平成13年9月13日・初版

ワンダーウーマン vs 邪教集団・第1章/AtoZ・著

邪宗ヒシュタル教団 大神官ヒシュタル編 教団本部を調べる為にメキシコに向かったダイアナにヒシュタルの罠が忍び寄る。 --------------------------------------- 第一章 パイロン抹殺計画 --------------------------------------- ホテルのロビーを歩いていたパイロンの前に飛び出したAtoZは叫んだ。 【やいパイロン! 僕と勝負しろ!】 【…誰かに頼まれたのか?】 【お前が遺伝子研究所を 襲った理由を知っているからさお前の秘密を僕は握っているのさ】 パイロンは 指を鳴らすと ガードマンを呼び命令した。 【そうか…私の秘密を知っているのか…では相手をしてやれ】 AtoZはガードマンに両側から抱きかかえられそのまま通路を運ばれながら 叫んでいた。 【まっ! 待て! 僕は あんたと 1対1で勝負したいんだ!秘密を暴すぞ!】 その晩 ホテルの駐車場で 車に乗り込もうとしたパイロンの前に AtoZ が飛び出した 【やいパイロン! 僕と勝負しろ!】 パイロンが 指を鳴らすと ガードマンは 慣れた動作でAtoZを抱え上げ 通路を運んで行った。 【逃げるのか! 僕が恐いのか! 勝負しろ!】 叫んでいたAtoZの声が 通路の角を曲がると突然止んだ代わりに 【うげ! ごほっ! がぅう! あがぁ!】 と言う声に替わると 静寂が訪れた。 翌日 パイロン宛てに AtoZ と 書かれたメールが届いていた。 それを 見た パイロンは メールを消去すると一人でホテルを出って行った。 ---------------------------- 廃工場での対決 ---------------------------- 【よし! 勝負だ! こっちへ来い!】 AtoZは ワンダーウーマンを捕らえたときの罠 (ワンダーウーマンはこれに引っ掛かったり捕らえられたことがあった。) 油を撒いた部屋に パイロンを誘い込んだ 【さぁ来い 臆病者!】 が 部屋の前で パイロンは 一旦立ち止まるとゆっくり 中に入って来た。 【どうした! 臆病者! 僕が恐いのか!】 挑発するAtoZに 答えず パイロンは 指で油を調べると、 背広からライターを取り出し 前に進んだ 【なっ! 何をするんだ! ば! 爆発するぞ!】 【これはすぐには燃えん…知っている筈だろう… 言って貰おう 私の秘密とは?】 【おっ! お前の秘密は人間じゃないことさ!お前のパワーは人間じゃぁないだろ! ワンダーウーマンから聞いているぞ!】 AtoZの言葉を聞いたパイロンは サングラスを直すと平然と言った。 【ただの推量か… 遊んでいる暇はないのだ 見逃してやるもし生きていたらな】 そう言うと ライターを点けようとした そのときワンダーウーマンの声がした。 【待って! パイロン! 止めるのよ】 【やはり… ワンダーウーマンだったな】 【私が 相手よ! さぁ来なさい!】 【ワンダーウーマン! 来てくれたの! 助かった】 【早く 逃げなさい! AtoZ 逃げるのよ!】 二人の会話を黙って聞いていた パイロンは ライターを手にしたまま言った。 【遊んでいる暇は 無いと言った筈だ また会おうワンダーウーマン】 そう言うと 火の付いたライターを 空中高く放り投げジャンプして部屋から飛び出した。 ほぼ同時に パイロンと交差するように ワンダーウーマンは AtoZのいる台の上までジャンプすると 彼を抱えたまま 部屋の入り口まで 再ジャンプした。 その直後、ボッという音がして 部屋が炎に包まれ熱風が二人を襲った。 【しっ! 死ぬ! 死ぬかと思ったよ! 助かったよワンダーウーマン】 【なんて 馬鹿な事をしたの! 本当に殺されるところだったわよ!】 【なんて なんて奴だ! アイツは殺人鬼だよ!】 【相手はパイロンなのよ! 勝てると思ったの?】 【僕の計算では アイツは動揺して きっと罠に落ちると筈だったのに】 【その後…罠に落とした後は どうする積もりだったの?】 