平成14年1月25日・初版

ワンダーウーマン vs 邪教集団・第4章/AtoZ・著

邪宗ヒシュタル教団 大神官ヒシュタル編 --------------------------------------- 第三章 逃亡 --------------------------------------- 夜になった、明日は神殿に着いてしまう。 その安心から男達は 見張りを一人にして眠ってしまった。 ワンダーウーマンの首輪は その鎖は太い木に繋がれていた。 どうせ逃げられないという安心感とこの4日の間の暴行で もう反抗する気持ちも失せたという思い込みから 見張りの男も 睡魔に襲われ眠り込んでしまった。 ワンダーウーマンの魅力に溺れた男達は ミスを犯していたのだ。 普段なら彼等もこんな無様な醜態を晒さなかっただろう しかし 標高2000mの高地で 毎晩SEXをするなど 彼等にとっても初めてだった。 昨日が最後と 陵辱の限りを尽くした男達が自ら墓穴を掘る結果となった。 見張りの男は 最初一人で追う事を考えたが 温もりから考えて 逃亡して数時間は立っているようだった。 もし見つからなければ 処刑が待っている。 それを 考えれば 捕まえて一人で楽しむなど考える余裕はなかった。 男は 急いで全員をたたき起こしていった。 男達は 見張りの絶叫で飛び起きた。 【逃げ! 逃げたぞ! 起きろ! 早く起きろ!】 【おい! 起きるんだ! ワンダーウーマンが逃げたぞ!】 【なっ! なんだと! くっそう! おい! みんな起きろ!】 【キサマ! 何をしていた! 眠り込んだのか!】 【なんだと! 逃げただと! 大神官様がお怒りになるぞ!】 【俺達全員が 処刑されるぞ! キサマ どうする気だ!】 【そんな事より 早く捜せ! 遠くに逃げられる筈などないのだ】 【あの格好だ 早くは走れない筈だ! 追え!】 男達は 絶叫しながら ワンダーウーマンを求めて岩場を下っていった、 【居たか!】 【おらん! そっちはどうだ!】 【くっそう! あの女 捕まえたら 思い知らせてやる!】 【早く来い! 探し出すんだ!】 【こっちだ! 足跡があったぞ】 【下に向かっている 岩場を降りているぞ!】 【森に逃げ込む前に捕まえろ! 行くぞ!】 男達も必死だった もし逃がせば いや逃がしたことさえ 知られても ヒシュタルに処刑されるだろう。 命請いなど 聞き入れられる相手ではなかった。 もし処刑されたら あっさり殺される方が幸せだろう 男達は 仲間さえ何人も殺して来たが 殺されなかった男の悲劇は 瞼に焼き付いていた。 その男は 教団から 女と逃げようとして捕まったのだ。 女は四肢を切断され 歯を抜かれ 男の性奴隷となった。 男も四肢を切断され 舌を抜かれ 目を抉られて便所に投げ込まれた。 数ヶ月 男は生きていた その間の事は思い出したくなかった。 自分もそんな目に合うなら いっそ殺して貰いたいと思った。 教団では、教祖に盲目的に従うしか 生きる余地は無かった。 しかし 幹部になれれば 部下を自由に 動物以下に扱うことができた。 教団の幹部になる≠サのためには 仲間も殺し陥れてきた。 だが 今は ワンダーウーマンを 捜さねばならない。 そして 逃亡した責任は 見張りの男に押し付けるのだ ワンダーウーマンを捜すのだ できなければ処刑される その脅迫観念が 男達を駆り立てていた。 男はワンダーウーマンが逃げたことが信じられなかった。 今までは どんな女も(男も)暴力で屈服させてきた。 インテリや美人ほど 脆く 従順な信者になっていった。 それでも 屈服しない男は殺し 女は手足を切り落とした。 教団が狙った相手は 金の有る男・美しく若い女だった それ以外は 消耗品として使えるモノだった。 女を 力で SEX で ねじ伏せて来た だが ワンダーウーマンだけは 違っていた。 仲間と一緒に 殴り・蹴り・犯した だが 彼女の目は 恐怖でも 憎悪でも 卑屈でも無かった 哀れみの眼差しだった。 男は その目に畏怖しそれから逃れるために より狂暴になって ワンダーウーマンを 犯し続けたのだ。 なぜだ なぜそんな目ができるのだ くっそう!止めてくれ! 