平成14年6月28日・初版

ワンダーウーマンと紅龍と妄想作家・活躍編/AtoZ・著

紅龍編2 (パイロン編外伝) --------------------------------------- 映画 ワンダーウーマン --------------------------------------- 公園のベンチで 紅龍とパイロンが 親子の様に話していた。 【待ち合わせ場所は ここで いいのか?】 【そうよ…でも…今日は 遅いな… もう1時間も過ぎているわ】 【何か事情があったのだろう…食事の時間に遅れたが…病院に戻ろう?】 【そうだ! お弁当を作って来たの パイロン様も食べる?】 【弁当? それは… 紅龍が作ったのか!】 【そうよ】 【え゛っ …君…君達の分だろう? 遠慮しておこう】 【そうだけど いいよ パイロン様なら 分けてあげるよ】 【いゃ! いいんだ 今度 今度貰うよ】 何故か 慌てるパイロンに 紅龍は話題を切り替えた。 【見て! パイロン様】 紅龍は そう言って自分の小さな指先に填っている指輪を見せた 【可愛い 指輪だな 誰から貰った 彼氏か?】 【そうよ アトズなの 原稿料が入った分で 買ってくれたの】 【彼は 優しいか?】 【優しいよ! 恋人は私一人だって! 他の女とは付き合った事がないって】 嬉しそうに 微笑む 紅龍は 一人の恋する少女だったが パイロンが 目配せした 方に 背の高いモデルの様な女と笑いながら歩く馬鹿がいた。 【あれは AtoZじゃないのか…どうする…私と帰るか?】 【いいわ…先に帰っていて】 ベンチに座ったまま パイロンを見送ると、 紅龍は AtoZの後を追って 立ち上がった。 紅龍は 恋人同士の様に 楽しげに話す 二人に近づくとAtoZに声を掛けた。 【アトズ! お弁当を作って来たよ 後で食べようね】 【紅龍! どっ どうして ここに?】 【ここで デートする 約束だったでしょう?】 【え゛っ! わっ…忘れていた!】 AtoZの言葉に 紅龍の こめかみが ピクリと 動いた。 【へぇーー あんに こんな 子供が好み なの?】 【そっ! そうだよ 可愛いだろう 僕の小猫ちゃんだよ】 【小猫? 子豚じゃないの? あっはっはっはっは可笑しい】 女の言葉に 紅龍の 眼差しが鋭くなってきた。 【ちょ! ちょっと待ってよ! 紅龍 紹介するよ彼女は 今度の映画のヒロインなのさ】 【そうよ ワンダーウーマンの役なの 出来たら見てね】 【本物の方が まだマシね アンタほど ババアじゃないわ】 【失礼ね! アンタ何様なの! この小便小娘!】 【本物は もっと気品があるわよ そんな言葉使いはしないわ】 【ちょっ ちょっと待ってよ 落ち着いてよ】 【ふん! 降りるわ! もう アンタとは お断りよ!今夜のホテルはキャンセルよ!】 女はAtoZに びんた を食らわせると さっさと行ってしまった。 ため息をついて 振り返った AtoZに 今度は紅龍のパンチが飛んだ。 【アトズ! ホテルで 何をするつもり だったの!】 AtoZは プロモーターの ロベルトに電話で怒鳴られていた。 【モデルが降りると言って来たぞ! どうするつもりだスタジオをキャンセルするのか】 【なっ なんとか しますから…心当たりが あるんです…はい…じゃぁ】 暫く考えていた AtoZ は 本物を起用することにし、 ダイアナに事情を説明して ワンダーウーマンに代役を頼み込んだ。 【本物に 偽者の代役を頼むのは 馬鹿げているけど助けて欲しいんだ】 【条件があるわ】 【なんでも なんでも聞くよ 僕の身体を自由にしてもいいよ】 【それは 遠慮しておくわ…条件は…エッチな事や裸は絶対無しよ】 【いいよ! 約束する!…撮影に入れば こっちのモノだ…よし!】 魂胆を容易に顔に出す AtoZに ワンダーウーマンは、更に念を押した。 【念を押しておくわよ 絶対 エッチな事は なしよ!】 【約束するよ…やったぞ 後はどうやって ベルトを奪うかだな…】 一抹の不安を感じながらも ワンダーウーマンは出演を了解した。 ------------------------ 口座開設 ------------------------ 【ねぇ アトズ 銀行へ一緒に行ってくれない?】 【いいよ お金を借りるのかい?】 【口座を作るように 言われたの アタシ 銀行へ行った事がないから…】 【口座を作るとき 最初に お金を預ける必要があるよ幾ら入れるの?】 【そうなの? 幾ら位いれるの? 教えてよ】 【10$位でもいいよ】 【へぇ アトズは 大人なんだね ありがとう】 【大丈夫 僕がナイトになってあげるよ お姫様】 【嬉しいよ お姫様なんて 初めて言われたよ】 【何時もは なんて 言われているの?】 【名前よ 時々 DG(破壊少女)とか言われるけれど意味がわからないわ】 【ここだ! この銀行にしよう 大きいから潰れないと思うよ】 AtoZに案内され 窓口で 口座を開設した紅龍は、 AtoZから借りた10$と パイロンから 預かった小切手を入金した。 それを見た 職員は 二人をじーっと見ていたが奥の部屋に行くと 頭取に連絡をした。 その後 警備員に案内され 奥の応接室に案内された二人だったが… 【紅龍 …何だか 妙な雰囲気だよ。もし危なくなったら…逃げ出そう】 【そうなの? アタシ 初めてだから 解らないよ…アトズが頼りなのよ】 【よし! 僕が隙を作るから 合図したら 逃げよう…いいか僕が警備員を引き付ける。 その間に 君はここから出たら 真っ直ぐ玄関まで走るんだ。 もし 銃撃戦になったら 腰を低くして 走るんだいいね】 【わっ わかったわ】 口座を作っただけで 銀行から 脱出を計画する馬鹿だったが 立ち上がった瞬間 警備員が つかつかと 寄って来ると慌てて 座り込んで 引きつった笑顔を作った。 暫くすると 頭取と秘書が 紅茶とケーキをもって現れた。 【お待たせしました 私が頭取のロイドです。 口座を作って頂いて 有り難うございます。 ところで 紅龍様は ロン様と ご親戚ですか?】 【オジサン…よ なんで?】 【左様ですか では ロン様が 当行を ご指定されたのでしょうか?】 【アトズが…彼が…ここに決めたの】 【左様ですか どうも 有り難うございます 今後とも宜しくお願いいたします。 ここに サインをお願いします。 融資の上限は残高の90%となっておりますので】 頭取が差し出した 通帳とカードを受け取ると紅龍は AtoZに聞いた。 【ねぇアトズ 口座を作るときは いつも こんな感じなの】 【僕のときは こんなのじゃぁ なかったよ ケーキなんて出なかったよ。幾ら入れたの?】 【知らない…パイロン様が アタシの分だと言ったけど紙切れに 数字が書いてあっただけよ】 【金額を見なかったのかい?】 【0ばっかり だったから…数えなかったわ】 【当行のシステムとか サービスとか 何か ご質問は有りませんか? 貸し金庫も ございますが ご利用されますか?】 頭取の質問に AtoZは 膝を震わせ オドオドしながら聞いた。 【ぼっ! 僕たちは もう 帰っていいのでしょうか?】 【お急ぎですか? それは 失礼しました 。 もし 当行に御用の時は 私に 直接 お電話下さいお待ちしております。 それでは 玄関までお送りしましょう。】 【いっ! いいぇ! 自分の足で帰ります それじゃぁ】 意味不明な返答をして AtoZは 紅龍の手を引いて逃げるように銀行を出た。 【銀行へ行って こんなに緊張したのは 初めてだよ…】 【よかった アトズが 居てくれた からだね これはどうしよう…】 【通帳は金庫に入れて カードは持っていればいいよ…カードは便利だよ】 【そうなの…アタシ お金を使ったことがないから…】 【何時もは どうしていたの?】 【そばに居る 誰かが 払っていたわ】 【紅龍には 僕が居るよ これからは 僕がサインしてやるよ】 【ありがとうアトズ カードで 買い物して見ようかな初めてで ドキドキするよ】 【よし! 行こう! 僕が付いているからね】 ------------------------ 新型 装甲アーマー ------------------------ その頃 別の場所では… 【レオン様 新しい装甲アーマーが到着しました。