平成14年2月8日・初版

ワンダーウーマン vs 邪教集団・第5章/AtoZ・著

邪宗ヒシュタル教団 大神官ヒシュタル編 ヒシュタルの超能力で再び捕らわれたワンダーウーマンに四肢切断の刑が迫る… --------------------------------------- 第四章 大神官ヒシュタル --------------------------------------- 【神殿に侵入者! 警備班は侵入者を捕らえろ!殺しても構わん!】 【侵入者を発見! ワンダーウーマンです!】 【取り押さえろ! 生け捕りにするのだ!】 神殿に侵入したワンダーウーマンに信者達が群がって行った。 【神殿に侵入した愚か者め なぶり殺しにしてやる!】 【相手は女1人だ 捕まえろ!】 【捕らえた者は ヒシュタル様からご褒美を頂けるぞ!】 始めは 好色な笑いで向かっていった男達も 仲間が次々倒されるのを見て 顔を硬直させていった。 信者達は もともと 戦闘のプロではなかった 彼等が ワンダーウーマンに素手で勝てる筈は無かった。 【構わん 殺せ!】 【神殿を汚す者を殺せ!】 【ヒシュタル様に近づけるな!】 銃やライフルで武装した信者達が ワンダーウーマンを阻止しようとしたが 所詮 彼等が叶う相手では 無かった。 【祭壇に近づけるな!】 【ヒシュタル様を守れ!】 絶叫する警備兵を倒し 門を突破したワンダーウーマンを 武器を持った信者達が迎え撃った が 次々投げ飛ばされていった。 【神殿を汚す者を捕らえろ!】 【侵入者を殺せ!】 【居たぞ! 逃がすな】 【奥へ逃げたぞ! 祭壇を守れ!】 【こっちだ! 応援を呼べ!】 【次から次と きりがないわね】 信者を捕らえラッソーでヒシュタルの場所を聞出し ワンダーウーマンは、祭壇へと突き進んでいった。 ------------------------------------------------------ その頃 もう一人の進入者が 神殿の門をくぐっていた 【汚い神殿ね 古いだけが取り柄の遺跡だわ】 【待て! お前は誰だ!】 【あたし? あたしは紅龍 純情可憐な乙女よ】 【怪しい奴め! 捕らえろ!】 【ヒシュタルに会わせてくれるなら 捕まって上げるわよ】 【なんだと! キサマ! 大神官様を呼び捨てにするのか!】 【ミサイルのことで 話しが有ると伝えてくれる?】 【ヒシュタル様に連絡しろ 俺はこの娘を見張っている】 【武器は持っていないだろうな 身体を調べろ!】 【そんなの無いわよ!】 【武器は無いようだ 連絡があるまで 大人しくしていろ】 【おい! ヒシュタル様が その娘を連れて来いとおしゃっているぞ】 【解った 来い! ヒシュタル様の所に連行する】 2人の男に前後から挟まれる形で 紅龍は祭殿に連行されていった。 ------------------------------------------------------ ベルトを奪い返しヒシュタルを追って祭殿に乗り込んだワンダーウーマンだったが… その前に ヒシュタルと数十人の部下が立ちはだかった。 【馬鹿目 自分から処刑されに来おったわ 】 【貴方なんかに負けるものですか! 行くわよ!】 警護兵を倒したワンダーウーマンがヒシュタルに飛び掛かろうとしたとき 突然 身体が固まってしまった。 【くっ! 身体が…身体が動かない!】 【くっくっく 馬鹿目 このワシに 神に匹敵する力を持つワシに逆らえると思ったのか!】 【くっ! くぅぅっ! だっ! 駄目だわ!】 【ワンダーウーマンを祭壇に載せろ、四肢を切り落として人犬にしてやる!やれ!】 ヒシュタルの超能力に金縛りとなった ワンダーウーマンに 部下達は襲いかかると神殿の奥に備えられた生け贄の台の上に 手足を広げた格好で 鎖で縛り上げた。 【止めて! 止めなさい! 貴方達は騙されているのよ!】 【スーパーヒロインのパワーなど 所詮は神の力の前では無力だと解ったか】 【くっ! こんな鎖なんか…あっ! はぁうううっ!】 鎖を引き千切ろうとしたワンダーウーマンは突然股間を捕まれ悲鳴を上げた 【ふっふっふ 力が入らないだろう そうら ベルトを取ってやる鎖を切ってみろ!】 