平成12年10月22日・初版

ワンダーウーマン vs 妄想作家・第1章/AtoZ・著

--------------------------------------- 第一章 秘密会員クラブ --------------------------------------- 劇場のスクリーンには 捕らえられたワンダーウーマンが映っていた。 【本日のシアターは此れで終りです。 次回の御参加をお待ちしております。】 【皆様 本日は 遠路ごの来場有難う御座いました。】 【なお、幹部メンバーの方は 会議室に集合願います。】 幹部会議では 活動報告と映像評価が始まっていた。 【モデルは もう少し アクションができないのかね?】 【やはり この手合いのモデルは 裸だけが取り得ですからな】 【だが、裸にすると 魅力が半減するのは問題だな】 【しかし 裸にしなければ ハードな責めには成らんでしょう?】 【うーーむ しかし あのコスチュームは 捨て難いぞ】 【そうだよ! コスチュームがなければ スーパーヒロインとは解らんぞ!】 【大体 顔をアップに出来んのは 問題だぞ!】 【しかし アップにすれば偽者と 解ってしまうでしょうが!】 【そこを 画像合成でやるとか 出来ないのかね】 幹部達が意見を交わしていると プロモーターのロベルトが現れた。 【ロベルト君! 今日の試写会は良かったぞ!】 【ワンダーウーマンが十字架に掛けられるシーンは特に良かったな】 【本物を見ているようだったぞ! 実に良く出来ている!】 ロベルトの周りには、ファンが集まって賛辞を述べていた。 彼等は ワンダーウーマン調教委員会のメンバーだった。 現実のワンダーウーマには 手出しできないため、 合成画像で 映画を作り 喜悦に浸っているのだ。 ワンダーウーマンが捕らわれ 責められるシーンばかりの 映画だったが それでも ファンには好評だった。 【無理とは分かっているが、ぜひ 本物に登場して欲しいな】 その委員の発言に ロベルトは、 【それをやる予定です! 本物のワンダーウーマンでね。】 【ロベルト君! ほん! 本当か ね! そんなことが出来るのかね】 【すでに 計画を実行中てす! 吉報を お待ち下さい。】 【原作は誰が担当するのかね あの天才ウィン氏か!それとも 異能のマック氏か?】 【彼等とは 今、連絡が取れませんので、 AtoZを予定しています。】 【誰だ! その AtoZ とは?】 【三流の作家ですが アイデアは使えそうなので採用しました。】 【リナック氏とは 連絡が取れるだろう?】 【彼は メジャーですからね 採算が合わないのですよ それに 本物を使うとなれば 逮捕も覚悟しなければなりません。】 【そんな心配はいらん! 有数な弁護士と保釈金は出してやるぞ】 【ご心配なく AtoZ なら 逮捕されても 我々に痛手はありません。 かれも ワンダーウーマンのファン…少し異常ですが…ですので】 【そうか! 変質狂の犯罪という訳だな 我々は資金提供だけで犯罪には関わりなし だな 解った! 撮影には 私も見学させてくれ 資金はいくらでも出すぞ!】 【必ず ご連絡致します。 それでは 私はこれで失礼します。】 --------------------------------------- 数日後 ワンダーウーマンは、ロベルトの家で彼と会っていた。 【ダイアナから聞いたわ 情報をくれると言うのは本当なの?】 【こちらの 条件を飲んで くれればね?】 【どんな 条件? プロレスは嫌よ!】 【そんな無理は言いいません! 映画に出演して…くれれば】 【嫌よ! 貴方の映画は どんなものか 想像が付くわ!】 【では、情報は渡せないですな。 】 【先に情報を話して! 交渉はそれからよ!】 【いいでしょう。 実はパイロンの部下の陳大人ですが、 彼は 今、ユダヤ商会と取り引きを始めています。 商品は 何かの鉱石で 総量は1トンだそうです。】 【奪われた鉱石…フェミナムだわ…どこで取り引きするの?】 【ある農場です。 これが 地図です。 彼はそこに少女を連れて行くそうです。】 【…妹のドルシラかしら…その少女の名前は?】 【そこまでは 知りません。 私の情報はここまでです。】 【パイロンに関しては? 彼の情報はないの?】 【彼を調べさせた 私のエージェント10人が全員事故に会いました。】 【取引を確認したら…出演の話しはその時に…返事するわ】 【では! 良いご返事をお待ちします。】 ワンダーウーマンが 出て行くと ロベルトは直ぐ電話を入れた。 【私だ! ロベルトだ! AtoZに伝えろ!ワンダーウーマンが罠に掛ったぞ!】 【ここが 取引きの場所ね。 でも、誰もいない様だけど?】 【時間が早いのかしら? 中も調べてみましょう。】 ワンダーウーマンが 人気の無い家の中に入ると、 突然 上から網が落ちて来た。 【やったぞ! 捕まえろ!】 