【えっ? そこから後は 檻の中でアイツと 闘って…】 【勝つ積もりだったの?】 【当然! 僕は催涙スプレーを用意していたからね】 【サングラスをしていたわよ それに 私が来る前に火を点けられていたら?】 【そんな酷いことをする奴が悪いんだ! まったくなんて卑劣な奴だ!】 【本当に焼き殺すつもりなら あんなに 高くライターを投げていないわ 私が 貴方を助ける時間を計算していたわ 自分を追うのを諦める時間もね】 【僕を本気にさせたようだな パイロンを絶対捕まえてやるぞ!】 【止めなさい! 今度は本当に殺されるわよ 彼に2度目の冗談は通じないわ】 【こう見えても 僕は合気道の二級だよ!】 【パイロンは中国武術大会の優勝者よ…それでも挑戦するの?】 【解った! 諦めるよ】 【貴方! 本当に変わり身が早いわね …馬鹿なのか利口なのか解らないわ…】 【でも 何故パイロンを狙ったの?】 【君が 彼を追っていると聞いたからさ 君には借りが有るからね】 【そんなことはいいのよ…彼は危険な男だわ…だからもう近寄らないで…解った?】 【約束するよ 今度は失敗しないよ】 【止めなさいと言ったでしょう! …頭痛がしてきたわ…やっぱり馬鹿だわ…】 ---------------------------- IADC本部 ---------------------------- IADCに戻ったダイアナに トレバーからパイロン逮捕の連絡が入っていた。 【やぁ ダイアナ そんなに 急いでどうしたの?】 【トレバー大佐は?】 【こっちだ! ダイアナ! 部屋に来てくれ!】 【トレバー大佐! IADCがパイロンを逮捕したって本当なの?】 【本当だ! 副長官の直接指揮で 対テロ部隊がホテルで逮捕したそうだ】 【容疑は?】 【タシケント館での殺戮事件の首謀者として殺人容疑で逮捕された】 【証拠は?】 【タシケントが証人として 宣誓供述したらしい。 現場検証でも 彼の証言通り4人の遺体が発見されている】 【殺害理由は?】 【口論から 彼が銃で4人を殺害したらしい…だが…有罪には出来ないだろう】 【なぜ?】 【解剖結果から 銃ではなく…4人は脳挫傷で即死している… それに4人は銃を握っていた 状況を考えても正当防衛になりかねない】 【彼は? 彼は 今何処に いるの?】 【副長官が尋問している あっ! 待てダイアナ何処に行くんだ!?】 【彼の所へ 私が尋問するわ!】 ---------------------------- IADCの取り調べ室 ---------------------------- 【ホテルで抵抗しなかったのは 賢明だったな抵抗していれば射殺していたところだ】 【…】 【だが 大人しく捕まっても お前の状況は 変わっていないぞ!】 【…】 【お前は、ヒシュタル教団から強請られていた。 だから タシケントの館を襲って信者を皆殺しにした。どうだ違うか!】 【…秘書と連絡を取りたいのですが…】 【だめだ! お前には逃亡の恐れが有る。 お前はここから出られない 諦めて白状しろ! あの資料 教団の資料をどうやって手に入れた!】 【…弁護士には連絡して頂いたのですか?】 【連絡はしてやった。 だが 残念だな 弁護士は来ないそうだ】 【そうですか…では…黙秘します】 【おい! パイロン! さっさと白状しろ! お前が殺ったことは解っているんだぞ!】 【…】 【お前がタシケントの館にいたことは確かだ!証人もいる! 殺人・放火・強盗 第一級犯罪だぞ! それとも取り引きをするか?】 【…】 【きさま! そんなことで 逃げられると思って居るのか!さっさと白状しろ!】 【…】 取り調べ官に 副長官は そっと 近寄ると 耳打ちした。 【…奴を移送しろ そして 逃げた所を 射殺するのだ …いいな】 【…わかりました…】 【おい! パイロン! 来い! お前を移送する】 パイロンは後ろ手錠のまま 護送車に乗せられるとそのまま 連行された。 夕刻 車は郊外に出て 丘陵に近づくと 道路から外れ岩場に向かっていった。 数分後 ドラム缶の山積されている場所まで 来ると車は停車し 取り調べ官が言った。 【パイロン! 