【あっ! やっ! 止めて! 返して!】 ヒシュタルはワンダーウーマンからベルトを奪うと部下に命令した。 【くっくっく お前達 ワンダーウーマンを嬲り者にしてやれ! その間に お前達はチェインソーを用意しろ! 処刑が始まる前に ワシから逃げられれば 見逃してやろうさぁ勝負してやれ!】 四肢を鎖で拘束され抵抗できないワンダーウーマンに 男達の無数の手が襲い掛った。 【やっ! 止めて! 貴方達はヒシュタルに騙されているのよ目を覚まして!】 【いい声でなく迄 可愛がってやれ】 【いっ! いゃ! 止めっ! 止めなさい!】 【処刑の準備が出来るまでに 逃げられるかな?ワンダーウーマン】 【止めて! ぁっ! だめ! 触らないで! 目を覚まして!くっ! はぁぅっ!】 【どうした どうした 悶えていては逃げられぬぞ】 【ぁっ! あぅ! くっ! 嫌! ぁうぅ! 嫌ぁぁぁああああああ!】 【わっはっはっはっは さっきの威勢はどうしたのだ】 口を 耳を 胸を 脇を 臍を 丘を 腿を 男達の手が舌が 這いずり回った。 【くぅっ! ぁぁぅ! くっ! 止めて! 止めるのよ!はぁぅ!】 【それ それ もっと もっとだ!】 【ぁっ! ぁっ! 止めて! お願い!】 【目を! 目を覚まして! はぁぁぅっ!】 顔を背け 歯を食いしばって 耐えようとしても 無数の手が 舌が 全身を撫で回した。 【くぅぅ! 嫌っ! 止め! あぅ!】 【わはっはっはっはっは どうした! 反撃せぬのかワンダーウーマン】 【ぁっ! あぅ!嫌! 嫌ぁぁぁ!】 【何をしておる 逃げるチャンスは 今しか無いのだぞ】 【貴方達は騙されて はぅっ! あぅ! 騙されているのよいっ! いゃぁ!】 【はぁっ! はぁあぅ! 止めて! くっぅぅう!】 信者達は 指を使って ワンダーウーマンの穴という穴を弄くり回した。 【ひっ! ひっぃっ! くぅっ! 嫌! 嫌! 嫌ぁぁぁああああ】 【どうした 時間が無いぞ ワンダーウーマン】 【ぁぁう! くぁぅ! 止め! 止めて! はぁぅっ!くぅうっ!】 【どうした ワシを倒しに来たのでは無かったのかワンダーウーマン】 【ぁ! ぁ! いっ! いっぁ! はぁぅぅ! くっくっぅう!】 【悶えていては ワシを倒すどころでは無いな構わぬ 止めを刺してやれ!】 信者達は嵩に掛かって責め始めた。もう説得どころではなかった。 執拗な責めに 耐えるだけでも限界が来ていた。 ワンダーウーマンの声が 小さく 短く なっていた。 鎖から逃れ ヒシュタルを倒すなど できるものではなかった。 【ヒシュタル様! 持って参りました!】 ワンダーウーマンが男達に嬲られ喘いでいる間に、 終に処刑道具が 4台のチェインソーが 運ばれて来た。 【くっくっくっく 所詮お前もただの女だったようだな】 --------------------------- 処刑開始 --------------------------- 【逃げるチャンスは無かったな ワンダーウーマン処刑の準備が整ったぞ】 逃れられないワンダーウーマンの あがきを見ていたヒシュタルは 部下に命令した。 【もうよい! 下がれ! ワンダーウーマンを処刑する!】 ヒシュタルが命令すると 取り囲んでいた信者達が一斉に離れた。 【くっくっく さぁ始めろ! ワンダーウーマンを切り刻んでやれ!】 男達が引き下がると 代わって チェインソーを持った4人の部下が ワンダーウーマンを取り囲んだ。 【くっくっくっく 手足を切り落とした後は お前の歯を全部抜いてやる そして お前の肉を食わせてやる どうだ いい考えだろう】 【くっ! 狂っているわ! 貴方はそれでも人間なの!】 【先ずは両足から切断してやれ 足は膝から下腕は肘から先を落としてやれ】 【やっ! やめっ! 止めて! お願い! 止めさせて!】 あの悪夢が 今、現実となろうとしていた。 あのとき ワンダーウーマンは 四肢を切断され犬にされていた。 抵抗しようにも 腕が無かった 逃亡しようにも脚が無かった 犬のように餌を与えられ 犬のように足を上げて排便した。 そこでの汚辱の日々が 現実となるのだ。 正常な神経では 耐えられるものではなかった ワンダーウーマンは 恐怖に泣き叫んでいた。 