俺を哀れむな 俺はヒシュタル教徒だ 善悪を超えたモノなのだ! 心でそう叫びながら ワンダーウーマンを 殴り・蹴り・犯した 【おい! 何をしている! 早く来い!】 【いたぞ! こっちだ! あそこだ!】 【逃がすな! 捕まえろ!】 【お前達は 回り込め! 森に行かせるな!】 男達は 獲物を見つけた野獣のように 疾駆した。 仲間の叫びで 我に返った男も 走っていた。 処刑は嫌だ! 俺は生きたい! ワンダーウーマンを捕まえるのだ! -------------------------------- ワンダーウーマンが 全身の痛みに目覚めたとき 男達は泥のように眠っていた。 そして見張りの男さえ寝息を立てて眠っていた。 暫くは 息を殺し様子を見ていたが 彼等は本当に眠っていた。 ワンダーウーマンは 自分の体が動かせるか試して見た 首輪の鎖は太い木に繋がれていたが 鍵で固定されてはなかった。 静かに 結び目の所まで 這い進むと ゆっくり慎重に解き始めた。 音を立てぬように 少しづつ 徐々に解いていった。 そして 解いた鎖を口に咥え 音を立てぬようにテントを離れた。 男達が気付く前に 少しでも遠くへ だが 逃れた先の展望がある訳では 無かった。 縛られたまま 街まで逃げ戻れる可能性は少なかった。 だが ここで逃げねば あの男達は罪を重ねるだろう。 ワンダーウーマンは 男達が可哀相になっていた。 人間が人間に あんなに酷いことが出来るのが悲しかった。 彼等は ヒシュタルへの恐怖から 憎悪に駆り立てられているのだ 憎むべきは 彼等ではなかったが、 彼等のしていることは憎むべきことだった。 縛られていなければ、ベルトが無くても 6人を相手なら 勝てるかも知れない だが今は逃げるしか無かった。 彼等がベルトを持っていたとしても 簡単に見つけられないだろう この4日間 男達を観察してが、誰が持っているのか解らなかった。 彼等のうち 誰がリーダーなのかも 知り得る機会もなかった。 男達は余り会話をしなかった 会話を恐れている様でも有った。 考えているうちに歩みが遅くなっていた。 そのとき 男達の声が近くで聞こえた。 【だめだわ! 見つかってしまうわ!…どこか…どこかへ隠れないと】 だが 岩場では身を隠す場所など無かった 後は走るしかなかった。 窪地に足を取られ転倒した 立ち上がったときには男達は直ぐ後ろに迫って来た。 【見つけたぞ!】 【見つかったわ!】 【逃がすか!】 【逃げなければ!】 【逃がすな 捕まえろ!】 【だめ! 捕まってしまう!】 【このアマ! 逃がすか!】 【捕まえたぞ!】 【捕まったわ!】 【くっそう 離すか!】 【だめ! 離して!】 【押え込め! 押し倒せ!】 後ろ手に縛られ逃げる女 それを 追う6人の男 まるで シカを狩るオオカミの群れ だった。 一匹が飛び掛かり 倒れた獲物を 全員が襲う そして むさぼり尽くす そのままの光景だった。 男達は飛び掛かり 押し倒し 押え込んだ。 【このアマ よ・く・も・逃げ出した…な】 【はぁ…はぁ…はぁ…俺達を…馬鹿に…しやがって】 【さぁ…さぁ…来い もう逃がさん…ぞ】 【ぜぃ…ぜぃ…ぜぃ…】 【はぁ…はぁ…はぁ…もう…ゆ・る・さ・ねぇ・ぞ】 【ぜぃ…ぜぃ…はぁ…はぁ…】 標高2000mの高地で 全力疾走のマラソンをしたのだ。 捕らえたものの 追う者も 捕われた者も 息をするのが精一杯だった。 テント迄ワンダーウーマンを連れ戻したとき男達が倒れ始めた 殴る元気も無かった もう一歩も歩けない だが 今日中に連行しなければ 処罰されるだろう。 男は考えていた もしかしたら ワンダーウーマンなら ヒシュタルから 狂気の教団から 俺達が犯して来た罪から 俺達を救えるのではないだろうか? 人類の救済といいながら ヒシュタルは核弾頭ミサイルを購入する という噂も聞いていた。救済に核爆弾が なぜ要るのか? 魂の救済と言われながら やって来たのは強盗・殺人・誘拐だった。 それでいいのか? もう一人の自分が語り掛けていた。 ワークと言われてやって来た事は 盗聴・監視・洗脳だった。 俺は小学校も出ていない だが俺でも悪い事なのだとしっていた。 だが 信仰の為 教義の為 ヒシュタルの為だと自分に言い聞かせて来た。 