平成12年9月1日・初版

ワンダーウーマン vs ロン大人・第1章/AtoZ・著

第一章 新たなる敵 --------------------------------------- ここは香港某所 中国マフィアのアジト 豪華なソファーにたたずんでいる男に、屈強な男が報告をしていた 【陳大人 上手くいきましたぜ、今ごろはネオナチスの奴等も慌ててやがるでしょう】 【これでブルーノにやられたアメリカ支部のお返しができたな】 男は満足そうに笑って呟いた。 中国マフィアのロングループは、麻薬・売春ルートでネオナチスと対立していたが 先月、アメリカ支部が ブルーノの配下によって襲撃され壊滅してしまっていた。 【陳大人 戦利品がもう一つありますぜ】 そう言うと屈強な男は1本のテープを取り出しビデオにセットした。 【孔 なんだ これは?】 陳大人はTVに映し出された映像を見て屈強な男に尋ねた。 【まぁ 見て下さいや】 そう言うと 孔は ビデオデッキにテープをセットした。 【これは!!】 陳は テレビに映し出された映像を見て 思わすソファーから身を乗り出した。 −− --------------------------------------- TVは ハインツ教授のプレールームで悶えるワンダーウーマンの姿を映し出していた --------------------------------------- 【アメリカのスーパーヒロイン ワンダーウーマンですぜネオナチスのアジトにあった マスターテープですぜ】 【本物なのか?】陳は半信半疑で孔に質問した。 【偽物でも このテープなら売れますぜ】孔は笑ってそういった。 【孔! ワンダーウーマンを拉致しろ】いきなり陳は屈強な男に命令した。 【陳大人! 相手はアメリカのスーパーヒロインですぜ!】さすがに 男は慌てて反論しようとした。 【これは ロン大人の命令だ! 俺達もアメリカに行くことになる】陳大人はそう言うと孔に 豪華な押印がされた手紙を見せた。 【ロン大人が!】屈強な男は一瞬たじろいだ様子を見せ手紙を受け取った。 その手紙には、ワンダーウーマン誘拐命令とその作戦をロン自らが指揮することが書かれていた。 そして手紙に添えられた資料 それは ナチスノーツと呼ばれるワンダーウーマンに関するCIAの 極秘資料だった。 --------------------------------------- ダイアナのアパート メルセデスのクーペを駐車スペースに停めると、ダイアナはタイトミニから伸びる長い脚を 見せつける様に車を降りた。 そして玄関を入ると、一目で集合ポストから郵便物がはみ出しているのに気づいた。 (何かしら・・・大きな封筒ね・・・) 彼女はその茶封筒を手に取り、エレベーターで階上へと消えていった。 部屋へ入りジャケットを脱ぐと、ダイアナはすぐに郵便物の確認を開始した。 (宛先無し・・・差出人は・・・パイロン・・・誰かしら?) ペーパーナイフを使い茶封筒を開けると、引き延ばされた写真が出てきた。 その写真を見たダイアナは 一瞬 凍り付ついてしまった そこには 磔にされハインツにバックから突き上げられ喘ぐワンダーウーマンの姿が写っていた。 (い、いったい誰がこんな物を・・・) 慌てて 封筒の中身を調べて見ると 1枚の便箋が同封されていた。 −− ミス ダイアナプリンス あなたの友人に連絡して下さい。 アメリカのスーパーヒロイン ワンダーウーマン様へ この写真のネガと マスタービデオがご希望ならば、 下記へご連絡下さい。 xxxx.xxxx パイロン −− この手紙からすると 私がワンダーウーマンとは気が付いていないようね でも、私のことを何処まで知っているのかしら? ダイアナは一抹の不安を感じながらも 記された連絡先に電話を入れた。 --------------------------------------- 郊外にある穀物倉庫の前に 立つワンダーウーマン きっと 罠があるでしょうね 気をつけて入りましょう…そう呟くと ワンダーウーマンは 意を決して倉庫の扉を開けて入っていった。 倉庫の中は照明がなく 暗く静まりかえっていた、 突然 銃声がし 弾丸がワンダーウーマンめがけて放たれた。 