テストしたいのですが… 実戦での 性能確認をするチャンスが ないもので困っているのです。】 【紅龍の話では ワンダーウーマンの映画を撮影するらしいそれを利用しよう】 【と 言うと?】 【撮影シーンには モンスターと闘うシーンがあるらしい それを利用する。 ワンダーウーマン相手なら 装甲・スピード・パワー全てを実戦テストできる】 【では 誰を使いますか?】 【俺がやる 実戦モードでバトルする。 念のため実弾を入れておけ】 【サポートは どうします?】 【旧型で 2名でいい】 【了解しました 】 本物が主演すると宣伝するロベルトに、色々な人物から援助・協力の電話が入っていた。 【ロベルト! 本当か? 本物が出演するのだな!俺も入れろ!】 【ガルシアさん! アンタの出番は脚本に無いのですよ…そっそんな!…本番は…】 【ロベルトさん! 領事館から電話です! 撮影場所を提供したいそうですが?】 【いいぞ! 本物の出演が決まった瞬間から 運が巡って来たぞ…】 AtoZ の脚本による 新ワンダーウーマンの撮影が開始されたが、 馬鹿のシナリオの上に 装甲騎士団・マフィアも絡んで波乱の幕開けとなった。 ------------------------ 撮影開始 ------------------------ 【撮影を開始するよ! 今日は 戦闘シーンから撮るよ】 てきぱきと 指示を出す AtoZを 頼もしそうに見つめていた紅龍だったが ワンダーウーマンの 相手をするモンスター を見ると 首を傾げた。 【あれは?…どうして レオンが出て来るの?…】 ワンダーウーマンがモンスターと握手し シーンの説明を受けていた。 前半はモンスターが優勢で 後半でワンダーウーマンが勝つという パターンだった。 戦闘中のアクションは フリーと決まり 撮影が開始された。 ------------------------ バトル・シーン ------------------------ 戦闘シーンが開始され すぐ ワンダーウーマンは異変に気付いた。 最初 手加減を考えていたワンダーウーマンは組み合って すぐ 投げ飛ばされた。 【違うわ…これは…!!…装甲騎士団!…そうだわ彼等だわ!】 組み合った瞬間の 相手のパワーが 人間では無かった。 俊敏な動きはロボットでも サイボーグでも 無かった。 【やったわね! 手加減しないわよ!】 すぐ 起き上がり モンスターに突進したワンダーウーマンは相手にパンチを打ち込んだ、 だが 相手も 怯まず 打ち返して来た。 【今までのタイプと違うわ…パワーが上がっているわ…でも…スピードは私の方が上よ!】 相手の肢にキックを打ち込み 顔面にも 蹴りを浴びせた。 だが 相手の反撃も容赦の無い物だった。 相手を掴んで投げ飛ばし 倒れた所に 圧し掛かる。 相手も肢で ワンダーウーマンを 蹴り飛ばす。 倒れ込んだ所に 荷物が飛んで来る・それを 避ける・向かって行く。 だが 相手も 同時に 突進していた。 互いに 弾け飛ばされ 転倒する。 闘い慣れた相手だった 武器を使わず 互角の勝負をしていた。 【くっ!…しぶといわ…でも…なぜ 撃ってこないのかしら?】 今までの 装甲騎士団なら、数体が組になり 至近距離から ハンドミサイルを 打ち込むのが 基本パターンだった。 だが この相手は 一人で 武器を使わず 向かって来ていた。 【正体を暴くチャンスだわ! 捕まえてやるわ!】 ワンダーウーマンは 相手の蹴りを躱すと ラッソーを取り出し相手に投げた。 【やったわ! 捕まえたわ】 そのとき 背後から 新手の2体が 現れた。 【危ない!】 咄嗟に横に飛び込んだが ハンドミサイルが 連射され周囲が爆煙で充満した。 スタジオが 悲鳴と怒号で 混乱した。 爆発で セットが吹っ飛び 器材と一緒に AtoZも吹き飛んでいた。 ラッソーを掛けた相手が 仲間に助けられ 一緒に攻撃を掛けてきた。 