやっ、待て…このまま、亀頭で昇天させてやるのも一興だな! どうだフォルティア…どちらが望みだ?」 「うああ〜あ! あう〜う! 駄目えっ、いやあ〜ん! このままじゃ…逝っちゃう〜ん!」 とても岩陰から響いて来る意地悪な質問に答える余裕はない。 身体の奥から込み上げて来る激情のせいで、冷静な言葉より先に喘いでしまうのだ。 「ひっひっひ、そうか、ならば、こちらで決めてやろう! まずはこのまま昇天させて、その後、生の肉棒をぶち込んでやろう!  さあ極太頭亀、直接舐め回してフォルティアを逝かせてしまえ!」 “チロチロ…レロレロ…” 「うひい〜ん! いやあ、いっ、逝くう! そんなことされたら…逝くう! 逝く…あっ、ああ〜ん、駄目え〜…くうう〜うっ! (ボコッ、ボコボコ!)」 なす術の無いフォルティアは、あっという間に絶頂に達した。 恥ずかしいことに、上下の唇から大きな気泡まで吹き出してしまったのだ。  だが…これで万事窮すかというとそうではない。 いつもなら昇天に追い込まれるのは、全ての力を失い惨敗した後のこと。 しかし、まだフォルティアはパワーブレスを外されていないし、スーパーパワーを失ったわけでもない。 不意を突かれ一時的に麻痺しただけなのだ。 だから、当然いつもと成り行きも違う。昇天が逆転のきっかけになったのだ。 フォルティアは絶頂を感じると、全身を痙攣させながら強烈な力で絞めた。 いつも相手は肉棒だから、精子を搾り出すように絞めるのが言わば本能…牝としての動きだ。 ところが今回は肉棒ではなく亀頭が相手。 極太頭亀の無防備な首を締め上げ、精子の替わりに肺の空気をすべて吸い出したのだ。 「ひっひっひ、逝け、フォルティア! むっ、なっ、なんだ…どうしたのだ、極太頭亀?!」 「ククク…クケッ! グググッ…クッケエェェ! ゴボッ、ゴボゴボッ!」 海亀は生物学上魚類ではない。 海面で肺に空気を溜め込んで、初めて長時間潜ることが出来るのだ。 だから空気が無くなれば、即、窒息…溺れてしまう。 どんなにいやらしく作り変えても、生物である以上、生命維持手段は変わらない。 「ううん…はあはあ…まっ、まだ入ってるう〜、いやあ〜ん、あっあ…あれっ? はあはあ…どうしたの…もう、終わりなの?」  四肢を拘束され弄ばれるがままのフォルティアは、いつの間にか責めが止んでいることに気付いた。 連続攻撃で何度も昇天に追い込まれる…と覚悟していただけに、なにやら拍子抜けする思いすらしてしまう。 昇天の際の痙攣で麻痺から回復したフォルティアは、四つん這いのまま、股の間から背後の様子を伺った。 幸い、コスチュームはそのままだから、巨乳が邪魔にはならない。 股の間から見えるのは、極太頭亀の胴体が海流でユラユラと揺らしているだけ…。 フォルティアの中に亀頭を突っ込んだまま、完全に伸びているようだ。 「はあはあ…ふうっ、とんでもない罠だわ! でも…なんで逆転出来たのかしら? あっ、身体も動く…!」 身体さえ動けば、パワーブレスの効果で罠ギンチャクの拘束など物の数ではない。 フォルティアは力を込めて罠ギンチャクから手足を引き抜くと、今度は力を抜いて極太頭亀を引き出した。 「なっ、中に入って舐めてくるなんて…とんでもないクローン生物を作るわね! よ〜し、こうしてやりましょう!」 罠ギンチャクの触手に伸びている極太頭亀をくくりつけたフォルティアは、半分脱がされたパンティを穿き直した。 「いやらしい真似をしたお仕置きよ! ずっと、そこでそうしていなさい! さて…はっ!」 “シュル、シュルルル…!” いきなり水を切る音とともに左右の岩陰から投網が伸びてきた。 フォルティアは素早く身を翻すと、新たな会敵に備え身構えた。 下等生物や人工的な罠ではなく、狡知に長けた邪悪な生物の淫らな視線を感じ取ったのだ。 「うふふっ、不意を突こうとしても無駄よ、夜盗鬼族! いい加減姿を現して正々堂々と…いえっ、この気配は…一体何者!?」 邪悪な視線に強さと張りがある。 これだけの強さと張りのある視線を持つ者は鬼族なら妖鬼しかいない。 ただ、妖鬼の視線には凍えてしまいそうな冷たさがあるのに、この視線には燃えたぎるような熱さを感じる。 