降りろ!】 【まだ 着いていないのでは?】 【いいから 降りろ! ここで お前を逃亡させてやる!さぁ 降りろ!】 【取り調べが終了したと いう ことですか?】 【さっさと降りろ! 死にたく無ければ 全力で走るんだな!行け!】 【では…】 パイロンが降りたとき 周囲に10数人の男達が銃を構えて現れた。 パイロンは ゆっくり 彼等に向かって歩き始めた ライトの照明が パイロンを捕らえると同時に一斉に銃が乱射され硝煙が立ち込めた だが 照明が再び彼を捉えたとき 無数の銃弾と手錠が彼の足元に落ちていた。 そして 彼を狙った男達は 全員倒れていた。 【なっ! なんだこれは! どうして…】 驚愕する取り調べ官に パイロンは わざと ゆっくり喋った 【帰って 報告したまえ…暗殺は 失敗したと私は ここで 失礼する】 ---------------------------- IADC副長官の執務室 ---------------------------- 【逃がしただと! 全滅! どういうことだ! くっそう! 馬鹿どもめ! せっかくお膳立てをしてやったのに…そうだ…奴を殺人で指名手配に】 【その前に あんたが殺されるわよ】 【おっ! お前は! 誰だ! どうやって ここに入った!】 ギルバートの背後に立っていたのは まだ十代後半の少女だった。 【あんたが教団の幹部だと 最初から解っていたのよでも わざと見逃してあげていたのよ】 【キサマもパイロンの手下なのか? 丁度良いお前を審問してパイロンの行方を吐かせてやる】 そう言うとギルバートは引き出しから銃を出し少女に狙いを定めた。 【本当に馬鹿な男ね 救いようが無いわ】 【なっ! なんだと! キサマ! あっ! ぁぁぁぁ!なっ! なんだ! ワシの手が勝手に】 ギルバートの手が勝手に自分のこめかみに銃を突き付けていた。 【自殺したくなければ ヒシュタルに伝えるのね教団を殲滅されたくなければ 二度と手を出すなと。 解った? パイロン様は忙しいのアンタ等の相手をしている暇はないのよ】 【わっ! 解った! 伝える! だっ だから 俺の手を下ろしてくれ!】 【二度目の忠告はないわよ ヒシュタルにも貴方にもね】 そう言って少女が部屋を出ると、ようやく ギルバートの手は自分の意志で動くようになった そのとき 電話が鳴った 【何だ! そうだが…誰だキサマは? はっ?はい! ギルバートであります! はっ閣下! はっ閣下! はっ! はい! 承りました!】 【くっ! くっそう! 奴に手を出すなだと!国防省がなんだ! 補佐官がなんだ! くっそっ!】 【くっ! くっそう! ヒシュタル様に どう報告すればいいのだ】 ---------------------------- GIT社のゲストルーム ---------------------------- メキシコのヒシュタル教団本部を調べていたIADCのエージェントが すでに 4名も音信不通となっていた。 これ以上の損失を憂慮したトレバー大佐は ダイアナを派遣した後 GIT社の協力を求めて 日系3世の灘川部長を訪問していた。 【それで? ヒシュタル教団の本部が何処にあるかを当社で調べたいと?】 【GIT社の持つ ヒシュタル教団に関する情報を頂きたいのです】 【事情は理解できますが なぜ 当社に? ご依頼の件は政府機関の問題ではないのですか?】 【ヒシュタル教団のメンバーは政府機関にも潜入していますエージェントの失踪も 事前に情報が漏れていた恐れが有ります。御社なら…】 【お待ち下さい GITは諜報機関でも 政府機関でも有りません 民間の通信システム企業です 令状なしでのご協力は…】 二人の会話が平行線をたどっているとき 灘川に電話が入った。 【はい 灘川です。 はい…そうです…はい…私に一任されるのですね…解りました…では】 【オーナーのパイロンと連絡が取れました。地下にご案内します此方へぞうぞ】 【貴方は パイロン氏と連絡が取れるのですか!】 【貴方から面会依頼があった時点で連絡を入れて有りました。やっと繋がったのですよ】 そう言うと 灘川部長はトレバー大佐を地下12階のシェルターに案内した。 