機材が飛ぶ・瓦礫が崩れる・柱が折れる 1対3の乱戦となり 壮絶なバトルに スタッフは逃げ惑い 撮影どころでは無かった。 延々と続くかと 思われた バトルだったが ワンダーウーマンは 1体が発射した ミサイルを手で掴むと投げ返した。 足元の床が吹っ飛び 相手の動きが止った。 【いまよ!】 ワンダーウーマンは 瓦礫に 肢を取られた敵に飛び掛かると 顔面のマスクに手を掛けた。 【さぁ! 正体を見せなさい!】 そのとき 口から出た ガスを浴びてしまった。 【くぅっ! こっ…これは…】 怯んだ所に 背後から 後頭部を殴打され ワンダーウーマンは昏倒してしまった。 【ふぅ… 対ワンダーウーマン用に ガス噴射を付けておいて良かったぜ】 【レオン隊長 ワンダーウーマンを どうします?】 【連行しますか?】 レオンが ワンダーウーマンの処置を考えているとき、 重火器を持った少女が 彼等の前に現れた。 【アンタ達! アトズの仕事の邪魔をする気なの!】 【げっ! 紅龍!】 【隊長 不味いですぜ 紅龍の目が キレて いますぜ】 【どうします? ジャマーとガス弾で 応戦しますか?】 【馬鹿! 相手は紅龍だ! アイツがキレた時は敵と味方の見境が なくなるんだ】 【では…どうします?】 【撤退! 全速!】 【了解! パワー全開】 【了解! うわぁーーー 撃って来るぞ】 【この馬鹿! 二度と来るな!】 全速で逃げ出した 装甲騎士団の背後から 紅龍の怒声と銃弾の雨が 浴びせられた。 戦闘と銃弾が止むと スタッフ達は 恐る恐る物陰から出て集まって来た。 【凄い! 凄い演出だな! こんな凄い撮影は初めてだ】 【こんな シーンは シナリオに無かった筈だがな…】 【最高だ! 久々に感動したよ! これだから映画は止められないんだよ】 【おい! ちゃんと撮影した だろうな】 【えっ? お前が撮っていたのだろう…】 【ばっ! 馬鹿を言うな あんなシーンは聞いていなかったぞ】 暫くして スタッフが AtoZ の姿が見えないのに気付き彼を探し始めた 【居たか?】 【居ない! 瓦礫の下は?】 【居ないぞ!】 【助けて! こっちだよ!】 全員が 声のした 天井を見上げた。 AtoZは ビデオカメラを握ったまま 倒れ掛けの柱に捕まっていた。 【おい! 今のシーンを撮ってあった様だぞ!さすが AtoZだ】 【やったぜ! これで編集は 出来るぞ!】 全員が AtoZ のビデオに 期待したのだが…映っていたのは…ワンダーウーマンのパンツばかりだった。 ------------------------ スレーブ・シーン ------------------------ ワンダーウーマンが ロベルトに抗議していた。 【こんな話は聞いていないわよ!】 【経費節減です 俳優の代わりに 私たちが出ます】 【でも 貴方とガルシア相手に演技は 出来ないわ!】 【本気でいいのですよ ワンダーウーマン】 【本気なら 殴るわよ! それでも いいの?】 【そのシーンは 後で有ります 殴られる代役は用意していますから】 【その役は AtoZね 彼は知っているの】 【殴られた後で 説明する 予定です。 とりあえず撮影に入りましょう】 【ベルトは 外さないわよ! それと 縄と手錠は禁止よ】 【解りました…でも…首輪は しますよ…演出です…あくまで演出です】 その シーンは 奴隷となった ワンダーウーマンが、 ロベルトとガルシアに 仕え ワインを注ぐシーンだった。 【…いいか…隙を見てベルトを奪うのだ…上手くやれよロベルト】 【…ガルシアさん アンタも 上手くやってくれよ…】 【ワインを注いでくれ ワンダーウーマン】 【畏まりました ロベルト様…どうぞ】 【ありがとう ワンダーウーマン】 【カット!】 【うん? もう終わりか? ワン・シーンだけじゃないか?】 【おい! 俺の出番はどうなった】 【次は 貴方です ワンダーウーマンが跪くシーンです。立っているだけで良いですから】 【よぅし…こう…これで…いいのか】 【はい! カット!】 【なっ! なんだ! これだけか?