【いっやぁぁぁあああああああああああああああーーーーーーーーーー】 【わはっはっはっは やれ!】 ヒシュタルが号令を掛けると 待機していた男達がチェインソーのスイッチを入れた。 モーターの音が 鋸の歯がワンダーウーマンに迫って来た。 【やめ! やめて! お願い! いやぁぁぁぁあああああああ】 【わはっはっはっは 切り落とせ!】 ヒシュタルの勝ち誇った声が祭壇に響き渡りチェインソーが振り落とされ ワンダーウーマンの絶叫が響き渡った。 【ひぃ! ひぃぃぃいいいいいいいいいい!】 次の瞬間 4人の男達は 壁に 頭からめり込んでいた。 【血は嫌いなの! あたしの居ないときにしてくれる】 --------------------------- 紅龍登場 --------------------------- 紅龍が ヒシュタルの部下に連行されて 現れていた。 紅龍を見た信者の1人が何事かをヒシュタルに耳打ちした。 その信者は ホテルのレストランで紅龍に罵倒された男だった。 信者の話しに肯いていたヒシュタルだったが、紅龍を見据えて言った。 【お前が紅龍だな 良く来た 歓迎してやるぞ!】 【あんたが ヒシュタル? 随分年寄りね】 【きっ! キサマ! 大神官様に 無礼だぞ!】 【誰が見ても 爺でしょう? ねえ 違ってる?】 鞭を振り上げ 紅龍に打ち下ろそうとした部下を手を上げて制止したヒシュタルは じぃーーと 少女を見つめていたが 突然哄笑し始めた。 【お前には 神の力があるそうだな…どの程度まであるのか…ワシが試してやろう】 ヒシュタルは 目を閉じると紅龍に向かって何かを念じている様だった 一方 紅龍は腕を組み ただヒシュタルを見つめているだけだった。 しかし 時間が経つにつれ汗を吹き出したのはヒシュタルの方だった。 明らかに焦り 動揺しているのは紅龍ではなくヒシュタルだった。 【ど・う・し・た・の・さ 爺さん あたしは何も感じないよ】 【くっ…キサマ…このワシの力を…ぐっ!…くぅう…】 【おのれ小娘!】 突然ヒシュタルが紅龍に向かって叫び、両手を突き出した。 だが 壁に吹き飛ばされ無様にへたり込んだのはヒシュタルの方だった。 【ぐぁああ!!!!!!】 【まっ! まさか!】 【ヒシュ ヒシュタル様!】 【なっ! なんと!】 【そっ! そんな馬鹿な!】 【大神官様!】 【ふん! アンタの力はその程度なの 馬鹿みたい】 信じられない光景に、部下達も動揺していた。 彼等にとってヒシュタルは神と崇める いや 神そのものだった。 その神が少女の前に屈服していた。 有り得ない光景に部下達も なす術も無く立ちすくんでいた。 【おっ! お願い! ベルトを! 私にベルトを頂戴!】 今がチャンスだと ワンダーウーマンが紅龍に向かって叫んでいた。 だが返って来たのは 冷たい拒絶の言葉だった。 【ふん! 誰がアンタの手助けなんか! 自分で取り返しな!】 【そっ! そんな! お願い! ベルトを頂戴!】 【お前なんか大嫌いよ! 爺さんのペットにでも成りな!】 【お願い! ベルトを! この鎖を外して!】 【うるさい! 自分で外しな この雌豚!】 ワンダーウーマンに向かって罵倒する言葉を吐いていた紅龍の顔色が突然変わり 怒りの眼差しをヒシュタルに向け叫んだ。 【やめ! やめろ! あたしの心を読むな!】 紅龍の一瞬の隙を突いて老獪なヒシュタルはマインド・スキャンを行っていたのだった。 【くっくっく そうか…お前は母の…】 【やっ! 止めろ! 止めて!】 ほんの一瞬で形勢は逆転していた。 紅龍は両手で自分の身体を抱くようにしてその場にしゃがんで顔を伏せていた。 今は 明らかに、ヒシュタルが優位に立っていた。 【そうか…お前は…ふっふっふ…わはっはっはっは】 【止めて…お願い…嫌だよ…】 紅龍は弱々しい声で顔を伏せたまま啜り泣きを始めた。 その後 ワンダーウーマンが聞いたのは 驚愕する事実だった。 【そうか…お前は 自分の母親の肉を食らって生き延びたのか…】 【やっ! 止めて! 止めてぇ!】 紅龍の絶叫にも ヒシュタルは 傷口を更に抉り出すように言葉を続けた 【お前は お前の村の仲間を 殺し尽くしていった…復讐の為に…】 【止めて! 