男の声がして 数人の男達が網でもがく ワンダーウーマンに飛び掛かった。 【うわぁぁぁぁーーーー ぁわわわ】 一瞬で 男達は 投げ飛ばされ 壁に叩き付けられてしまった。 ワンダーウーマンは 網を 両手で切り裂くと奥に隠れている男に言った。 【出てきなさい!】 【まっ! 待って! 待ってくれ 乱暴はしないでくれ!】 どもりながら 男が おびえて 出て来た。 【貴方は誰! なぜこんな事をしたの?】 【おっ 俺は AtoZ! シナリオライターだ!映画の台本の作者だよ】 【ロベルトが作っている 変態映画ね!】 【そっ! そぅだ! 今回あんたを捕まえて その…SMの…】 【私を捕まえる?…あの網で?】 【上手くいく筈だったのに! 3日も考えた筋書きだったのに!】 ワンダーウーマンは 呆れて この馬鹿を相手にしても無駄だと思った。 【いいわ! 行きなさい! もう馬鹿なことは止めるのよ】 ワンダーウーマンが 諭しながら後ろを向いた瞬間AtoZは丸太で殴り掛かった。 だが 簡単に受け流されてしまった。 【止めなさいと 言った筈よ!】 【わゎ! 済みません! もう しません! ごめんなさい!】 AtoZ は 半分泣き顔で ワンダーウーマンに訴えた。 ワンダーウーマンも 処置に困る馬鹿だった。 強い相手なら倒すことも出来るが 弱過ぎて相手にならなかった。 【いい! 二度としないと誓いなさい! でないと】 【はっ! はい! しません! 誓います! だから殴らないで!】 【帰りなさい! ロベルトにも言うのよ! 馬鹿な事はしないって!】 そのとき 表で声がした。 【ワンダーウーマン! 大人しくしろ! この女を殺してもいいのか!】 ワンダーウーマンが 飛び出すと 表に 女に銃を突き付けた男がいた。 【馬鹿な事は止めるのよ! その子を離しなさい!】 【大人しく捕まれば 離してやる!】 【へっへっへ おい! ワンダーウーマン! 大人しくしろ!】 後ろから AtoZ が勝ち誇って叫びながら縄を持って出て来た。 【その子も仲間なのね! いいわ撃って見れば!】 【なっ! なんで! 解ったの!】 AtoZ の呆然とした声に ワンダーウーマンも苦笑してしまった。 銃を構えていた男も 側の女も 怒りの声で言った。 【馬鹿か! 自分の作戦を自分で暴しやがって!】 【この馬鹿! ギャラは払ってよ!】 仲間からも 罵倒され しょげ返る AtoZ に ワンダーウーマンも 見放したように去ろうとしたとき、 突然 AtoZの 携帯ボンベのガスが 顔面に吹き付けられた。 【ごほっ! ごほ! 何を…する…の】 不意打ちを食らったワンダーウーマンは その場に崩れてしまった。 【わはっはっはっは! やったぞ! 捕まえたぞ!】 【早く縛り上げようぜ! 目を覚ましたら厄介だ!】 【さぁ このコスチュームと 着替えさせるんだ!手伝ってくれ】 【なんで わざわざ 着替えさせるんだ?】 【ワンダーウーマンのパワーの秘密は そのコスチュームなんだよ!】 【僕が研究調査した結果 それが 解ったんだよ】 【私も手伝うわ! このベルトとロープは どうするの?】 【レプリカを用意してあるんだ。 それと交換する】 【よし! あとは このロープで縛り上げよう】 【でも こんな縄ぐらい簡単に切られるわよ!】 【大丈夫! もう ワンダーウーマンにスーパーパワーはないよ 】 【よし 何処に運び込むんだ?】 【スポンサーが ワンダーウーマン用に 地下牢を作ってあるんだ!そこに運び込む。】 【こんなに協力したのよ ギャラは はずんでよ!】 【さっきは 冷や汗をかいたぜ あの演技ならお前も 役者になれるぞ!】 【そうよ! 役者になれるわよ!】 【さっきのこと? あれは 演技じゃないよ】 【それじゃ あんたは ただの 馬鹿だったの?】 【さぁ 撮影の始まりだ! ロベルトさんに連絡するよ】 【そこまでだ! IADCのトレバーだ! 手を挙げてうつ伏せになれ!】 【まっ! 待ってよ! 僕じゃないんだ! 僕は脅されただけなんだ!】 AtoZ は 悪あがき して いたが トレバーが聞き入れないと諦め、 いとも簡単に、捕まってしまった。 【動くな! トレバー 両手を挙げろ!】 それを見た AtoZ は、また 勝ち誇って トレバーに近づいて来た。 【馬鹿め! 僕の計画は完璧なのだ! わはっはっは!】 【その銃を渡せ! 僕が連行してやる! 人質がいればワンダーウーマンも…】 銃を渡す振りをして 油断を誘ったトレバーは振り向き様、相手をパンチで倒した。 唖然とする AtoZ に、 【その完璧な計画を 警察で 全部話してもらおう!さぁ!】 【…そっ…そんな…】 絶句する AtoZ だった。 ***つづく  この作品は、ハードカバー版(画像付き小説)がダウンロードできます。 入手される方は、下記のリンクをクリックしてください。

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