…くっそうベルトを奪うチャンス等ないぞ】 【次は 三人が絡むシーンです】 【…おい!…ロベルト やるぞ…チャンスを逃すな】 【OK!…アンタは前から 私は後ろから 襲う…連携プレーです】 だが 二人の目算は 最初から外れてしまった。 IADCのトレバー長官が 見学に来ていたのだ。 【おい! ロベルト話が違うぞ! これじゃあ手が出せないぞ】 【私! 私も 知らなかったのですよ】 【はい OK!です】 【もう…もう終わりなのか?…くっそう トレバーめ】 【仕方ないですよガルシアさん ワンダーウーマンを襲ったとたん私達が捕まりますよ】 AtoZに 抗議に行った二人だが、装甲騎士団が撮影所を襲った件で、 IADCが 調査に来ている事を説明され 引き下がるしかなかった。 ------------------------ トレバーの出演 ------------------------ 【次は トレバーさんが ワンダーウーマンを救出するシーンです】 捕らわれたワンダーウーマンを 炎の中から救出するシーンだった。 鎖に縛られ逃げられないワンダーウーマンを横目で見ながら ロベルトとガルシアは 歯ぎしりをしていた。 【くっそう 絶好のチャンスなのに 何とかしろロベルト!】 【無理ですよ ガルシアさん …そうだ ワインに睡眠薬を入れましょう…それから】 【よし! 俺は 手下に 運ばせる準備をさせる】 【さぁ これを飲んでください 喉が渇いたでしょう】 【ありがとう ロベルトさん 丁度 喉が渇いていたんです】 ロベルトが ワンダーウーマンにワインを差し出したが それを 横から来た AtoZが 一気に飲んでしまった。 飲み干して 数歩歩き出した途端 AtoZは転倒し鼾を描き始めた。 【まっ! 不味い!】 逃げようとした ロベルトは ワンダーウーマンのラッソーに捕まってしまった。 【何か入れたわね! 正直に言いなさい! 何を企んでいたの!】 【なっ! 何も…ワンダーウーマンを眠らせて拉致しようと…】 【それで…何処へ運ぶつもりだったの】 【ガルシアさんのアジトへ…】 【AtoZも 仲間なの?】 【そうだ…いぇ…違います 彼は知らない事です】 【そう! じゃあ 行きましょうか】 【どっ! 何処へ?】 【ガルシアの所へ 裏口で待って居るのでしょう?】 【そっ そうです】 ロベルトがワンダーウーマンと現れたのを見たガルシアは計画が失敗した事を悟り 逃げようとしたが あっさり トレバーに捕まってしまった。 ------------------------ バイオレンス・シーン ------------------------ AtoZは ロベルトの睡眠薬を自分で体験して、 これを ワンダーウーマンに使う 計画を立てていた。 【おい! 熱いな 暖房が強すぎないか?】 【クーラーが 故障だそうだ もう少し我慢しろ】 【ライトが強すぎないか? ワンダーウーマンが光っているぞ】 【AtoZが そうしろと 言っているんだ …それにしても…熱いな】 スタジオでは 10人のエキストラがワンダーウーマンと格闘していた。 壁を壊し現れた ワンダーウーマンに 秘密組織の隊員達が立ち向かうシーンだった。 次々 投げ飛ばされ 蹴り上げられ 殴られるシーンだったが ワンダーウーマンも スタントマン達も 汗だくになりながら上手く演技していた。 【バトル OKです!】 熱いスタジオで 暖房を入れ ライトで 汗をかかせるAtoZの計画は順調だった。 頃合いを 計って ワンダーウーマンに 近づいたAtoZ は、 【ワンダーウーマン 喉が乾いたでしょう はい水です】 【ありがとう AtoZ あなたも 汗だくね 先に飲んでいいわよ】 【あっ ありがとう 本当に熱いね 喉がカラカラだよ】 そう言って 自分で飲んでから 気が付いた。 【しっ! しまった!】 AtoZは 飲み干したコップを持ったまま 転倒し鼾を描き始めた。 ワンダーウーマンは それを見ながら 呟いた。 【やっぱりね…】 おまけに 5倍もの 睡眠薬を入れた為 そのまま2日も寝込んでしまったのだ。 ---------------------------- ウエスト病院 AtoZの病室 ---------------------------- ロベルト・ガルシアが警察で拘留され AtoZが眠ってしまった為 撮影は 資金面で 行き詰まってしまった。 スタッフが 入院している AtoZ に そのことで迫っていた。 スタッフ:【どうするんだ! あと 少しで 完成するんだぞ!】 スタッフ:【俺達の 弁当代も無いのだぞ!】 AtoZ: 【幾ら 幾ら有れば いいのか教えてよ】 スタッフ:【2…3… あれば 撮影は 続けられるかも…】 AtoZ: 【なんだ! それ位なら 】 スタッフ:【2万$だぞ! まさか 2$を出すんじゃぁないだろうな AtoZ】 スタッフ:【そんな 馬間な ギャグは 考えていないだろうなAtoZ】 AtoZ: 【なっ! なんで! 解ったの?】 スタッフ:【首を絞めてやろうか? AtoZ】 スタッフ:【止めておけ それも ギャグの うちだろう】 AtoZ: 【すっ! 凄い! 全部 当たりだよ!】 スタッフ:【この野郎!】 AtoZ の言葉に キレタ スタッフの1人が飛び掛かった。 スタッフ:【止めろ! 馬鹿でも殺せば 殺人になるぞ!】 スタッフ:【離せ! コイツは 殺したほうが人類の為だ!】 スタッフに 首を絞められ AtoZが 喘いでいる所に、 ナースセンターへ 食器を返しに行っていた 紅龍が戻って来た。 紅龍:【アトズに 何をするのよ!】 AtoZ:【ゲホゲホ…待ってくれ! 彼等は相談に来たんだよ】 紅龍:【それで? 首を絞める 相談をしていたの】 スタッフ:【あと 2…3万… あれば 撮影は続けられる…】 紅龍:【その位なら あるよ? アタシが 出してあげるわ】 スタッフ:【2万$だぞ! 君も 2$を出すんじゃぁないだろうな 】 紅龍:【ちょっと 待ってね。 銀行に電話するわ】 AtoZ:【馬鹿だな紅龍 そんな 大金! 銀行が貸す訳がないよ】 スタッフ:【馬鹿は お前だ! 彼女に やらせろ!】 スタッフ:【電話してくれ 俺達からも 頼んで見るよ】 紅龍が 自分の名前を告げると 銀行の頭取が電話に出て来た。 銀行頭取:【ロイドです ご用件は?】 紅龍:【2万$ 貸して欲しいの 駄目? … いいの!…良かった】 スタッフ:【やったぜ! …そうだ!…5万…いや4万$ 頼めないか?】 紅龍:【面倒ね…幾ら迄なら 貸してくれるの?…900…そんなに要らないわ。 10万$で いいわ…いいの!…ありがとう】 スタッフ:【やったぜ! ありがとう! 君は俺達のエンジェルだ!】 ロベルト・ガルシアが警察で拘留され AtoZが入院している間に (AtoZ は 紅龍に監禁され 病室から出られないで居た。) 撮影は順調に進み 映画は完成した。 スタッフ達が 最初の台本から離れ 自分達の自由な企画を組み込んでいき、 紅龍がスポンサーになって 資金提供をしてくれたお陰で、 器材も施設も充実し エキストラ達の熱意が篭る撮影となった。 そして B級映画には珍しい 裸・レイプシーンなしの映画として完成していた。 超満員の試写会では ダイアナやトレバーも招待され映画を鑑賞していた。 【スティーブ あなた 素敵だったわよ】 【…】 【どうしたの? スティーブ】 【いゃ あの結婚式が 本物だったらと…】 【お似合いだったわよ 申し込んでみたら?】 【ありがとう ダイアナ。 そうだ ダイアナ 君も映画に出て見ないか?】 【私? 今度は 出て見たいわ ワンダーウーマンの役で…ね】 【AtoZ に話して上げよう きっと いい作品が出来るよ】 【でも ワンダーウーマンのファンが こんなに居たなんて信じられないわ】 【皆 彼女のファンだよ 美しく・強い・ 彼女は男性の憧れなのだよ】 ***完  この作品は、ハードカバー版(画像付き小説)がダウンロードできます。 入手される方は、下記のリンクをクリックしてください。

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