ワンダーウーマンは正義の為に・人類の為に・闘って来たはずだ。 救済を目指す俺達がなぜ 闘わねばならないのだ… ふらふらと 立ち上がると 男はリュックを取って来た。 その中からベルトを取り出すと ワンダーウーマンに掴ませた。 【こっ! これは! 私のベルト!】 男はワンダーウーマンの首輪を外すと 何かを伝えようとした。 だが 男はサバイバルナイフで背中を貫かれていた。 【馬鹿が 裏切ったな】 ワンダーウーマンは手錠を引き千切ると ナイフの男を殴り飛ばした 【しっ! しっかりして! 今 手当てしてあげるわ】 ワンダーウーマンの優しい声に 男は何かを伝えようとした 【み・ん・な・を ミ・ン・ナ・オ・ タ・ス・ケ・テ・ク・レ・・】 ワンダーウーマンには 男がそう言った様に聞こえた 【しっかりして! 生きるのよ! 死なないで!】 男はワンダーウーマンに 一瞬微笑むと そのまま息が絶えてしまった。 ほかの男達も 異変に気付き ワンダーウーマンに襲い掛かったが スーパーパワーの前には勝負にならなかった。 卑怯な罠・抵抗できない相手・弱い1人を大勢で嬲って来た彼等などは ワンダーウーマン相手に勝てる筈はなかった。 全員が打ちのめされるまでに1分も掛からなかった。 ワンダーウーマンは岩場に窪地を見つけると男達を縛り上げそこに運んだ そして 死体の男を岩陰に埋葬すると 一人 神殿に向かった。 【行くわよ ヒシュタル! 待っていなさい!貴方を倒して信者達を救うわ】 -------------------------------- ワンダーウーマンが神殿に連行されている頃 メキシコ湾岸の暗い無人の浜に 戦略ミサイルのパーツが密かに運び込まれていた。 それは 某国からヒシュタル教団が購入したミサイルだった。 売り手側と買い手側 双方共10人近い武装集団が交渉していた。 【お前が責任者なのか?】 【そうだ! 教団幹部の マリオだ】 【商品は陸揚げした 金を払って貰おう】 【どうやって運んだ?】 【軍の潜水艦だ! 時間が無い早く取り引きしよう】 【神殿で組み立てを確認してからだ】 【約束が違う! 現金と交換でなければ 渡せない】 【我々を信用しないのか?】 【品物をなんだと思っている! 核弾頭ミサイルだぞ!】 【組み立てて見なければ 本物か確認できんだろう】 【馬鹿な! お前達の中に専門家は居ないのか?】 【品物は 貰って置く お前達は帰れ!】 【この世界では 即金決済がルールだ! 払わなければ持って返る!】 【返さないと言えば どうする?】 険悪な状況だった 双方が銃を構え 臨戦状態になっていた。 それを破ったのは 若い女 いや 少女の声だった。 【品物は あたしが貰ってあげる 置いていきな!】 男達が 声のする方に気を取られ 振り向いたとき 反対側の背後から現れた 全身黒マントの巨人達がハンドミサイルを 打ち込んだ。 応戦する余裕もなく 半数が吹き飛ばされ 残りが逃げようとしたとき 少女のショットガンが連射された。 ほんの一瞬で 両組織のメンバーは全滅していた。 【つまらないの…簡単すぎるわ】 あまりのあっけない展開に少女が呟いた。 死体を確認し終わった男達がその周りに集まり紅龍に指示を仰いだ。 【荷物はどうされますか?】 【警察に連絡しろとパイロン様が言っていたわ】 【死体は どうします?】 【そのままでいいわ 警察が片づけてくれるわ】 【我々が殺ったと知らせるのですか?】 【そんな必要はないわ 勝手に調べるでしょう】 【では 1時間後に通報します】 【その前に あんた達は レオンと合流して コイツ等の潜水艦を奪ってよ】 【紅龍様はどうされますか?】 【神殿に行ってくるわ】 【危険では? 単独行動は聞いておりませんが?】 【ヒシュタルを見てくるだけよ 直ぐ帰るわ】 【しかし…】 【いいの! パイロン様には内緒よ!】 【…】 ***つづく  この作品は、ハードカバー版(画像付き小説)がダウンロードできます。 入手される方は、下記のリンクをクリックしてください。

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