それを 難なくブレスレットで弾き返すワンダーウーマン ワンダーウーマンは 倉庫の中に立つ一人の男に気づいていた。 【貴方が パイロンなの?】影に向かって問い掛けたワンダーウーマンに 意外な声が返ってきた。 【久し 振り だな ワン ダー ウー マン】まるで機械のようなテンポの音声に ワンダーウーマンは 驚いて問い返した。 【誰なの! 貴方は?】 その問に答える様に 男は ゆっくり近づいて来た 【貴方は! コング! 生きていたの 】 コングと呼ばれた男の姿は異様なものだった 頭こそ人間だったが、異常に膨れた戦闘服の下は明らかに鋼鉄のボデイだった。 そして 袖から出ている腕・手首はスチールの光沢をはなっていた。 【お 前 と ベネ ット に 復讐 する 為 に 地獄 から 帰 って 来た ぜ!】 【ネオナチスに サイボーグにされたのね】 ワンダーウーマンの哀れみを込めた言葉を 男は笑って否定した。 【違 う! 俺 を … から 蘇 ら せた のは ロン大人 だ!】 【その ロン大人に会わせてくれる?】 ワンダーウーマンは 両手を腰に当てる 余裕のポーズをとりながら 目の前のサイボーグを恐れずに言った。 【俺 を 倒せ た らな】そう言うと同時に 信じられない速さでパンチが飛んだ。 しかし ワンダーウーマンはそれを難なく受け止めるとコングのみぞおちにパンチを打ち返した。 【うぐぅぅ】短いうめき声とともに 鈍い音がしてコングの体が床に崩れ落ちた。 勝負が あっけなくついた そのとき パチパチと拍手しながら大勢の屈強な男達を従えた細身の青年が 現れた。 【流石は アメリカが誇るスーパーヒロインですね御会いできて光栄です 私がロンです】 笑顔を見せながら男は自己紹介をした。 ワンダーウーマンは素早くマジック ラッソーをロンに掛けると質問をした。 【貴方の目的は? さぁ答えなさい】罠を警戒したワンダーウーマンの先制攻撃に男達は立ちすくんで しまっていた。 【ワンダーウーマン 貴方を捕らえることですよ】男は素直に答えた。 【私を捕らえてどうするつもりだったの 答えなさい】 しかし その答は ワンダーウーマンを驚かせるものだった 【今は まだ言えないな ワンダーウーマン】男は余裕のある声で答えた。 【そんな! ラッソーが掛っているのに】 そのとき ワンダーウーマンは 屈強な男達がなぜか笑っているのに気づいた。 【ラッソーなど 使わなくても いくつかの質問には答えて差し上げるのに】 そう言いいながらロンは自力でラッソーを解いてしまった。 唖然とするワンダーウーマンの隙を突いてロンの一撃が鳩尾にめり込んだ。 信じられないと言う顔のまま 床に倒れたワンダーウーマンにロンの声が 薄れて行く意識に 入っていった。 【コングとワンダーウーマンを連れて行け】 --------------------------------------- 地下室で 意識を取り戻したワンダーウーマンは 首輪をつけられ 後ろ手に縛られていることに気づいた ロープを引き千切ろうと 手首に力を入れたワンダーウーマンは、 初めて マジックベルトを奪われていることに気づいた。 【しまった! ベルトとラッソーが無いわ】 【これでは 逃げられないわね…でも…あの男になぜ?】 ワンダーウーマンは 今でも ラッソーがロンに効かなかったのが信じられなかった。 それに マジックベルトをした自分を一撃で倒したことが信じられなかった。 【暫くは 大人しくして 様子を見た方がいいわね】 ワンダーウーマンが 自分にそう言い聞かせていたとき 地下室の重い扉が開き 10数人の男達が入って来た。 本能的に身体を硬くし身構えるワンダーウーマンを男達は下品な笑いをこらえながら取り囲んだ。 【さぁ お楽しみの時間だぜ スーパーヒロインさん】 男が壁に繋がれた鎖を外し 好色な目でワンダーウーマンに声を掛けた 【さぁ 来い! ワンダーウーマン】 *** つづく  この作品は、ハードカバー版(この場合は「画像付き小説」とさせていただきます。)が ダウンロードできます。入手される方は、下記のリンクをクリックしてください。

ハードカバー版・第1章(LZH)・76KB