止めて! もう止めて…止めてよ…嫌だ…よ】 その言葉に 耳を塞ぎ 身体を震わせ あの紅龍が鳴咽していた。 【お前こそ! お前こそ! 我が教団が求めていた神!殺戮の女神だ! さぁ 私と共に来い! そして 我が教団の神となるのだ!】 ヒシュタルが 両手を広げ 紅龍を包み込もうと近づいて行ったとき 背後から パイロンの 太い声がした。 【止めろ ヒシュタル! その子に触るな!】 ワンダーウーマンはそのとき初めて パイロンの怒りを感じた。 今まで 何度か闘ったことも有ったが 彼の怒りを感じた事は無かった。 だが 今 彼は 明らかに怒りの気を放っていた。 【キサマがパイロンか 所詮はキサマも軟弱な男に過ぎん様だなこの娘を取り返しに来たか】 【ヒシュタル キサマを殺す!】 【ワシを殺すだと?…キサマに この私が倒せると思っているのか? 人間ごときが この私を? やれ! パイロンを切り刻め!】 神殿にいたヒシュタルの数十人の部下が パイロンに襲い掛かった。 これから始まる殺戮に歓喜しながら ヒシュタルは残忍な笑いを浮かべると部下達に命令した。 【切り刻め! なぶり殺せ!】 その声に 男達は雄たけびを上げて 突進していった。 パイロンもベルトから蛇腹剣を取り出すと 自分から向かっていった。 それは 剣舞 まさに 剣の舞だった 男達は最初の一閃で半数が倒れ そして 数合で 立っている男は いなくなっていた。 悲鳴と怒号が終わったとき パイロンは ヒシュタルの腹を剣でえぐっていた。 【きっ! キサマも 神の力を持っていたのか…】 驚愕し怒りに震えるヒシュタルにパイロンは吐き捨てるように言った。 【キサマ如きの力と一緒にするな 死ね!】 怒りの形相でそう呟くと パイロンは 剣を一閃させヒシュタルの首を跳ねた そして すすり泣く紅龍に寄り添うと 少女を抱きしめ語り掛けた。 【紅龍…紅龍…】 【母さんは言ったの…もうお前に食べさせるモノがないと…だから… 母さんが死んだら…私を食べなさい…って…そして…お前は生きるのよ…って …だから…私は…食べたの…】 【もういい…もう いいのだ紅龍…お前は…お前は悪くない…生きていていいのだ …私が守ってやる…私と生きよう…紅龍…お前は悪くない…のだ…】 【私は…母さんを…食べて生き延びたの…母さんを…】 【もういい…もう何も言うな…紅龍…お前は生きていていいのだ…生きてくれ紅龍 …私がそばに居る…お前は一人ではないのだ…お前には生きる価値があるのだ】 紅龍に語りながら あのパイロンが涙を流していた。 ワンダーウーマンもその姿を見ながら 会話を聞きながら泣いていた。 紅龍が 幼い少女が 自分の母親の死肉を食べて生き延びねばならなかった そんな状況は自分の理解を超えていた しかしその悲しみは ヒシヒシと感じられた。 パイロンは紅龍を 抱きかかえると 神殿から立ち去ろうとした。 【パイロン! 待って! 聞いて! ラッソーを使えばその子の記憶を消せるわ!】 ワンダーウーマンの叫びにパイロンは歩みを止めたが振り向かずに 【記憶を消して何の意味がある…記憶を消しても…過去は消えないのだ】 そう呟くと 背を向けたまま ゆっくりと 神殿から出て行った。 【待って! 待ってパイロン! 解いて! これを解いて!】 必死で鎖を引き千切ろうともがくワンダーウーマンに黒マスクの男が近づいて来た そして ワンダーウーマンにベルトを手渡すと何も言わず去ろうとした。 【まっ! 待って! パイロンに言って! 行かないでって言って!お願い!】 ワンダーウーマンの叫びに 男は 一度は振り向いたが肯きもせず去っていった。 ワンダーウーマンは急いで鎖を引き千切ると神殿を飛び出したが もうパイロンの姿を見つけることは出来なかった。 --------------------------- エピローグ AtoZ と 紅龍 --------------------------- 数ヶ月後 公園を散歩していたダイアナは 仲良く手を繋いで笑い会う2人を見つけた それは 妄想作家と(別名で 馬鹿と)呼ばれる AtoZ と 紅龍の2人だった。 【あんた本当に馬鹿ね そんなことが解らないの】 【俺は馬鹿だけど! 