それに同性の妖鬼ならフォルティアを玩具として弄ぶ欲求はあっても、犯したいという直接的な肉欲は皆無のはず。 にもかかわらず、視線はフォルティアの肉体へ一直線に向けられている。 明らかに、鬼族とは別の…男の悪党の視線だ。 「ひっひっひ、ようやく出番が来たようだな! 私は宇宙貴族…ステラ伯爵!」 岩陰から黒尽くめの男が現れた。 渋い雰囲気だが、見るからに狡知に長けた悪人面。邪悪なオーラを強烈に放っている。 「ステラ伯爵…」 フォルティアはキッと睨みつけながら、その名を暗唱した。 銀河連邦危機管理局には、莫大な数の要注意人物ブラックリストが備え付けてあり、エージェントであるフォルティアが名前を 思い浮かべるだけで、データが自動索引、転送される仕組みになっている。 瞬く間に、フォルティアの頭の中にステラの個人データーが流れた。 ステラ伯爵…年齢不詳、出生地不明、元貴族院議員。 卑賤階級の出身らしいが、卓越した頭脳と高い情報収集能力により伯爵位を得る。 前科は無いが、クーデター等の組織犯罪にはなんらかの形で関係していることが多いダークな人物である。 現在はバンテッド公爵一味に加わっており、戦略面を担当していると見られる。 バンテッド公爵同様、今後の動向に最も注意しなければならないS級の危険人物…。 「バンテッド公爵…ああっ、バンテッドって、まさか、あの奴隷商人!」 フォルティアが思わず声を上げたのも無理はない。 バンテッドという名は忘れようとしても忘れられる名前ではないのだ。 『恥辱の初戦』にて書いた通り、以前、金星にて性奴隷不法労働事件が発生した。  偶然金星を訪れたティアラヒロインそして危機管理局エージェントに成り立てのフォルティアは事件を解決、性奴隷を無事解放した。 だが、事件の首謀者である奴隷商人バンテッドが現れた途端、状況は一変し、たちまちピンチに追い込まれてしまった。 犯されこそはしなかったものの、拘束の上器具で責められ散々辱めを受けている。 以来、フォルティアの中ではバンテッドの名は憎き悪党の代名詞…その一味となれば許しておける存在ではない。 ただここで別の疑問も持ち上がる。 「でも…なぜ、バンテッドの一味が地球にいるの?」 真っ先に考えられるのは地球侵略なのかも知れないが、その可能性は限りなく低い。 確かに地球は温暖で空気と水は豊富だが、今や住人の環境破壊により汚れた星となっている。 大きさも小さい方だし、資源もそれほど多くはないから、征服してもそれほど値打ちがない。 だからバンテッドの一味が、数ある惑星の中でわざわざ地球を選び訪れていること自体、意外な話なのだ。 『恥辱の初戦』も地球上の話ではない。 あの時点ですでにバンテッドが地球に魅力を感じていないから、地球上の話ではなかったのだ。 それに公爵に成りあがっていても、バンテッドは本来奴隷商人。 悪徳であろうとも、社会の枠に組み込まれ、法の縛りを受ける商人なのだ。 性奴隷を得る上では悪質なことも行うが、常に違法ギリギリか民事でウヤムヤになる程度。 法の目を掻い潜り、常に逃げ道を用意している周到な知能犯だから、重刑に問われることには絶対手を出さない。 同じ悪党でも、鬼族のように後先を考えず、暴力だけで物事を意のままにしようとする侵略者とは毛色が違うのだ。 そのバンテットが地球侵略などという誰が見ても判りやすく、悪質かつ違法な犯罪を犯すはずがない。 「ひっひっひ! 何故我等が地球にいるのか? 目的は…貴様達の肉体だ、フォルティア!」 ステラが投網を構えながら下品に笑っている。 「私達の肉体…?」 初めは何のことか判らなかったフォルティアだったが、ステラの淫らな笑いを見ている内にその意味に気付いた。 バンテッド一味が目を付けたのは地球ではなくティアラヒロイン…三人娘を追い求めて地球へやって来たのだ。 フォルティアの中の正義がかっと燃え上がった。 『恥辱の初戦』では取り逃がしたが、今回はまたとないリターンマッチ。 自分達の身を守る正当防衛として、堂々と屈辱のお礼まで返せるのだ。 フォルティアは斜めに身構えながらステラを睨みつけた。 瞳に強い想いを込めながら…。 ***つづく