【ここは! このビルはシェルターにもなっているのですか?】 【緊急時にも対応できる設備は持っていますが、本来は当社が所有する衛星の通信制御室です】 【GIT社は衛星も 持っているのですか!?】 【ご覧ください 今 メキシコの上空を軌道周回中の衛星からの情報を表示します】 灘川はオペレータと交代すると パスワードを打ち込み画面上に地図情報を表示させていた。 地図情報と色の点が重ねられ 山間部のある部分が徐々に拡大されていった。 メキシコ・中央高原、メキシコシティーの北50Kmテオティワカン遺跡の近くですね。 テオティワカン遺跡は 二つのピラミッドを中心とした宗教都市の遺跡で ピラミッドが建設されたのは紀元前2世紀ころです。 テオティワカンとはナワトル語で「人間が神々にかわる地」を意味します。 そこから北西へ20Kmの山岳地帯 ここが ヒシュタル教団の本部です。 現在の人員は200〜220名 大量の火薬・薬品が有りますね。 内部は地下5層地上4層の建物…いや地下は洞窟ですね】 【他には 他に何が解りますか?】 【ここまでです…教団に関する情報は通信記録から解析したモノをお見せします。 直線距離では短いですが 道はありません、標高2000mの山岳地帯です、 徒歩で行くなら3・4日はかかるでしょう】 通信制御室からゲストルームに案内されたトレバー大佐は灘川から驚愕するリストを 提示されていた。 それには 以前パイロンから提供された以上の(意図的に隠匿されていた)情報だった。 諜報機関内部の IADCの副長官を含む メンバーの氏名がリストされていた。 【副長官が! 彼は教団壊滅作戦の責任者です! これでは エージェントの情報は教団に筒抜けだ!ダイアナが危ない!】 【私の調査では、具体的な計画は解りませんが、教団の目的は人類の浄化… 教団メンバー以外の人類の殺戮です】 【以前から調査されていたのですか?】 灘川は それには答えず リストと地図情報を渡すとトレバー大佐に警告をした 【教団本部を潰しても意味はありません 教主を、ヒシュタルを始末しなければ そのリストが有っても、メンバーを逮捕する前に貴方が暗殺されます。 身辺に注意…護衛も当てになりません…してください。】 トレバー大佐を出口まで見送った後 灘川は パイロンに連絡を取っていた。 【灘川です、トレバー大佐に 機密リストと地図情報を提供しました。 エージェントのダイアナがメキシコに派遣されているようです。 それと 教団がミサイルを購入します いよいよ最終計画に入ったようです。 私も作戦に参加しましょうか?…そうですか…紅龍が?…危険ではないですか? 紅龍は子供です老獪なヒシュタル相手では… そうですかパイロン様がサポートされるなら…では】 ---------------------------- メキシコシテイ ---------------------------- 空港に降りたダイアナは税関を出ると シロタクやホテルの客引きや、物乞い達を振り切り タクシーチケットを買って、タクシーに乗り込みホテルを目指した。 途中 バイクに乗った警官が発砲しながら前の車を追っていくのを見た。 【まるで映画のシーンを見ているようだわ でもここメキシコでは普通なのかしら】 歩いて30分のホテルまで 車で30分で到着したダイアナは とりあえず ホテルに入り 身軽な服装に着替えると 失踪した前任者の手がかりを得る為に街にでていった。 しかし ここでも いたるところで、たかりに遭遇し 笑顔で「コンニチワ」と言いながら、 ポケットに手を突っ込んでくるこそ泥に手を焼かされた。 前任者からの断片的な情報から テイウォテイワカン奥地が怪しいと推測したが 道がない地域では ガイド無しでの旅は無理と解った。 前任者も同じ行動をとったとすれば ガイドも警戒しなければならなかった。 ホテルでの行動も すでに 監視されている可能性もあったが 相手から動いてくれるほうが 調査が容易になることも考えられた。 