馬鹿にされるのは腹が立つな!もう遊んでやらないぞ!】 【遊んであげてるのは 私の方よ! 男ならもっとしっかりしなさいよ!】 【お前みたいな子供に説経されたくないな!俺は大人だぞ!】 【あんたは 私が守ってやらないと だめな男なの!】 【おっ! お前! それは 俺のセリフだぞ!】 喧嘩しているようで 笑い会う2人は まるで恋人同士のようだった ダイアナは 2人に近づくと 笑顔で挨拶した。 【こ・ん・に・ち・わ … 貴方達 まるで恋人同士のようね】 【やぁ ダイアナさん! 久し振りだね ワンダーウーマンは元気にしているの?】 【えぇ 元気そうよ 貴方は 今 何をしているの?】 【映画の仕事をしているよ今度 新しい企画を立てているんだ】 【貴方は 紅龍? もう 元気になった?】 【アンタより元気だよ! 行こうよ アトズ!】 【あっ! いっ! 痛い! 痛いよ紅龍! じゃぁねワンダーウーマンに宜しく!】 AtoZは耳を引っ張られながら 噴水の方へ連れて行かれてしまった。 【…あの2人…組み合わせは変だけど…仲良く出来そうね…良かったわ】 その姿を遠くからパイロンと灘川の2人が見ていた。 【彼女も ダイアナも気にしていた様ですね】 【あの男 …不思議な男だ…】 【アトズですか?】 【君と私にも出来ない事をやってくれた…】 【確かに 彼と出会って紅龍は明るくなりました彼は自分を曝け出す男のようですね】 【私が居ない間 紅龍は彼に任せよう 君も援助してくれ】 【解りました。 ところで、教団の残党はどうされます?私が処理しましょうか?】 【レオンとブランケンに任せてある 心配はない】 【トレバー大佐がIADCの長官に就任するそうです】 【そうか…就任祝いに彼に手柄を立てさせてやろう…教団の残党は彼に任せよう】 【解りました手配します。 それで? 原潜はどうされるのですか?】 【麗華に任せた。李部長へプレゼントしたよ】 麗華は中国人民解放軍情報部の李部長と大使館で会っていた。 【君からの連絡…あれは本当かね? 原潜を我が国に引き渡したいと言うのは?】 【彼(パイロン)が私に指示しました。】 【なっ! 何故だ? なぜ我が国に? ロシアの原潜だぞ!どう処理しろと言うのだ!】 【解りません…私がスパイと気付いているのかも知れませんわ】 【その恐れがあるなら このまま帰るな! 直ぐ帰国の手配をする】 【大丈夫ですわ もし 始末するつもりなら その場で処刑されていますわ】 【わっ 私を 脅かすな! では なぜ 君に指示したのだ?】 【解りません 中国に原潜を引き渡したいのでは?李部長に落とし物を届けろと言って居ましたわ】 【おっ! 落とし物だと! 原潜! 原潜だぞ!そんなものを貰ってどうする! 国際問題だぞ! 私には扱いかねる品物だ!】 頭を抱える仕種に 下を向いて笑いを堪える麗華に気付いた李部長は 【なにが可笑しい! お前の安全を心配しているのだぞ麗華!】 【お父様でも そんな困った顔をするのかと…失礼しました部長】 【パイロンは…彼は…他に何か言っていなかったか】 【ロシアとの取り引きに使えるだろうと… 中国は国際テロに反対する立場をアピールできると言っていましたわ】 【それだけか?】 【担当者が慌てるだろうと…顔を見てこいと言っていましたわ】 【麗華! お前は! パイロンは! 私を愚弄しているのか】 顔を真っ赤にして、思わず飛び出した入歯を押さえながら、李部長は 麗華を睨み付けた。 それを無視するように 笑いを堪えながら 麗華は地図を差し出した。 【原潜は座礁する形で 広東沿岸に漂着します現在位置はここです】 【解った! くっそぅ! パイロンに伝えておけ!プレゼントは喜んで貰うと くれぐれも…いいか…くれぐれも 狼狽していたとは奴に言うなよ!】 【解りましたわ お父様】 【あいつは パイロンは 一体何を考えているのだ!…くっそう】 ***完  この作品は、ハードカバー版(画像付き小説)がダウンロードできます。 入手される方は、下記のリンクをクリックしてください。

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