【これまでの情報から 彼が奥地に行った事は間違いないわ… 明日は、もう一度ガイドを調べて見ましょう…】 そう決めてドレスに着替え ホテルのレストランに向かったダイアナは そこで 意外な人物を発見した。 レストランの奥の展望席に居たのは 紅龍とボデイガードらしい屈強な4人の男だった。 そして、その近くの席に ヒシュタル教団のバッチを付けた男達が十数人集まっていた。 ダイアナは少し離れた所に席を取ると 彼等の様子を観察することにした。 暫くすると 教団の幹部らしい男が 紅龍の席に近づき何事かを話していた 【その席は このレストランで一番高い席だと知っているのか?】 【そのようね】 【その席を譲って欲しい。ここの食事代は我々が払うがどうかな?】 【嫌だといったら どうするの おじさん?】 【ここは 我々が何時も利用している席だ 観光客はもっと安い席に行けばいいだろう!】 【馬鹿を相手にするなと言われているの 消えてよ!】 挑発的な態度に、形相を変えた男が紅龍につかみ掛かろうとしたが 男はその姿勢で固まったまま全身に汗を吹き出すと震えだした。 同時に ボデイガードの男達も席を立つと 紅龍の側に素早く固まった。 仲間の異様な様子に 他のメンバーも席を取り囲むと紅龍達に詰め寄った。 だが 突然 彼等は仲間同士で掴み合いを始めた 訳が解らぬまま お互いが お互いに 殴り合い掴み合っていた。 騒ぎでレストランが騒然となり ボーイや警官が取り押さえる中 紅龍達は何事も無かったように悠然と出て行いた。 ダイアナも食事を諦め 彼等を追ったが ホテルを出た所で見失ってしまった。 ホテルのフロントでチェックインを確認したが紅龍達はここの客ではなかった。 【彼等は 何の目的でメキシコまで現れたのかしら?トレバーに連絡して見ましょう】 ダイアナが自分の部屋に電話を掛けようと戻って見ると 部屋が荒らされ トランクが盗まれていた。 【やられたわ…でも誰の仕業かしら…教団か…紅龍か…泥棒か…最近は敵が多すぎるわ】 気を取り直しIADCに連絡したが トレバーは副長官の命令で日本に出張との事だった。 【紅龍の件は後にしましょう 先ずは教団本部とヒシュタルの写真を撮らないと…】 翌朝、ダイアナは ツアー客を装い高地ガイドを調べに回った。 だが テイウォテイワカンまでのツアーは有るがそのコースを外れた場所は 現地のインディオでなければ 案内は不可能との事だった。 現地でガイドを捜す事にして ホテルにもだったダイアナだったが、 ドアが半分開いているのを見つけると スピンしてワンダーウーマンに変身した。 部屋の中では ベッドの上に男の死体が転がっていた。 【これは! 誰が こんな事を!】 その時 背後から警官が乱入して来た。 【お前を逮捕する!】 【待って! 私じゃないわ! 私はワンダーウーマンよ】 【アメリカのスーパーヒロインが なぜメキシコにいる?ここの客はどうした?】 【私はダイアナの友人なの 彼女は観光旅行の申し込みに行ったわ】 【おい! 死体を運びだせ! それと 客のダイアナを参考人で手配しろ!】 【手を出せ! 警察で調べてやる!】 大人しく捕まる事にしたワンダーウーマンに警官は手錠を掛けると背後に回り いきなり麻酔を嗅がせ そして もう一人がベルトを奪った。 【んっ?!、ん〜、これは! 麻酔だわ!】 ワンダーウーマンは呼吸を止め 足をばたつかせ身体を捻るようにして必死で抵抗した。 【あう! あうぅ…】 しかし 口を塞ぐ布に染み込んだ液体は 気管からではなく皮膚から浸透する麻酔だった。 【んっ?!、ん〜、んんんん、ん〜・・・】 もがくうちに 徐々に麻酔の効果に 力が萎えていき終に力尽きてしまった。 【ワンダーウーマンを捕獲した。 ヒシュタル様に連絡しろ】 【すぐ 処刑するのか?】 【ヒシュタル様のご命令だ】 【目を覚ませば 驚く事になるだろうな】 【念のため 注射をしておこう これで 当分目を覚まさないだろう】 ***つづく  この作品は、ハードカバー版(画像付き小説)がダウンロードできます。 入手される方は、下記のリンクをクリックしてください。

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